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第2回 SDGs ERK on ICEレポート(後編)―「みんなで楽しくレースしたらエコだった」がSDGsの秘訣!

2021年10月12日更新

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『第2回 SDGs ERK on ICE(氷上電気カート競技会)』の会場には、出場者と観戦者合わせて150名の人たちが集った。

競技会が初心者から上級者までクラス分けされていたこともあり、その構成はまさに十人十色。男女はもちろん、さまざまな年代のさまざまな技量の人たちが顔を揃えていた。

この後編では、エキスパート、ビギナー、マスターの各クラスのレース出場者のうち、特色ある3人による「初めて氷上を電気カートで走ってみての感想」を紹介する。

〈エキスパートクラス 栗原信さん〉
「軽トラで雪道を走る面白さ。
 73歳でも楽しめる競技だね」

1人目は、エキスパートクラスに出場した73歳の栗原信さん。全出場者の最年長だ。

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——氷上の電気カート競技、どうでしたか?

栗原 初めての体験だったけど、面白かったよ。昔、スパイクタイヤを履いたFRの軽トラで雪道を走ったときのことを思い出した。お尻が滑って、いい感じで曲がれるというか、ああいう面白さがあったね。

——結果は3位でしたが、一度もスピンしていません。テクニックを駆使したんでしょうか?

栗原 いや、たいしたことしてないよ。ほら、凍った雪道のコーナーでは強くブレーキを踏むなっていうでしょ。あれと同じで、ちょこっとブレーキ踏んで、ハンドルもちょこっと動かして、あとはアクセルワークで曲がるというか、そんな感じの走りを心掛けただけ。ただ、初めての電気カートで初めて氷の上だから、慎重になりすぎて3位に終わっちゃった。もうちょっと周回数があったら、優勝できたかもしれないね(笑)。

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——ところで、カートレース歴5年と聞いています。高齢でのデビュー、すごいですね。

栗原 ああ、あれは、この競技に申し込むときに、仲間が間違った情報を書いちゃったんですよ。実は自分は整備士で、5年前に知り合いがエンジンカートのレースに出るというので、レース場でマシン整備を担当するようになった。それで、ときどきマシンの調子を見るために直線を走らせたりしていたけど、ちゃんとサーキットを周回したことが一度もない。つまり、5年のキャリアといっても、レースの5年じゃなくて整備の5年なんですよ(笑)。

——そうだったんですか……。では、ちょっと角度の違った質問をさせてください。整備士さんの立場で、今のクルマの電動化の流れをどう捉えていますか?

栗原 クルマがEVになるのは、環境のことなどを考えると、とてもいいことだと思う。加速がいいから、運転してても気持ちいいし、ハイブリッド車なんかより、ずっといいクルマだよ。ただ、EVは部品が少ないから整備士は困るかな。何しろ手の掛かるエンジンがなくて、いじるのはボディ、ブレーキ、足回りぐらい。全部EVになったら、もう、仕事が半減しちゃいます。

——この先、整備士が活躍していくには、どうすればいいんでしょうか?

栗原 やっぱり自分の特色を出すことが大事なんじゃないかな。足回りに関しては誰にも負けないとか、そういう方向で腕を磨いていくのがいいでしょう。特に若い人たちには、そんな感じで頑張ってもらいたい。将来、クルマがどんな動力になろうとも、整備は絶対に必要なんですから。

〈ビギナークラス 押田はる奈さん〉
「エンジン音を怖がる息子を
 レーサーに育てたくて出場(笑)」

2人目は、ビギナークラスに出場した押田はる奈さん(39歳)。実は、趣味でエンジンカートに乗ったり、愛車でサーキットを走行したりしているので、決してビギナーとはいえないのだが、初の氷上電気カート競技であることと、夫の助言もあり、あえてビギナークラスに出場したという。観客席では夫の裕樹さんと、6歳の息子の颯馬君が彼女の挑戦を見守っていた。

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——初の氷上での電気カート競技への挑戦。結果は3位でしたが、氷上なのにコーナーでは膨らまずにインから攻めるなど、結構上手に運転されていましたね。

押田 ありがとうございます。私、タイヤを滑らせて走るスリックカートをやったことがあるんですけど、あれよりは随分コントロールがしやすかった。だから、結構落ち着いて楽しく走れたんですよね。

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——ところで、レース前のMCによる選手紹介では「いつか息子さんに電気カートを運転させたいから、まず自分で体験するために出場した」みたいなことが語られていました。あれは本当なんですか?

