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JAPAN MOBILITY SHOW 2023 レポート(1)CASE時代を先駆けるホンダとBYD。リアルな電動車を多数展示し来場者を魅了!

2023年12月2日更新

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今のクルマのメインテーマは早急なCASE(※)の実現である。特にE=電動化の実現は、カーボンニュートラルの観点からも喫緊の課題となっている。
※CASE:C(コネクテッド)、A(自動化)、S(シェアリング)、E(電動化)

この状況下において、クルマの未来を見せる展示は結構難しい。来場者の多くが、おそらくこんなふうに考えているからだ。

「夢のコンセプトカーは実現が遠そうでピンとこない。それよりも、数か月から3年以内に販売されるリアルな実車展示のほうが心ときめくかも……」。

10月26日~11月5日に東京ビックサイトで4年ぶりに開催された東京モーターショー改めJAPAN MOBILITY SHOWは、まさにそんな感想を抱く展示会となっていた。

まずは、気になる主要メーカーの展示から見ていこう。

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〈トヨタ〉
EVの本格展開は
まずレクサスから?

トヨタは2026年までに複数のEVをリリースし、世界で150万台のEVを販売する態勢とすることを目指している。

ブース内のメインステージには、おそらく、そのひとつとなるであろうEVが2台展示されていた。

1台はスポーツタイプのEV「FT-Se」、1台はSUVタイプのEV「FT-3e」。ともに理想の形を追求したコンセプトカーではあったが、そこそこリアルで、そう遠くない日に街中を走り出しそうなムードが漂っていた。「FT-3e」については航続距離が約1,000㎞に及ぶことも明らかにされていた。

この展示は、マルチパスウェイ路線のトヨタが、ついにその一角であるEVの開発に本腰を入れはじめた証と見えた。

ただ、どれも発売時期、販売地域が未定なまま。そうしたところに、まだまだ本気度マックスとは言い難い部分も感じられた。

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一方、トヨタ系列のレクサスブースのメインステージには「LF-ZC」という結構リアルなEVコンセプトカーが、2026年の発売を目指すというアナウンスのもとで展示されていた。

低床バッテリー構造で全高を抑えたコンパクトかつスポーティなEVセダン。しかも航続距離は約1,000㎞。

来場者からは「乗りたい」「欲しい」との声がいくつも出ていた。見た目の格好よさだけでなく、まもなく発売されるというインパクトの大きさが影響した結果の声だった。

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トヨタのリアルなEV展開は、やはりレクサスから、ということになりそうだ。

〈日産〉
夢いっぱいも
現実味は希薄

日産は、前回のモーターショーで新型EVのアリアとサクラのリアルなEVコンセプトカーを展示し、その後、あまり間を置かず順次発売した。

さすが「やっちゃえNISSAN」と思ったものだ。

ところが、今回、次期EVらしきリアルな車両の姿はなかった。

メインステージに展示されたGT-R風であったりセレナ風であったりするCASE関連のコンセプトカーは斬新ではあったものの、どれも遠い未来の乗り物だった。この中からすぐに発売に至るものはないだろうと思わせた。

前回同様の展開を期待していた者にとっては、少々がっかりの展示といえた。

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〈ホンダ〉
電動化に向けた
確かな前進を示す

ホンダブースのフロアには、リアルな電動車の実車とコンセプトカーが何台も置かれていた。

2024年の春の発売が決定している軽バンEV「N-VAN e:」、2024年に北米市場で販売が開始されるセダンタイプEVの「プロローグ」、そして、市販化を前提に開発されたハイブリッド車の「プレリュード コンセプト」などなど。

来場者に、手の届く未来の喜びを感じさせる展示となっていた。

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また、メインステージ上には、GMとともに開発した自動運転EV「クルーズ・オリジン」が展示されていた。尖ったスタイリングでコンセプトカー然としているが、実はこれ、ホンダが2026年初頭にはじめるという無人タクシー業務用の車両。まさにCASE時代の夢を体現する1台だった。

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ホンダは2040年にすべての市販車を電動化することを宣言している。今回の展示は、その確かな前進を示していた。これから続々出てくるであろうホンダの電動車群に注目したい。

〈BYD〉
日本市場を刺激する
高品質・低価格EV群

世界のEV市場でトップに躍り出た中国のBYD。昨年から日本市場での販売にも力を入れはじめている。

海外メーカーの出展が極めて少なかった今回のJAPAN MOBILITY SHOWにおいても、リアルなEVを何台も引っさげ、積極的な展示を行っていた。

フロアには2023年に日本でも発売となったミドルサイズSUV「ATTO 3」、コンパクトEV「DOLPHIN」のほか、日本では発売未定のEVの実車がずらりと並んでいた。

まるで新車発表会の様相だが、今のCASE時代に相応しい展示形態とも感じられた。

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そして、メインステージ上では、話題の「SEAL」2台(シングルモーター仕様と4WD仕様)が披露された。

既に本国では大人気となっているスポーティなEVセダン。日本には2024年の春ごろに上陸する予定だという。

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ブースの説明員は、このSEALについてこう語っている。

「SEALはテスラ モデル3をライバルに想定して開発された1台。スタイリッシュなデザインに加え、モデル3を上回るか同等の走行性能、自動運転機能を持っている。日本での販売価格は未定だが、魅力的な設定でリリースしたい」

現在、日本市場では高品質・低価格のEVの投入によるBYDショックなる言葉が流布しているが、SEALがそのショックをさらに拡大させるのは間違いなさそう。メーカー同士の切磋琢磨からよりよいクルマが誕生することを望むユーザーにとっては大歓迎の現象といえる。

JAPAN MOBILITY SHOW 2023 レポート

(1)CASE時代を先駆けるホンダとBYD。リアルな電動車を多数展示し来場者を魅了!

(2)三菱自動車とスズキは自社の個性を前面に出した電動コンセプトカーを披露!

(3)ブリヂストン、横浜ゴム、パナソニックはEV対応の自社製品を展示!

(4)配送業の「カーボンニュートラル」を応援。発売間近のオーソドックスな軽バンEVたち!

(5)「まさにユニーク!」。ベンチャー企業の軽バンEVにはプラスαの魅力がいっぱい!

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