ロータスクラブが運営するクルマとあなたを繋ぐ街「ロータスタウン」

みらいのくるまの「ただいまのところ」情報

ALL JAPAN EV-GP SERIES 2023 第6戦レポート(4)―「とりあえずノーマルで走った」テスラ モデルSプラッドとHonda e。来季の劇的進化に期待!

2023年11月8日更新

ALL JAPAN EV-GP SERIES 2023-6_4-1

今戦、爆速のテスラ モデルSプラッドと、キュートなHonda eが初めてEVレースを走った。

電動化時代のレースの進展を実感させる、実に感慨深い出来事だった。

それぞれのレース結果や来季の目標などを、ドライバー、監督の声を交えて紹介する。

ノーマルのモデルSプラッド
真の実力は発揮できず

この夏から日本での納車がはじまったテスラ モデルSプラッド。

トリプルモーターAWDを搭載し、0-100km/hは2.1秒の速さを誇る。

レース前、GulfRacingJapanのKIMI選手(#23)が最終戦に参戦させるというニュースに触れたときは、「長らく続いたモデル3一強時代についに終止符か」との予感が脳裏をよぎった。

ALL JAPAN EV-GP SERIES 2023-6_4-2

しかし、今回の初レースは、確かに上位には入ったものの、予選が8番手で決勝が6位と、実に平凡な結果に終わった。

なぜ、こうなったのか。

KIMI選手に理由を聞いたところ、路面が完全ウエットなのに履いていたタイヤが納車されたときのノーマルのままだったことが大きかったとのこと。プラッド用の大きなSタイヤは海外から取り寄せるしかなく、今回はそのための時間がまったくなかったようだ。

「ありあまるパワーが濡れた路面で空回りし、真っすぐの走りが横になるくらいに操作が難しかった。ドライだったら、もう少し実力の片鱗を見せられたかもしれないが……。まあ、今回は客寄せパンダ役ということで納得している(笑)。来季はしっかりとしたレース仕様にしてから参戦して勝ちにいくので、そのときの走りを楽しみにしてほしい」

モデルSプラッドの爆速走行は「来季まで待て! 」なのである。

ALL JAPAN EV-GP SERIES 2023-6_4-3

ブービーのHonda e
ジャンプアップは間近!?

ホンダは、2020年に初の市販EVであるHonda eを発売した。

航続距離が283㎞と、パワー面で目立つ性能はなかったが、ホンダらしいキュートなスタイリングが受け、一定の人気を博している。

今回、ホンダの子会社であるホンダアクセスのモータースポーツ部(会社の部活動)が、この1台を持ち込み、初のEVレースにチャレンジした。

ALL JAPAN EV-GP SERIES 2023-6_4-4

結果は芳しいものではなかった。予選は12位で、決勝は完走した車両としては下から2番目の14位に終わった。

さぞかしがっかりだろうと思ったが、監督の黒石田利文氏とドライバーの渋谷和則選手(#89)の表情は意外にも明るかった。

どうしてか。

かつて研究所でエンジン開発に携わっていたという黒石田監督は、決勝前にこう語っている。

「走らせているのはノーマルのHonda e。バッテリー容量が35.5kWhと小さいので、今回のレースは完走することに重点を置いている。それによってEVレースがどんなレースかを把握したいと考えている。来季はその経験と知見を基に、車体を大幅に軽量化するとともにバッテリーの効果的な冷却方法を導入するなど、戦闘力を劇的にアップさせるつもりでいる。すぐには難しいだろうが、いずれモデル3を打ち負かせるほどのクルマにしたい」

創業者・本田宗一郎の時代から「レースはクルマの実験場」を標榜しているレース好きのホンダグループ。その底力に期待しよう。

ALL JAPAN EV-GP SERIES 2023-6_4-5

● ● ●


今戦、テスラ モデルSプラッド、Honda eともに結果は振るわなかった。だが、来季、もっと目立った活躍を見せてくれるのは、間違いなさそう。期待大だ。

これからも、新しい爆速EV、そしてメーカー系チームや有力レースチームが、続々参戦してくることを望みたい。

最初はノーマルでもいい。それで負けても恥ではない。その後の改良に向けて、とりあえず走ってみることが大事なのだ。EVレースファンは、そのことをちゃんと理解している。

 

ALL JAPAN EV-GP SERIES 2023-6_4-6

ALL JAPAN EV-GP SERIES 2023 第6戦レポート

(1)初の年間総合チャンピオンへ。「雨の余郷」が本領発揮のポールポジション!

