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eKクロスEVで長距離走行④「軽EVは自動車市場を変革するゲームチェンジャー」…諸星陽一(モーターフォトジャーナリスト)

2022年9月8日更新

eKクロスEVで長距離走行4-1

Photo:Ryo Higuchi



軽自動車はEVがベスト

——最後に改めて、eKクロスEVで行った東京―白馬村往復600㎞のロングドライブについて総括をお願いします。この軽EVは、どうでしたか?

諸星 これは日産のサクラも含めてのことですけど、僕は今回、軽自動車とEVの親和性が非常に高いことを確認しました。結論として「軽自動車はEVがベスト」との思いを抱くに至りました。

——軽自動車はEVがベスト!?

諸星 そうです。今のところ、僕はすべてのクルマがEVになればいいとは考えていません。ロングドライブを頻繁にする人には、PHEVやHVなどがベターだと思っています。でも、今回、街中走行が中心で、ロングドライブはたまにやる程度の一般的な軽自動車ユーザーであれば、EVを選ぶのが1番いいだろうと思えたんです。なにしろ、走りの実力がこれまでの軽のレベルをはるかに超えています。しかも軽EVは、EVの弱点とされているところをことごとくクリアしています。

——EVの弱点には、価格の高さ、航続距離の短さ、充電時間の長さなどが挙げられます。

諸星 価格の面ではeKクロスEVのGグレードの車両本体価格は239万8000円。補助金を入れれば100万円台で買えますから、エンジン車の高グレードな軽自動車よりは安くなります。

——はい。

諸星 航続距離の短さと充電時間の長さについてもまったく問題がありません。普段の街中走行であれば180㎞は十分な走行距離だし、家の普通充電で一晩充電する習慣をつけて乗り続ければ、充電時間の長さはまったく気になりません。たまのロングドライブのときも、今回実証したように、例えば100㎞ごとに30分間の継ぎ足し充電をするスタイルで対応できます。

——そうですね。

eKクロスEVで長距離走行4-2

Photo:Youichi Morohoshi



諸星 それから、自動車の専門家の中には、EVが搭載しているリチウムイオンバッテリーが発火する恐れを指摘する人がいますけど、それも問題ないレベルだと思っています。eKクロスEVに積んでいるバッテリーは、日産リーフに積んでいるものと同じもので、リーフの発売以来、一度も発火事故を起こしていません。たとえ衝突事故が起こったとしても発火していないんです。つまりは、バッテリーの品質はもちろん、バッテリーを保護する車体構造もすごくちゃんとしているということ。そうした信頼の技術がeKクロスEVにもしっかりと継承されているんです。

豪雪用の四駆もほしい

——大絶賛のeKクロスEVですが、あえて注文をつけるとすると、何かありますか?

eKクロスEVで長距離走行4-3

諸星 これはジャパンEVラリーの際に白馬村の人たちから出た声で、僕も同感なのですが、「できれば雪道をしっかり走れる四駆バージョンもほしい」ということ。eKクロスEVは前輪駆動。少々の雪道なら問題なく走れるにしても、豪雪地帯の人にとってはちょっと心許ないんですよ。

——ああ、豪雪のときでも安心して走れる四駆ですね。

諸星 はい。もちろん、バランスも空間もうまくまとまっている今のeKクロスEVのパッケージに、四輪駆動用にもうひとつのモーターを積むのは結構難しい話だとは思います。でも、リアに小さなモーターを追加する形のライトな四駆ならできなくもなさそうな気はします。日本列島では、豪雪地帯でなくともたびたびドカ雪に襲われることがある。その現実を踏まえ、ぜひ、その四駆を検討してもらいたいですね。

5年以内に市場は変わる

——最後の質問です。eKクロスをはじめとする軽EVに将来性はあると思いますか?

諸星 大いにあると思います。これは日産も使っている単語ですが、軽EVは、日本の自動車市場のゲームチェンジャーになるだろうと僕は見ています。

——ゲームチェンジャーですか。

諸星 ええ。先ほど「軽自動車はEVがベスト」と言いました。eKクロスEV、そしてサクラはそれほどいいクルマです。今後、そうした認識はユーザーの実感を伴って急速に世の中に広まっていくでしょう。そうなれば、三菱と日産以外のメーカーも自社の軽自動車に積極的にEVをラインナップさせていくのは明らかです。日本の自動車市場の在り様は、その活性化によって大きく変わっていくはずです。

eKクロスEVで長距離走行4-4

——どれくらいのスパンでそうした変化が起きると思われますか?

諸星 あと4~5年じゃないでしょうか。

——ずいぶん急な変化です。eKクロスEVならびにサクラという軽EVは、その起点となるほどインパクトがあるクルマなわけですね。

諸星 そう思いますし、間違いなく革新の1台といえます。ちなみに僕は、各メーカーが自社の軽EVをヨーロッパに輸出するべきだと考えています。ロングドライブが中心といわれるヨーロッパですけど、実は軽自動車的なクルマの使い方をする人が結構いて、それに対応した小型車がわんさか走っています。であれば、例えばeKクロスEVを輸出して販売すれば、絶対に大歓迎となるはずなんです。だって、ヨーロッパで走っている小型車よりeKクロスEVのほうが性能とコスパが断然いいわけですから……。とにかく、日本の自動車メーカー各社には、日本市場だけでなく、世界市場にも影響を与えるほどの気概と動きを見せてもらいたい。日本の軽EVは、それを可能にする高いポテンシャルを持っているんですから。

eKクロスEVで長距離走行4-5

Photo:Youichi Morohoshi



●諸星 陽一(もろほしよういち)
モーターフォトジャーナリスト。1963年東京生まれ。自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでの写真撮影なども行うフォトジャーナリストとしても活動。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。BOSCH認定CDRアナリスト有資格者。

eKクロスEVで長距離走行…諸星陽一(モーターフォトジャーナリスト)

①「東京─白馬村 往復600㎞のドライブが楽勝でこなせた」

②「約270kmの往路(高速道路205㎞)を2回の30分充電で難なくクリア」

③「一般道での長い帰路も195Nmのトルクが疲れを軽減」

④「軽EVは自動車市場を変革するゲームチェンジャー」

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