押田 ええ、本当です。実は、今年の夏休みに息子をカート場に連れて行ったんですよ。そしたら、最初のうちはすごく楽しそうにしてくれていたのに、途中で「エンジンの音が怖い~」って言い出して乗るのをやめちゃったんです。だったら、今度は静かな電動カートに乗せようと考え、母である私が先に体験することになったんです。

——そこまでしてカートに慣れ親しんでもらおうというのは、もしかして、息子さんをレーサーに育てたいとの思いがあるんでしょうか?

押田 はい、できればレーサーになってほしいと思っています(笑)。

——ああ、そうだったんですね! これからはレースも電動化する時代ですから、「エンジンの音が怖い」という息子さんには打ってつけの進路になるかもしれないですね。その夢、ぜひ実現させてください。

〈マスタークラス 土志田洸彰さん〉
「いつか、全日本カート選手権の
 EV部門で活躍できるといいな」

3人目はマスタークラスの競技にチーム「アルボル アルデア」のドライバーの1人として出場した土志田洸彰さん(21歳)。大学で機械工学を学ぶ現役学生なのだが、なんと2020年全日本カート選手権(FP-3部門)での優勝経験者でもあった。

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——チームは惜しくも準優勝でしたが、土志田さんの走りは一番光っていました。とても氷上のドライビングとは思えませんでした。

土志田 ありがとうございます。氷の上の電気カートは初めてでしたが、意外に走りやすかったので、普段の実力が少しは出せたかと思います。あと、想像以上に面白かったので、気分が乗ったのもよかったと思います。

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——この氷上電気カート、一般的な競技として成り立ちそうですか?

土志田 はい。確かに滑るけれど、コントロールできないほどではない。マシン同士がぶつかってもスーッとスライドするだけで済む。初心者から上級者まで安全に楽しめるモータースポーツとして十分成り立つだろうなと感じました。ただ、今回のようにわずか3周の戦いだと、ちょっと物足りないかな。もっと広い場所で、コーナーを増やしたりすれば、新しいカテゴリーのレースとして人気が出るような気がしますね。

——ところで、今、世の中ではクルマの電動化が進んでいて、やがてレースも電動化するだろうといわれています。エンジンカートのチャンピオンの立場から、この動きをどう見ていますか?

土志田 エンジン音や独自の匂いがなくなるのは少し寂しい気もしますが、いろいろな問題を解決するためには、レースの電動化も避けては通れない道だと思っています。実際、2022年から全日本カート選手権でもEV部門のレースがはじまりますし……。

——そうなんですか。となると、いずれ土志田さんも電気カートで戦う可能性が出てきそうですね。

土志田 はい、今回の出場で自分の中のEVへの壁みたいなものがなくなったので、電気カートのレース参戦も大いにアリかなと思っています。もしそうなったら、全日本カート選手権のEV部門で活躍できるような選手になりたいですね。

——ぜひ新境地を拓き、そこでのチャンピオンを目指してください!


いろいろな人たちが、それぞれの立場で心底楽しんだ『第2回 SDGs ERK on ICE(氷上電気カート競技会)』。閉会式では、主催者である日本EVクラブの舘内端代表が、締めの挨拶で印象的な言葉を発している。それを紹介して、今回のレポートのまとめとしたい。

「環境のためにエコドライブだとか、省エネドライブだとか、人類はこれまでいろんなことをやってきましたが、僕はああいうのはあまり好きではない。元気になれないと思うんです」

「そうではなくて、自分が楽しいように運転したら実はそれがエコだった。電気の乗り物に我慢せずに乗ったらそれが気候変動の歯止めになった。こういう手法こそが元気に長続きさせられる環境対策となるんです。今日の競技会では、その片鱗がはっきりと見えました。みなさん、またお会いしましょう!」

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第2回 SDGs ERK on ICEレポート

(前編)氷上電気カートの激突バトルは、やって楽しく観て面白い!

(後編)「みんなで楽しくレースしたらエコだった」がSDGsの秘訣!

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