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ALL JAPAN EV-GP SERIES 2023 第6戦レポート(1)―初の年間総合チャンピオンへ。「雨の余郷」が本領発揮のポールポジション!

2023年11月8日更新

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世界初のシリーズ制EVレースとして2010年にはじまったALL JAPAN EV-GP SERIES。

その2023シリーズの最終戦「全日本 筑波 EV60㎞レース大会」が、10月9日(月・祝)、筑波サーキットで開催された。

初王座争いと
初参戦車と

当日は、冷たい雨が降るバッドコンディション。

だが、サーキットはいつになくにぎわい、華やいでいた。

今戦は、ともにテスラ モデル3を駆るTeam TAISAN(以下、TAISAN)の余郷敦選手とスエヒロ自動車商会(以下、スエヒロ)のTAKAさん選手が、初の年間総合チャンピオンの座を争うレース。同時にTAISAN6連覇かスエヒロ初制覇かも決まる。いわば、今シーズンで最も重要な一戦となっていた。

しかも今回、参戦している車両が近年最多の16台。その中にはテスラ モデル3の倍のモーター出力を誇るテスラ モデルSプラッド、ホンダの初市販EVであるHonda e、個人所有の2台のテスラ モデル3と、注目の車両が何台も初参戦していた。

にぎわうのも当然だったのである。

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午後に行われた決勝のスターティンググリッドには16台が並んだ



このレポートでは、今回公開する(1)~(3)編で年間総合チャンピオン争いを軸とした予選と決勝と表彰式の模様を、追って公開予定の(4)(5)編で注目の初参戦車両の戦いぶりなどを紹介する。

1.5秒という大差の理由

予選は土砂降りの雨の中、午前11時にはじまった。

この時点でのチャンピオン争いをする2人のポイント差は、余郷敦選手82ポイント、TAKAさん選手79ポイントとわずかに3ポイント。お互い決勝で上位に入り、一つでも相手より上の順位でフィニッシュすれば即チャンピオンの栄冠が手に入る(入賞ポイント:1位20、2位15、3位12、4位10、5位8、6位6、7位4、8位3、9位2、10位1)。

それを考えれば、予選でよりいいポジションを確保するのは至上命題だった。両者のタイムは僅差になると思われた。

ところが、蓋を開けてみると予想に反した結果になった――。

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ポールポジションを獲得したのはTAISANの余郷敦選手(#2)。現役プロ時代に「雨の余郷」の名をはせた本領を発揮し、激しい雨をものともしない走りで1分06秒671という好タイムを叩き出した。

望みどおりのポジションを得て気をよくした余郷選手は「この勢いで決勝でもTAKAさん選手の前でゴールし、初チャンピオンとTAISAN6連覇を決めたい」と決戦への意気込みを力強く語っていた。

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対するスエヒロのTAKAさん選手(#35)は、アグレッシブな走りを見せるも1分08秒165と振るわず3番手。余郷選手より約1.5秒も遅いタイムとなった。

決勝の見通しについて本人は、「まあ、いけるんじゃないかな」と楽観を装っていたが、形成不利は明らかだった。

なぜ、両者にこれほど大きな差が出たのか。そして、この差は決勝にどう影響するのか。

大会主催者であるJEVRA(全日本電気自動車レース協会)の富沢久哉事務局長は、こんな話をしてくれた。

「余郷選手はもともと雨に強い上に、現在、品切れ状態になっているSタイヤの新品をどこからか入手して履いている。一方のTAKAさん選手は雨をそれほど苦にしないにしても、履いているSタイヤはユーズド。完全ウェットの中、それぞれのタイヤの路面への食いつき具合の差が予選タイムに出たのではないか。決勝もおそらく路面はウェット。余郷選手が有利にレースを進める可能性は大きいだろう」

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なお、1分07秒436のタイムで2番手につけたのはTAISANの地頭所光選手(#1)だった。

第4戦でのレース復帰以降、車両の調子がなかなか上向かず、予選はよくても決勝レース途中でずるずると後退するのが常となっていた。予選後、今戦も同様の戦いぶりになるのではないかという危惧を抱きつつ、車両の状態を聞いてみた。すると、意外や意外「完全に復活した」との答えが返ってきた。

「もうレース途中でバッテリーがタレることはない。チームオーダーで余郷選手のチャンピオン獲得を援護する役割はあるにしても、TAKAさん選手を後方に退けた状態になっていれば、久々に優勝を狙いたい」

運命の決戦の行方やいかに!

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ALL JAPAN EV-GP SERIES 2023 第6戦レポート

(1)初の年間総合チャンピオンへ。「雨の余郷」が本領発揮のポールポジション!

(2)ペナルティを受けるも余郷選手が初の王座を獲得。TAISANは6連覇を達成!

(3)時代の進化とともに魅力を増すEVレース。来季は第1戦から目が離せない!

(4)「とりあえずノーマルで走った」テスラ モデルSプラッドとHonda e。来季の劇的進化に期待!

(5)個人参戦でも戦える!2人のモデル3オーナーが入賞圏内でフィニッシュ!

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