ロータスクラブが運営するクルマとあなたを繋ぐ街「ロータスタウン」

みらいのくるまの「ただいまのところ」情報

【i-MiEVの10年 / ユーザーの目線 前編】「27万7000㎞を乗り続けるほどに惚れ込んでいる一台です」(金倉弘樹さん)

2019年12月19日更新



i-MiEV発表10周年を記念した三連続インタビューの最後を飾るのは、一般向け発売が始まってすぐに購入し、今も乗り続けているユーザーの金倉弘樹さん。いいところだけでなく悪いところも含めて約10年にわたるディープなi-MiEV愛を語ってもらった。さて、どんな感動話、そして暴露話が飛び出すのか!?

いち早く試乗し購入を決意

——金倉さんは、i-MiEVの一般向け発売がスタートした直後の2010年の6月に新車で購入されています。早々に買おうと思ったきっかけは何だったのですか?

金倉 実をいうと私、ラッキーなことに世の中の人たちより一足先にi-MiEVに乗っているんですよ。そのときの感動が一刻も早い購入の決意へと繋がったんです。

——世の中の人たちより一足先にi-MiEVに乗った。それはどういうことですか?

金倉 ちょっと話はこみ入るんですが……私は2001年に三菱自動車のシャリオ(1986年式)を中古で買って、当時、シャリオ愛好会みたいな集まりにちょくちょく参加していました。そしたら、その仲間の中に三菱自動車の社員の方がいらしてですね、ある日、「ユーザーの皆さんのご意見を直接伺って今後のクルマづくりに反映したいので、よろしければ岡崎の研究所に来て話をしてほしいのですが」とのお誘いをいただいたんです。

——ユーザーへのヒアリングですね。

金倉 それで複数回にわたって岡崎まで赴くことになったんですけど、その何回目かで、なんと開発中のi-MiEVの助手席にモニターとして同乗させてもらえるチャンスが巡ってきたんですよ。あれはたしか2007年のことだったかな……。そのときに私は人生で初めて味わうi-MiEVのEV特有のトルクフルかつスムースな走りにものすごい衝撃を受けてですね、「ああ、このまま乗って帰りたい!」って思うほどに惚れ込んでしまった。それで、発売を首を長くして待ち続けることになり、2010年に一般販売されるとすぐに購入に走った次第なんです。

——確かにラッキーというかレアな購入経緯です。発売当初は車両本体価格が460万円以上しましたが、購入の際には、価格面で躊躇することはありませんでしたか?

金倉 はい、まったく躊躇はありませんでしたね。そのときはすでに「大きな借金を抱えてでもこの電気で動く新しいクルマを自分のものにしたい」という揺るぎない意思が生まれていましたから(笑)。

まず楽しんだのは充電器巡り!?

——では、念願のi-MiEVを手に入れて、当初はどんなドライブをしていたかについて教えてください。

金倉 これまでどおりに通勤に使い、休日は行きたいところにドライブするといった感じだったんですが、最初の頃に意識的にやっていたのは、街中や郊外のガソリンスタンドなどに設置されだした急速充電器巡りですね。

——当時は充電インフラがまだまだ足りていなかったから、充電器がある場所を確かめておきたかったということですか?

金倉 それもありますが、EV黎明期にあたって充電器がちゃんと設置されているのかどうかを調べておきたかったんですよ。実際、回ってみると、車種によってはケーブルが届かない設置になっていたり、夜間は使用できない設定になっていたりと、問題のある充電器がけっこう見つかったりした。私は、そういうのに遭遇するたびにブログに写真付きの記事をアップして「これじゃあインフラとしては不十分ですよ」と苦言を呈すなどして、自分なりに啓発するようにしていたんです。

——かなり熱が入っていますね。

金倉 あと、この急速充電器巡りは、i-MiEVのリアルなバッテリー性能を明かにしたいという目論見の遂行も兼ねていました。毎回、充電のたびにオドメーターと充電器の写真を撮って「これくらいの距離のときに何%充電し、その後何㎞走りました」と記録し、その蓄積から実地走行における航続距離やバッテリーの劣化具合を割り出そうと考えていたんです。結局、1000回分ほどのデータが溜まったものの、なかなか集計する時間が取れなくて……最後は三菱自動車の方にすべてのデータを差し上げるだけに終わりましたけどね(苦笑)。

——結果はどうあれ、EVの普及と進化に役立つことを視野に入れて急速充電器巡りをされていたのですね。

金倉 うーん、そういった側面もあるにはありますが、それほど高尚じゃないかも。なぜなら、せっかく設置されたのに誰も利用しないと撤去されてしまうかも知れないと恐れて、あえて充電しにいっていたところもありましたから。つまり、設置した人にちゃんと充電の需要があることを知らしめれば、それで気をよくして設置し続けてくれるだろうし、新たな充電器設置に繋がっていく可能性も高まるわけで、そうなればi-MiEVに乗る自分にとってはとても便利なことになるなという、けっこう利己的な狙いがあったりもしたんです(笑)。

環境時代だからこその特権も享受

——ところで、金倉さんはi-MiEVのどんなところに良さを感じていたのでしょうか?

