ロータスクラブが運営するクルマとあなたを繋ぐ街「ロータスタウン」

みらいのくるまの「ただいまのところ」情報

次世代エコカー勉強会〈15時限目〉常識を破るテレマティクス自動車保険(前編)

2021年3月25日更新



このごろ「テレマティクス自動車保険」という言葉を耳にするようになった。しかも、従来型の自動車保険から切り替える人がかなりいるという。これはどんな仕組みの、どのようなメリットがある保険なのか? ……さっそく勉強会を開催しよう。

テレマティクスは
コネクテッドの技術の一つ

テレマティクス自動車保険の「テレマティクス」は、CASE(コネクテッド、自動運転、シェリング&サービス、電気自動車)の中のコネクテッドにあたる技術(情報システム)の一つだ。

具体的にどのようなものかについては、テレマティクスが扱う情報(データ)の流れを追って見ていくとわかりやすい。

①クルマに「位置が把握できるGPS」や「クルマの挙動や運転状況などが感知できる各種センサー」が組み込まれた機器を搭載。

②それらから得られたデータを、やはりクルマに搭載した「通信モジュールが組み込まれた機器」もしくはドライバー所有のスマートフォンでつないだインターネットによって遠隔地にある情報センターへと送信。

③情報センターは、受け取ったデータを元にクルマの位置・状態やドライバーの運転状況などを分析(分析データを作成)。

④情報センターから分析データを得た自動車関連企業などが、個々のドライバーに役立つ情報やサービスをインターネットを通して提供。



そう、テレマティクスはクルマをセンサー化・IT化させることで、ドライバーに有益な情報やサービスをタイミングよくもたらす技術(情報システム)なのである。

ちなみに、このテレマティクスの原型は、1980年代にF1の世界においてホンダが無線を通して走行中のマシンのエンジンの状態を把握・共有できるように開発した「テレメトリーシステム」だという説がある。

当初のテレメトリーシステムはインターネットではなく無線を使っていたので、その点は違うものの、その後にインターネットを使うようになったことや、テレマティクスが「テレコミュニケーション(遠距離電気通信)」と「インフォマティクス(情報処理・情報科学)」を組み合わせた造語であることなどを考えれば、確かに原型的なところがあると言えそうだ。

テレマティクス自動車保険は
安全運転で保険料が割引される

こうした便利なテレマティクスの技術を活用して商品化されているのがテレマティクス自動車保険だ。

その概要は、国土交通省の資料にある表現を一部借りながら述べれば以下のようになる。

◎テレマティクス自動車保険は、クルマなどの移動体にGPSや各種センサーならびにインターネットの通信システムを組み合わせ搭載することで、保険会社が自社の保険契約者であるドライバーにサービスや情報などを提供することができる自動車保険である。

◎クルマに設置した端末機からインターネット経由で送られた走行距離や運転速度・急ブレーキなどの運転情報(データ)を保険会社が取得・分析し、その事故リスクの度合いに応じて保険料率を算定。例えば、事故リスクの少ない運転が一定期間継続されていると認定されれば、そのリスクの少なさに応じた割引がされる(等級による割引とは別の割引がされる)。

◎取得した情報を元に、ドライバーに対して安全運転アドバイスなどの情報サービスを提供することが可能。

◎さらに事故時には、衝撃を感知したデータで事故の発生がすぐに確認できるため、迅速な事故対応サービスが行われる。

◎現在、商品化されているテレマティクス自動車保険は、走行距離連動型(PAYD:Pay As You Drive)と運転挙動連動型(PHYD:Pay How You Drive)の2種類に分かれている。ただし、中には両方の特性を備えた商品もある。

 





繰り返しになるが、テレマティクス自動車保険は、クルマがセンシング機能を持ち、インターネットにつながることで可能になった革新的な自動車保険である。ドライバーにとっての主なメリットは、個々の運転距離もしくは運転行動に応じた保険料の割引があり、タイムリーで的確な安全運転アドバイスが提供され、迅速な事故対応サービスを受けられるというものだ。

常識を破るテレマティクス自動車保険(前編)

常識を破るテレマティクス自動車保険(後編)

関連キーワード

  • ロータスカードWeb入会
  • ロータスカードWeb入会
  • 店舗検索
  • 店舗検索
  • 楽ノリレンタカー
  • 楽ノリレンタカー

あわせて読みたい

  • 2017年の注目ニュース② 自動運転の最高位が「レベル5」になるらしい。

    みらいのくるまの「ただいまのところ」情報

    2017年の注目ニュース② 自動運転の最…

    このコーナーで昨年(2016年)の6月、「自動運転車は技術の度合いに応じて区分がレベル1からレベル4まである」と書いた。ところが、その半年後となる12月、その区…

    2017.03.13更新

  • 次世代エコカー勉強会〈19時限目-後編〉2023年4月施行の改正道路交通法で自動運転レベル4へ

    みらいのくるまの「ただいまのところ」情報

    次世代エコカー勉強会〈19時限目-後編〉…

    歩行者と同様に歩道を走る遠隔操作型小型車2023年4月施行の改正道路交通法では、届出制により遠隔操作型小型車が歩行者として取り扱われることになった。遠隔操…

    2023.04.25更新

  • ALL JAPAN EV-GP SERIES 2023 第1戦 レポート(1)―TAKAさん選手、久々ながらも貫禄のポールポジション!

    みらいのくるまの「ただいまのところ」情報

    ALL JAPAN EV-GP SERI…

    今年で14シーズン目となるALLJAPANEV-GPSERIES2023(全日本電気自動車グランプリシリーズ2023)の第1戦「全日本筑波EV55㎞レ…

    2023.05.11更新

  • 『CEATEC JAPAN 2018』ルポ(前編)‐スマホ化したクルマはとても楽しいのである。

    みらいのくるまの「ただいまのところ」情報

    『CEATEC JAPAN 2018』ル…

    『CEATECJAPAN2018』が2018年10月16日~19日、千葉県にある幕張メッセで開催された。会場には「インターネットにつながるクルマ」が多数展示…

    2018.11.12更新

  • 『人とくるまのテクノロジー展2019 横浜』ルポ① 三菱車とスズキ車に縁が深いバッテリーSCiBの長寿命性のワケ  を知る!

    みらいのくるまの「ただいまのところ」情報

    『人とくるまのテクノロジー展2019 横…

    『人とくるまのテクノロジー展2019横浜』(公益社団法人自動車技術会主催)が、5月22~24日にパシフィコ横浜で開催された。この展示会は、1992年にエンジ…

    2019.06.25更新

  • BookReview(36)『2023年版 間違いだらけのクルマ選び』―新型クラウンは素晴らしい。でも、サクラとeKクロスEVもすごくいい!

    みらいのくるまの「ただいまのところ」情報

    BookReview(36)『2023年…

    新型クラウンの出来に故・徳大寺氏もうなる!?2022-2023日本カー・オブ・ザ・イヤーは、画期的な軽EVの日産サクラと三菱eKクロスEVに決まった。こ…

    2023.01.12更新

< 前のページへ戻る