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次世代エコカー勉強会〈15時限目〉常識を破るテレマティクス自動車保険(後編)

2021年3月25日更新



この時代にフィットした自動車保険であるテレマティクス自動車保険。その普及は、世界的に進んでいるようだ。ただし、欧米と日本では多少温度差があるようだ。これまでの歴史と普及の状況を確認しておこう。

欧米では2000年代から
急速に普及

テレマティクス自動車保険の歴史は意外に古く、1990年代にアメリカで胎動が始まったという。

デロイトトーマツコンサルティングの資料によれば、1992年にアメリカの保険会社であるプログレッシブ社が走行距離と交通事故のリスクに相関関係があることを実験で実証し、それによって走行距離連動型(PAYD)のテレマティクス自動車保険の原型が生まれたのだという。

そして、ITが急速に進化した2000年代に入ってからはアメリカの大学や自動車協会なども研究に参画して走行距離以外のデータ(速度、加速、位置、ブレーキなど)と組み合わせたテレマティクス自動車保険の有効性も明らかにし、そこから運転行動型(PHYD)のテレマティクス自動車保険が誕生したということだ。

これが一般に紹介されると、ドライバーの支持を得てアメリカのみならず、イギリスをはじめとした欧州各国でテレマティクス自動車保険が各保険会社から商品化され、急速に普及することとなった。現在、国によっては自動車保険契約のうちのテレマティクス自動車保険の割合が1割以上を占めるまでになっている。

それにしても、なぜ、欧米でテレマティクス自動車保険の開発・商品化が早くから進み、かつ急速に普及することになったのだろうか?

IT先進地域ということもあるが、実は欧米では基本的に保険料が高いうえに日本の等級のような割引制度がないために保険加入率がかなり低いという現実があり、それを何とかしようと保険会社が積極的にテレマティクス自動車保険の開発・商品化を押し進めたことが大きく影響した。

そして、消費者側は、その商品化されたテレマティクス自動車保険の適正な運転を続ければ高い保険料が割引になるメリットと、安全運転の実現につながる有用な情報サービスがある貴重さを評価し、加入意向を強めたのだ。

日本の状況をリードする
あいおいニッセイ同和損保

この欧米の様相に比べると、等級による割引がある日本においてはテレマティクス自動車保険の認知も普及も遅れ気味なのが現状だ。だが、最近、各社からオトクな割引システムと安全運転につながる情報サービスが備わったテレマティクス自動車保険が商品化されてきており、徐々にではあるが広い認知と普及への兆しが見え始めている。

その中でも、あいおいニッセイ同和損害保険の商品は、最も充実し進化したものとなっている。

同社は、2004年に日本初の走行距離連動型(PAYD)のテレマティクス自動車保険を発売した。2015年にはイギリスのテレマティクス自動車保険最王手のITB社を買収して運転挙動連動型(PHYD)のノウハウを手に入れ、それを元に日本の実情に即した運転挙動連動型の商品の開発・販売につなげた。充実進化の背景には、そうした実績がしかと存在しているのである。

2020年11月時点の同社の代表的なテレマティクス自動車保険としては『タフ・つながるクルマの保険』(2018年4月発売)と『タフ・見守るクルマの保険プラス』(2020年1月発売)の二つが挙げられる。それぞれの内容は、欧米のテレマティクス自動車保険を凌駕するほどに進化していると言って過言ではない。

『ロータスタウン』の関連記事
あいおいニッセイ同和損保のテレマティクス自動車保険
前編:「われわれは安全運転で割引がされる日本初の自動車保険を提供しています」
中編:「2021年から『タフ・つながるクルマの保険』は自動運転を割引対象に加えます」
後編:「月額100円の特約保険料でテレマティクス自動車保険に加入できるようになります」

● ● ●


今、クルマの世界がCASE化していると盛んに言われている。

しかし、そこに向かっているのはクルマ本体だけではない。テレマティクス自動車保険のように、クルマやカーライフに密接に関わる商品もCASEに沿った方向で、高度で魅力的な進化を遂げている。

安全・安心・快適に、バリューを加えたカーライフを実現するための決め手の一つとして、今後、日本でもこの画期的なテレマティクス自動車保険に加入することを選ぶドライバーが増えていくのは間違いないだろう。

常識を破るテレマティクス自動車保険(前編)

常識を破るテレマティクス自動車保険(後編)

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