(2)ペナルティを受けるも余郷選手が初の王座を獲得。TAISANは6連覇を達成!

(3)時代の進化とともに魅力を増すEVレース。来季は第1戦から目が離せない!

(4)「とりあえずノーマルで走った」テスラ モデルSプラッドとHonda e。来季の劇的進化に期待!

(5)個人参戦でも戦える!2人のモデル3オーナーが入賞圏内でフィニッシュ!

  • ロータスカードWeb入会
  • ロータスカードWeb入会
  • 店舗検索
  • 店舗検索
  • 楽ノリレンタカー
  • 楽ノリレンタカー

あわせて読みたい

  • 『i-MiEV(アイ・ミーブ)』10周年記念ストーリー(後編)- 世界で実用性と市場受容性を証明しEV時代の礎を築いた!

    みらいのくるまの「ただいまのところ」情報

    『i-MiEV(アイ・ミーブ)』10周年…

    世界初の量産型EVとして登場した『i-MiEV(アイ・ミーブ)』は国内外で高い評価を獲得し、後に始まるEV化時代のベースを築くに至った。後編では、その高い評価の…

    2019.09.10更新

  • EVキーマンに聞く/EVレース王者 地頭所光選手 ④「“東大の神”と呼ばれた僕(笑)。偶然のEVレース参戦で夢が再燃」

    みらいのくるまの「ただいまのところ」情報

    EVキーマンに聞く/EVレース王者 地頭…

    レーサーになる夢は諦めたが、東京大学では自動車部に所属。伝統の七大戦で連覇するなど昔取った杵柄を遺憾なく発揮した。そんな中、ひょんなことからEVレース…

    2022.04.07更新

  • eKクロスEVで長距離走行④「軽EVは自動車市場を変革するゲームチェンジャー」…諸星陽一(モーターフォトジャーナリスト)

    みらいのくるまの「ただいまのところ」情報

    eKクロスEVで長距離走行④「軽EVは自…

    軽自動車はEVがベスト——最後に改めて、eKクロスEVで行った東京―白馬村往復600㎞のロングドライブについて総括をお願いします。この軽EVは、どうでしたか?…

    2022.09.08更新

  • ALL JAPAN EV-GP SERIES 2023 第2戦 レポート(2)―完全ウェットの決勝。“運に恵まれたドライバー”がぶっちぎりで優勝!

    みらいのくるまの「ただいまのところ」情報

    ALL JAPAN EV-GP SERI…

    正午ごろに強く降った雨は、午後3時にはやや小降りとなったが降り続いていた。2023ALLJAPANEV-GPSERIES第2戦「全日本富士EV55…

    2023.06.08更新

  • 「自動運転サービスの実証実験」ルポ(後編)自動運転バスは地方の高齢者の夢の乗り物!

    みらいのくるまの「ただいまのところ」情報

    「自動運転サービスの実証実験」ルポ(後編…

    自動運転サービスの社会実装をめざし、国土交通省が栃木県栃木市にある道の駅「にしかた」で行った最初の実証実験。実際に、モニターとして乗車した方々の声も聞いてみた。…

    2017.10.10更新

  • 次世代エコカー勉強会〈14時限目〉EVの駆動用バッテリー(前編)ノーベル賞に輝いたリチウムイオン電池だが2025年に進化の限界がやってくる!?

    みらいのくるまの「ただいまのところ」情報

    次世代エコカー勉強会〈14時限目〉EVの…

    EV(電気自動車)の心臓とも例えられる駆動用バッテリー。現在、ほとんどのEVが駆動用バッテリーとして、リチウムイオン電池を搭載している。実は、「リチウムイオン電…

    2020.07.07更新

< 前のページへ戻る