金倉 やっぱり最初に感じたとおりに走りが抜群にいいところです。コンパクトな軽規格のクルマなのに、信号待ちのときでもほかの大排気量の高級車に引けを取らないスタートダッシュが切れるなど随所で小気味いい走りをしてくれた。しかもガソリンがいらないし、交換部品が少ないから、維持費もあまりかからない。もう通勤やドライブのたびに、「自分の選択に間違いはなかった」と喜んでいました(笑)。

——CO₂を出さない環境メリットについてはどうですか?

金倉 もともと私はさほど環境のことを真剣に考えるような人間じゃなかったので、当初はその良さについてはあまり意識していませんでした。でも、いろんなところを走っているうちに静粛性を含めた環境性能の良さにも気付かされ、感じ入ることしばしばとなりました。例えば箱根とかの山道を窓を開けて走ると、エンジン音がないから奥深い渓谷の川のせせらぎとか、小鳥の声とかがフツーに聞こえてくるわけですよ。しかも清冽な空気をまったく汚していない。次第に「ああ、自然と同化できるEVっていいよなあ」ってしみじみ思うようになりました。

——i-MiEVに乗ることで環境意識が徐々に芽生えてきたわけですね。

金倉 そうです。ちなみに、その点において後年、特にインパクトがあったのは2017年から始まった富士山の夏場のマイカー規制下でのドライブ。富士山の五合目までのマイカーでのドライブはエンジン車ではNGだけど、環境を壊さないEVか燃料電池車(FCV)ならOKということで、私、実際にi-MiEVで上ったんですけど、絶景の中を行く道が非常に空いていて超快適な走りが楽しめた。環境にいいEVに乗っている特権といいますか、そういうことが強烈に実感できましたよね。



人との繋がりが想像以上に増えた

——走行性能、環境性能以外で実感したメリットはありますか?

金倉 いろんな人と楽しくコミュニケーションする機会が増えたこと、ですかね。さっき言ったように私はいろんなところに充電しに行ってたんですが、そのたびに人が寄ってきて、みんな「電気自動車は乗っていて楽しいのか」「一回の充電でどれくらい走るのか」「充電の料金はいくらなのか」などなど、さまざまな質問を浴びせてくるんですよ。で、私は毎回それに答えていたわけなんですが、そこからディープなクルマ談義へと発展していくことが頻繁にあった。いまでもそういのはたびたびあります。もう、充電している30分がアッという間に過ぎるほどにそれは楽しい時間ですよね。

——ガソリン車の給油のときには、そうしたコミュニケーションはなかなか起こりませんからね。

金倉 あと、忘れちゃいけないのが、i-MiEVに限らないEVのオーナー同士の密な繋がりができたことです。i-MiEVが出たばかりのときって、まだ世の中にEVがほとんど走っていなかったですから、性能面や充電インフラなどに関するリアルな情報が極めて少なかった。なので、EVオーナーに出会ったら、とにかくお互いが持っているEVライフに役立つ情報を出し合っていました。そういうのを繰り返すうちに長い付き合いになる仲間がどんどんと増えていったんですよ。

——ああ、そうなんですね。

金倉 私はEVオーナーズクラブ(EVOC)という市民団体(http://ev-owners.jp/about/)の会員で、運営にも加わっているんですけど、これに参加したのもi-MiEVを買って半年ぐらい経ったときに三菱自動車が主催して行ったオーナーズミーティングでの人との出会いがきっかけでした。その場に、いま会長をやっている桑原文雄さんがいてですね、いろいろ情報交換をしているうちに彼が「EVオーナー同士の密な情報のやりとりができて、EV普及を後押しできる市民団体をつくりたい」って構想をぶつけてきて、私はそれに乗っかったんですよ。現在EVOCの会員は約1,400名に上っているんですが、まさか、ここまでたくさんの人と繋がりができるとは、当時は思ってもみませんでした。

——しかし、性能の良さといい、人との密な繋がりの発生といい、それだけi-MiEVのメリットをたくさん享受していると、なかなか手放すことができませんね。

金倉 はい、実は購入して5年目で8万㎞走ったあたりで駆動用バッテリーの劣化が激しくなったときにはさすがにどうしようかと迷うところもあったんですが……。思い入れが強いし、とてもいいクルマなので、バッテリーを新しいものに交換してさらに乗り続けることを選んだ。来る2020年には記念すべき購入10周年を迎えます。

——現在の総走行距離は?

