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EVキーマンに聞く/カーライフ・ジャーナリスト まるも亜希子 ③「EV/電動車で真に豊かなカーライフ、始めてみませんか?」

2019年8月20日更新



カーライフ・ジャーナリストのまるも亜希子さんは、EVをはじめとする電動車が、これまで一律だった日本人のカーライフを多様化し、より豊かにするチカラがあることに注目している。5回シリーズの第3回目は「EV/電動車がもたらすカーライフの変化」について聞いた。

電動車なら実現できる
理想のアウトドアレジャー

――EVをはじめとした電動車がもたらすのカーライフの変化について、もう少し突っこんだ話をお願いできますか。

まずリアリストの女性としての立場からいうと、やっぱりカーライフにかかるお金が少なくなるってことが挙げられるかな(笑)。
一番わかりやすいところでは、ガソリン代に比べて電気代だと安くすむということがあります。車両価格は別の話として、ランニングコストだけを見れば、夜間電力で受電したEVは、燃費が20㎞/ℓという超低燃費なガソリン車と比べても、100㎞走行で500円くらいの節約ができます。これはすごくありがたいことじゃないでしょうか。

――そうですね。

それだけじゃありません。EVなどの電動車によって、カーライフやクルマを使ったレジャーが、これまで以上に自由になる可能性があります。
たとえば、いま、子ども連れで郊外にアウトドアレジャーを楽しみに行こうとすると、だいたい施設や器具が整った有料のキャンプ場とかを利用するのがフツーです。でも、ああいうところって、いろんな料金がかかるし、自然を満喫しにきたというのに人がいっぱいいて、期待していた満足が得られないこともあります。
ところが、EVなどの電動車でなら、そういう場所に行かなくても大満足のアウトドアレジャーが楽しめるんですよ。

――どういうことでしょう?

電動車といってもバッテリーから外部に電気が送れるコンセントや装置が付いたクルマに限るんですが、家にあるホットプレートやコーヒーメーカー、炊飯器などの電気機器をクルマに積んでいけば、どこであろうとそれらが使えるので、アウトドアを楽しむためにわざわざ有料のキャンプ場に行く必要がなくなります。
美しい大自然が溢れるなんにもない場所に気ままにクルマを止めて、そこで家族だけのミニキャンプが張れちゃうわけですよ。これって、相当に贅沢なことなんですが、それがコスパよくあっさり実現できてしまう。すごくないですか? リアリストでロマンチストでもある女性からすると、もう、画期的なカーライフの変化だと思いますね。

――いや、それ、われわれ男性からしてもすごく画期的なことだと思いますよ。

航続距離が短いEVだからこそ
旅の醍醐味が味わえる!?

――では、つぎは電動車の選び方について伺いたいと思います。現状では、EVで航続距離の長いものを選ぼうとすると価格が高く、価格の手ごろなものを選ぼうとすると航続距離が短くなってしまうという「帯に短し襷に長し」の状態にあります。そう遠くない将来にバッテリー性能がアップして航続距離が延び、価格もこなれていくにしても、現時点ではやはりPHV、PHEVとかを選んでおいた方が無難かも知れないと思われるところがあるのですが、そのあたりについては、どうお考えでしょうか?

航続距離が短めだからってEVを選択肢からはずすだなんて、もったいないなぁと思います。私は、職業柄、いろんな人たちから「いま、ハイブリッドのほかにEVとかPHEVとかがあるけど、いったいどれを選べばいいの?」って相談を受けるんですけど、そのときはその人のクルマの使い方をじっくり聞いて、それに見合ったクルマを推薦しています。そして、その中には航続距離が短いEVもしっかり候補に入れていますよ。

――まるもさんなりの推薦パターンを教えてください。

たとえば週末ごとにアクティブにロングドライブを楽しんでいる人には、PHVやPHEVを薦めるようにしています。モーターを回すためのバッテリーの電気が減っても、ガソリンがある限りエンジンが発電・充電してくれるし、エンジンそのものでも走り続けられますからね。

――では、EVはどんな人に?

日ごろ、主に、近くにある職場や近所のお買い物とかに行くための足としてクルマを使っている人に薦めています。車種としては、日産のリーフや三菱のアイ・ミーブとかでしょうかね。航続距離が短いといったって満充電で100㎞~200㎞も走れば日常の足としては十分で、なんの支障もありませんから。

――でも、そういう日常の足にクルマを使う人たちだって、たまにはロングドライブを楽しむこともあるのでは?

まあ、そうなんですけど、もし電欠が不安だったらそのときだけはレンタカーを借りるという手があるだろうし、ロングドライブの仕方によっては、逆に航続距離の短いEVの方がいいっていうことだってあるんですよ。

――というと?

えーっとですね、私、5年ほど前、河口湖のホテルに宿泊したときに、初代のアイ・ミーブに乗ってきた高齢のご夫婦に出会ったことがあるんですよ。話を聞くと、なんとお二人で日本一周の旅をしているというじゃないですか。それで私、「ロングドライブでは、たびたびの充電が面倒じゃないですか?」って質問したんです。
そしたら、ドライバーを務めているご主人がこう答えてくれたんです。「いやいや、100㎞ごとに必ず充電しなくちゃいけないが、私のような年寄りにとってはちょうどいい休息になるので、逆に助かっているんですよ」って。
それから、こんなお話もしてくださいました。「充電ポイントが予定のルート上にないときは、名前を聞いたこともないような町に寄り道して、充電ポイントを探すんですが、それがまたいいんです。その町で思いがけない絶景やびっくりするような美味に出会えたりする。1回の充電であまり長く走れないアイ・ミーブだと、そういうことが数えきれないほど起こって、それがこの旅の醍醐味の一つになっているんです」と。

――はあ、目からウロコな話ですね。

そう、私も、このご主人の話を聞いて深く感銘を受けました。
当時、「EVは航続距離が短いからロングドライブする人にはまったく役に立たない」といったネガティブな意見もありましたが、乗り方、使い方によっては逆にそれが大きなメリットになるということにはっきり気づかされたんです。
だから、これから、さまざまなEVが登場するでしょうし、電動車の選択肢も広がるでしょうが、自分自身に相応しいカーライフがどういうものかをじっくりと考えて、それに見合ったクルマを選ぶことが大切だと思います。
これまでのガソリン車時代にあった一律のカーライフではなく、一人ひとりにとって真に豊かなカーライフがEV/電動車によって始まる、そんな気がします。

①「生きているうちにEV時代がくるなんて夢にも思っていませんでした」

②「女性にとって“油がいらないEV”はとてもありがたい存在です」

③「EV/電動車で真に豊かなカーライフ、始めてみませんか?」

④「折りたたみ式ガルウイングとかのカッコいいEVの出現を希望します(笑)」

⑤「ロータス店さんがEV世代の子どもたちに大人気のお店になりますように」

まるも亜希子(まるもあきこ)
千葉県船橋市生まれ。大学卒業後に自動車専門誌編集部に6年間勤務し、2003年にカーライフ・ジャーナリストとして独立。2004年と2005年にサハラ砂漠ラリー参戦・完走、 2004年から2015年にハイブリッドカーの耐久レース参戦・完走。2013年にはプロジェクト「PWP(ピンクホイール・プロジェクト)」を立ち上げ、女性のパワーでクルマ社会を元気にする活動を開始。近年は母親の視点でファミリーのカーライフもサポート中。AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

 

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