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「東京モーターショー2017」ルポ(5) 新エコタイヤはEVのよさを加速させる!

2017年11月14日更新

第45回東京モーターショー2017の最後のルポとして、ロータスの提携企業であるブリヂストンと横浜ゴムのブースに展示されていた最新のエコタイヤについて紹介したい。

タイヤなくして
クルマの進化なし

モーターショーにおけるタイヤメーカーの展示ブースはとても地味である。
クルマの各メーカーがコンセプトカーをはじめとした車両を多く展示するために大きなスペースを取り、いたるところに煌びやかな演出を施し、手の込んだ映像を流しているのと比べると、あまりにひっそり佇んでいるので、つい見逃してしまいそうになる。

これは、タイヤという丸くて黒くて目立たない存在ゆえの宿命といえるところがあるわけだが、しかし、だからといってスルーするというのはいただけない。クルマの未来は、この地味な存在を抜きにしては語れないことを改めて思い出し、しっかりと関心をもつべきである。

なにしろ、クルマがエンジン車→HV→PHEV→EVと大きく変わっても、その走り支えるのは、いつも4本のタイヤだ。丸くて黒くて目立たないタイヤは、クルマのすべての変化を受け入れ、身を削りながら黙々と仕事をしている。縁の下の力持ちならぬクルマの下の賢者といったところ。ちょっと持ち上げすぎかもしれないが、クルマが空を飛ぶようにならない限りは、永遠に不滅ともいえる存在なのである。

しかも、このタイヤは日々進化している。一見すると同じ表情だが、その実、機能は昨日のものとまったくちがっていたりする。われわれ取材班は、今回、ブリヂストンと横浜ゴムのブースにおいて、その実感を改めて強くした。

高いエコ性能ologic技術
ブリヂストン

ブリヂストンの展示テーマは、「Journey of Innovation for Sustainable Mobility」。タイヤメーカーであることを考慮すると、「持続可能なモビリティを支える革新の歩み」といった意味になるだろうか。

そのテーマを象徴するように、小さなステージ上には、ブリヂストンの低燃費タイヤ技術であるologic技術を採用したソーラーカー用タイヤを履いた工学院大学のソーラーカーOWL(アウル:2015年ワールドソーラーチャレンジで第2位)が展示されていた。

★BRブースweb

ologic技術とは、タイヤの幅を狭くすることで空気抵抗を少なくするとともに、タイヤの径を大きくすることで路面と接する部分の変形を抑制して転がり抵抗を低くするというエコな技術。実験的なソーラーカーのみならず、低燃費タイヤのECOPIAシリーズのひとつとして商品化されていて、それはBMWのEVであるi3に新車装着されるなどしている。

BMWのEVに装着されているologic技術採用のECOPIA

BMWのEVに装着されているologic技術採用のECOPIA



そもそもよく転がるエコタイヤ=低燃費タイヤを履くと、エンジン車やHVであれば燃費向上につながり、EVの場合は電費向上につなげられるのだが、ologic技術は、そこにプラスαの効果と価値を生んでいるというわけだ。

径が大きいので、まだすべてのクルマにフィットさせられないようだが、今後はさまざまな車種用のologic技術を採用したECOPIAがでてくるものと思われる。いや、もしかすると、これからのEV時代、クルマ自体がこのologicのECOPIAに合わせた設計になる可能性だって大いにある。はたしてどうなるか、推移を見守ろう。

★BR展示タイヤ2web

ちなみにブリヂストンは、今回、空気充填を不要にするタイヤ技術であるエアフリーコンセプトを採用したタイヤを履いた自転車も展示していた。われわれは、これを単なる話題づくりの展示とは見なかった。もし、将来、自動運転の時代になったとしても、突然のタイヤのパンクによって事故が起こる可能性は否定できないわけで、それを考えれば、こうしたタイヤの開発は必須といえる。ブリヂストンはそのことをしっかり視野に入れているのではないだろうか。いまは自転車用であっても、そのうちクルマ用の開発が進むのではないだろうか。期待半分で、強くそう思った。

25%も軽いBluEarth-air
横浜ゴム

この10月に100周年を迎えた横浜ゴムの展示ブースには、現行商品を中心に、たくさんのタイヤが展示されていた。

★Yブースweb

そんななか、われわれの目を惹いたのは、世界初公開となるライトウエイト低燃費タイヤのBluEarth-air EF21の展示だった。
なんでも同社の従来品であるADVAN dB V551と比べると25%も軽くなっているのだという。

従来品ADVAN dB V551(右)より25%も軽いBluEarth-air EF21

従来品ADVAN dB V551(右)より25%も軽いBluEarth-air EF21



25%といってもピンとこないかもしれないということで、その展示コーナーでは、上記二つのタイヤの重さを測る機械が置いてあり、実際の重量が数値で示されるようになっていた。

ADVAN dB V551

ADVAN dB V551



BluEarth-air EF21

BluEarth-air EF21



それを見ると、BluEarth-air EF21は12.35kg。かたやADVAN dB V551は17.25kg。なんと1本で5kg近くもちがっていた!
われわれは、驚きの勢いにまかせて、近くにいた横浜ゴムの担当者に向かって、この事実を賞賛した。すると、どうだろう、担当者は苦笑しながらこういったのだった。

「いや、じつはですね、この数値にはちょっとトリックがありまして、ホイールの重さの差も入っているんですよ。タイヤ単体の比較でいうと、だいたい2.5キロほどの差となります」

この告白に、われわれも苦笑を禁じ得なかった。なあんだ……。だが、BluEarth-air EF21がDVAN dB V551よりも1本で2.5kg軽いということは、4本にすると10kgも軽いことになるので、それはそれですごいことに変わりはなかった。驚きは、じわじわと蘇ってきた。

エコカーといわれるクルマは、燃費や電費をよくするために車両重量を軽くすることが大命題となっている。そのせいで、最近のクルマは過度ともいえるダイエットを強いられている。しかし、この軽いBlueEarth-air EF21は、さらなる燃費や電費の向上に貢献するとともに、車体のダイエットに多少のゆとりをもたらすだろう。それが、安全性などに波及するとしたら、おおいに結構なことである。

さすが、早くからDNAそしてBlu Earthといったブランドでエコタイヤの一般認知を広めた横浜ゴムである。今回、「あなたの歓びのために走り続ける、先駆け続ける。次の100年もあなたと」という素晴らしい標語を掲げていた。EVシフトを強めるこれからの時代にも、ぜひ先駆けたタイヤを開発し続けてほしい。


このパートをもって、第45回東京モーターショー2017のルポを締めくくりたい。どうだろうか?「BEYOND THE MOTOR」は感じられただろうか?

このごろの東京モーターショーは開催を重ねるごとに出展メーカーが減り、規模も縮小されつつある。今回もその傾向は感じられた。だが、いまこそクルマの大きな変革期であり過渡期だといえる。EVをはじめとする先端技術が普遍化していけば、おそらく多くの人がクルマの新たな魅力を感じはじめ、再び自動車を取り巻く環境が活性化していくことが予想される。モーターショーも然りだろう。なので、気は早いが、次回、2年後のモーターショーが楽しみで仕方がない。クルマを愛する皆さん、ともに「BEYOND THE MOTOR」を追いかけつづけよう!

(文:みらいのくるま取材班)

(1)EV未発売メーカーも電動化に本腰!
(2)リアルさ満点のEVコンセプトカーたち!
(3)三菱は小型車からSUVまでEV化をめざす!
(4)スズキは現実路線のなかでEV開発を進める!
(5)新エコタイヤはEVのよさを加速させる!

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