金倉 27万7700キロあまり(2019年12月現在)です。われながらすごい距離だなあって思っています。ついでにいうと、これだけ走っているにも関わらず、ボディはしっかりしたまま。変な軋みなどはどこにも出ていません。まあ、これはi-MiEVだからというより、三菱自動車のクルマならではの特長なんでしょうけどね。

「27万7000㎞を乗り続けるほどに惚れ込んでいる一台です」(金倉弘樹さん) 

「新しいEVがイマイチだったら、あと10年はi-MiEVに乗り続けます(笑)」(金倉弘樹さん)

金倉弘樹(かなくらひろき)
1975年5月、東京都世田谷区生まれ。千葉工業大学(第二部金属工学科)卒業後、株式会社東宝映像美術に就職し、エンターテインメント施設の施工管理や保守点検管理などに従事。有名遊園地のイベント装飾の制作・設置の現場管理など、夢を育む仕事に励んでいる。そうしたキャリアを活かして、EVオーナーズクラブ(EVOC)でも催事を担当。参加した活動は、EVOCカンファレンス2019 in HAKONE、富士スバルラインEV・FCVパレードラン、エコカー試乗会!in 横浜赤レンガ倉庫など数多い。所有車両は、三菱i-MiEV1台、三菱MINICAB-MiEV1台、三菱シャリオ16台(住まいとは別に保管)。

関連キーワード

  • ロータスカードWeb入会
  • ロータスカードWeb入会

あわせて読みたい

  • 「東京モーターショー2019」レポート(4) 三菱は進化形のPHEVシステムや電動4WDでSUVを過激に変えていく!

    みらいのくるまの「ただいまのところ」情報

    「東京モーターショー2019」レポート(…

    ロータスクラブと提携している三菱自動車のブースにEVの姿はなかった。だが、PHEVの現行車やコンセプトカー展示に加え、V2H機器で家と電動車を繋ぎ、太陽光で発…

    2019.11.07更新

  • 日本EVクラブ『SDGs Urban Electric Four-Wheeled Ice Sports』プレゼンテーションイベント ルポ① 電気レーシングカートによる氷上スポーツがいずれはオリパラ競技に!?

    みらいのくるまの「ただいまのところ」情報

    日本EVクラブ『SDGs Urban E…

    人はこれまでにない新しいものに出会うと瞬時に好奇心を抱くと言われているが、本当のところはそうじゃない。そうなる前に戸惑いのようなものが先に立ち、「これはいったい…

    2019.08.06更新

  • JEVRAに聞いた「EVレースの楽しみ方」(中編)ウサギかカメか。市販EVは限界競争の中で進化してゆく!

    みらいのくるまの「ただいまのところ」情報

    JEVRAに聞いた「EVレースの楽しみ方…

    JEVRA(日本電気自動車レース協会:JapanElectricVehicleRaceAssociation)の事務局長を務めている富沢久哉氏。氏は、い…

    2020.05.22更新

  • 「東京モーターショー2017」ルポ(1)  EV未発売メーカーも電動化に本腰!

    みらいのくるまの「ただいまのところ」情報

    「東京モーターショー2017」ルポ(1)…

    第45回東京モーターショーが2017年10月27日~11月5日に東京ビッグサイトで開催された。「BEYONDTHEMOTOR」というスローガンのもと、クルマ…

    2017.11.09更新

  • 【NEWS】ロータスクラブが日本EVクラブに加盟 ~ 全国1,000以上の整備会社がEVシフトを支援

    みらいのくるまの「ただいまのところ」情報

    【NEWS】ロータスクラブが日本EVクラ…

    5月22日に宮城県で加盟発表会を開催自動車整備業界をけん引する全日本ロータス同友会(通称:ロータスクラブ)は、EV(電気自動車)を中心にエコカーの普及活動を…

    2018.05.29更新

  • 「トラック隊列走行実証実験」ルポ~トラックの自動運転はなにをもたらすのか?(前編)

    みらいのくるまの「ただいまのところ」情報

    「トラック隊列走行実証実験」ルポ~トラッ…

    CACCで繋がったトラック隊列が極端に短い車間で新東名を走った!「あと1分ほどでトラックがやってきます!」寒風吹きすさぶ跨道橋で待機していた報道陣は、その…

    2018.02.14更新

< 前のページへ戻る