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2021年12月9日更新
第1回「ボッシュCDRテクニシャントレーニング」に参加した、フリーライターの橋本愛喜さんに体験記を寄稿してもらった。橋本さんは、自身がトラックドライバーであった体験を持つ、ユニークな書き手である。ただし、これまでEDR(イベント・データ・レコーダー)などのメカや、そこに記録されたデータの読み出しなどとはまったく無縁の、ある意味“素人”である。その橋本さんがこの2日間でどんな体験をし、何を得たか……一般のドライバーにもわかりやすく具体的にレポートしてもらった。
「交通事故」は大きなテーマ
筆者は家庭の事情で、大学卒業直前から父が経営する自動車金型関連の工場に10年ほど身を置き、納品引き取りの際にトラックで全国を走っていた。現在、社会系のライターとして執筆活動をしているが、この過去のおかげで執筆原稿の半分以上がトラックドライバーなどの職業ドライバーに関連することになっている。
トラック関連といってもその内容は、トラックドライバーたちの労働環境や人権などを起点にすることが多いのだが、このトラックについて書き続けるともう一つ、絶対的に避けられないテーマがある。「交通事故」だ。
トラック以外の車両、ひいてはドライバー・歩行者に関わらず、事故は無論、道路を使用するすべての人たちが考えるべき事象ではある。が、ことトラックにおいては、車体の大きさがゆえに、事故を起こすと人命にかかわる重大事故に繋がることが多い。もちろんトラックは「加害者側」、だ。
近年「人手不足」が深刻化する運送業界では、運転技術をそれほど必要としない、かつ疲労を軽減できるクルマを導入することで人材を確保しようと、従来のMT車からAT車やAMT車を積極的に導入しようとする動きがある。
が、その一方、高齢化するトラックドライバーにAT車やAMT車を運転させれば、「踏み間違い事故」が大型車でも起き得るのではないか。筆者はAT車・AMT車が増えていくにつれ、こうした懸念を強めていた。
そんなある日、知り合いから「ボッシュがEDRを読み込むための研修を行う」と聞かされる。来年7月からEDRの搭載が義務化されることは聞いていたが、トラックは今回対象外。それでも、トラックに追突される乗用車に搭載されればその存在は大きいと感じ、大事な用事を無理やりどかしてこの2日間の研修に参加することになった。
「池袋暴走事故」でわかるEDRの重要性
研修は、「EDR」を読み込むために必要な「CDR」という機械の扱い方を、座学1日と実習1日の合計2日間で学び、最後に「CDRテクニシャン」という資格取得のための試験を受けるというものだ。
EDRについては、なんとなくその存在の重要性を知っていた筆者だったが、CDRについてはその存在すら知らなかった。
念のためご存じない方のために簡単に説明しておくと、EDRは正式名称「イベント・データ・レコーダー」というもので、事故時、いつブレーキが踏まれたのか、いつ衝突が起きたのかなどの情報が明確に記録されている、クルマに取り付けられた事故記録装置だ。いわば、飛行機の「フライトレコーダー」のようなものである。
2019年4月19日、池袋の都道で当時87歳の高齢者が10名もの人たちを死傷させた「池袋暴走事故」は日本中に知られている重大事故だが、その被告が頑なに「踏み間違いはなかった」と否定し続ける中、裁判で「あった」と認定された大きな根拠となったのが、このEDRのデータだった。
一方、CDRというのは、そのEDRからデータを読み出すために必要な機械で、これがなければEDRはただの箱と化す。今回の研修は、このEDR、そしてもう1つの事故記録装置であるACM(エアバッグ・コントロール・モジュール)とCDRの接続方法、そしてそのCDRとデータを読み出すパソコンへの接続の方法を学ぶというものだった。
CDRでの読み出しプロセス(※ボッシュ社提供)
班別でのトレーニングシーン
車両からデータの読み出しを行っているシーン
EDR(手前の固定された部品)にCDRを接続してデータを読み出す
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