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ALL JAPAN EV-GP SERIES 2023 第6戦レポート(5)―個人参戦でも戦える!2人のモデル3オーナーが入賞圏内でフィニッシュ!

2023年11月8日更新

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X(旧Twitter)でつながるテスラ車オーナーたち。今回、その中から2人のドライバーがEVレースに初参戦した。

ともにレース未経験で完走が目標だったが、2人とも驚きの好成績を上げることに成功している――。

サーキットに愛車のテスラ モデル3を持ち込んで果敢に戦ったsono106選手とモンド スミオ選手に話を聞いた。

テスラマニアが
8位入賞の快挙

持ち込んだモデル3は、タイヤ以外はノーマル。自身の格好もレーシングスーツではなく普段着。EV-1という最高クラスにエントリーしたsono106選手(#106)の参戦スタイルは、レース初心者感にあふれていた。

ちなみに、車両の名は「全SC制覇Model3」となっている。これは、自身が日本にあるテスラの充電機器SC(スーパーチャージャー)の拠点すべてを訪れて充電している“偉業”を自慢するネーミング。そう、sono106選手は、極めてマニア度が高い一般のテスラファンなのである。

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そんなsono106選手だが、レースでは想像以上の速さを見せる。

予選では1分14秒063で16車中7番手につけた。さすがモデル3というべきか、ドライバーに隠れた才能があったというべきか、初心者とは思えないいい走りだった。

予選が終わった後、ピットで参戦のきっかけと決勝への意気込みを聞いた。

「今回参戦したのは、気楽に『EVレースに出てみたいな』ってツイートしたら、みんなから『出ろ、出ろ』っていわれて、引くに引けなくなったから(笑)。でも、素人のまま参戦するのはさすがにまずいと思い、この6月から筑波サーキットで練習をはじめて、一応ライセンスは取得しました。予選がいいタイムだったのはたまたま。決勝では、路面も濡れているので、とにかく安全に走って完走を目指したい」

こう謙虚に語っていたsono106選手。しかし決勝では、完走どころか飯田章選手のMIRAIの一つ上の8位という結果に。モデル3のモーター出力はMIRAIのそれを大きく上回っているが、雨の中の初レースということを考えれば、実に見事な成績といえた。

sono106選手、来季もスポット参戦を考えている模様。さらなる躍進を期待したい。

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筑波特化の練習で
EV-2の優勝ゲット

モンド スミオ選手(#55)のモデル3はシングルモーター。モーター出力は、上位陣が駆るツインモーターのモデル3の6割強にとどまる。

そのため、今回の初レースの目標は「上位のテスラ車の邪魔にならないよう走って完走」と控えめなものとなっていた。

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ところが、蓋を開けてみたら驚きの結果が。

予選では1分12秒738のタイムで、5番手につけた。決勝ではモデルSプラッドを駆るKIMI選手に次いで7位でフィニッシュし、EV-2クラス優勝を遂げている。

モンド スミオ選手はレースに関しては初心者。しかも車両はシングルモーターのモデル3。どうして、こんなに速く走れるのか。

実は決勝前、その秘密の一端らしきことを教えてくれていた。

「数年前から筑波サーキットの走行会に何度も参加していた。この6月からはsono106選手と一緒に月に最低2回は走り込んだ。いわば筑波に特化して腕を磨き、それがいい予選タイムにつながったんだと思う。あと、今回、Unplugged Performanceのスタビライザーを入れたのもよかった。きびきび曲がるし、高速の安定感も抜群。自分なりにすごくいい準備ができたという実感がある」

筑波に特化した腕磨き。なるほどである。もともとあった素養が一点突破策で花開いたのだ。今後、初レースに挑もうと考えている人にはいいヒントになるかもしれない。

ちなみに、今後、筑波以外での参戦があるかを尋ねたら、こんな答えが返ってきている。

「ある。富士スピードウェイとかは、コースが広くて危険性が少なく楽しそうでもあるので、ぜひ走ってみたい。あと、走行会で何度か走った袖ケ浦フォレストレースウェイも、狭いけど面白いコースなので参戦してみたい。来季は、何戦かに顔を出すことになると思う」

今後、モンド スミオ選手がさまざまなサーキットで腕を磨き、ツインモーターのモデル3などをドライブする機会に恵まれれば、素人最強に位置づけられるTAKAさん選手の高みに近づけるかもしれない……そんな気がしてならなかった。

その日がくるのを楽しみに待とう。

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● ● ●


今回のsono160選手とモンド スミオ選手の初参戦。これには、実はスエヒロ自動車商会の監督が関わっている。

監督自身、X(旧Twitter)におけるテスラ車オーナーの集いに「Model3Life!(@Model3Life)」のハンドルネームで参加している。そこで日々、EVレースの魅力を発信して観戦に誘ったり、自ら企画した「カルガモ走行会」というテスラ車によるサーキット走行会を開催し、参加を募ったりしている。sono160選手とモンド スミオ選手は、そうした情報に触れ、刺激を受け続けた結果、今回の初参戦を決意し実行するに至ったのである。

これはすなわち、一般ドライバーの個人参戦を促すことによる、EVレース隆盛への貢献である。

今シーズン、スエヒロ自動車商会は初の年間総合チャンピオン獲得をギリギリのところで逃したわけだが、この活動はチャンピオン級だろう。多いに賞賛に値する。

今後も、スエヒロ自動車商会の勝利に向けた積極的なレース活動と、地道なEVレースへの貢献に注目していきたい。

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ALL JAPAN EV-GP SERIES 2023 第6戦レポート

(1)初の年間総合チャンピオンへ。「雨の余郷」が本領発揮のポールポジション!

(2)ペナルティを受けるも余郷選手が初の王座を獲得。TAISANは6連覇を達成!

(3)時代の進化とともに魅力を増すEVレース。来季は第1戦から目が離せない!

(4)「とりあえずノーマルで走った」テスラ モデルSプラッドとHonda e。来季の劇的進化に期待!

(5)個人参戦でも戦える!2人のモデル3オーナーが入賞圏内でフィニッシュ!

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