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第26回 日本EVフェスティバル レポート② – エクリプスクロスPHEVは、エンジン車から乗り換える電動車として“賢い選択”といえそう。

2021年1月14日更新



Honda eに続いて試乗したのは、日本EVフェスティバルが開催された前日の12月4日に発売されたばかりの三菱自動車のエクリプスクロスPHEVだ。

この一台、エンジン車のエクリプスクロスのマイナーチェンジに乗じて発表されたものなので、そう華々しい登場感はなかった。だが、2009年のi-MiEVに始まり2013年のアウトランダーPHEVに連なる三菱自動車の新しい電動車であることを考えれば、その登場の意義はかなり大きいといえた。

三菱自動車は時代に先駆けた電動車の開発・販売と普及にずっと本気で取り組み続けており、エクリプスクロスPHEVはその最新の証左となっているのである。

やんちゃさが影を潜め
ちょっと大人な外観に

外観から見ていこう。

三菱自動車のHPによれば、マイナーチェンジにおけるデザインコンセプトは「DARING GRACE 大胆にして優雅」なのだそうだ。

私的な印象を言えば、「大胆」は主にフロントやリアの力強く頼もしいデザインに表れ、「優雅」は主に前後を長くした伸びやかなスタイリングに感じられた。そうしたデザインの変化によって、エクリプスクロスPHEVは、マイナーチェンジ前とは違う個性を醸していた。

とくに伸びやかなスタイリングがもたらす影響は大きいように思えた。以前のエクリプスクロスは、キビキビ走るコンパクトなSUVとして定評はあったものの、悪く言えば寸詰まりなところがあり、それがちょっとやんちゃな印象を与えていた。新しいデザインでは、サイズが前後に長くなったことでそれがぐんと薄まり、けっこう大人なクルマになっていたのである。20代30代はもちろんだが、40代50代さらには60代が乗ったとしてもぜんぜん違和感がない。



試乗に同乗してくれた、シュアな評論に定評があるモータージャーナリスト諸星陽一氏によると、このPHEV版はアウトランダーPHEVと同じプラットフォームを使用しているとのこと。それ故に前後を長くする必要があり、物理的必然が優雅さを生んだというわけである。

インパネ周りに新鮮味はないが
PHEVで400万円を切った

ドアを開けて運転席に乗り込んでみると……少しガッカリした。

内装はしっかりつくられてはいるものの、インパネ周りがいつかどこかで見たような趣きで、新鮮味ならびに未来感に欠けていたのだ。



その不満めいた感想を諸星氏に伝えたところ、「ああ、この部分もピュアエンジンモデルとほぼいっしょなんですよね」との事実追認だけがあった。そこからは「マイナーチェンジなんだから、それは仕方がないんじゃないですか」というなだめが言外に伝わってきた。まあ、確かに何でもかんでも新しくなんていうのは欲張り過ぎかも知れない。

実は試乗を終えた後、会場内にブースを出していた三菱自自動車の広報担当者にもこのことを聞いてみたが、そのときもはやはり同様の回答だった。加えて、従来のものを活用したことによるプラス面に目を向けてほしいとの指摘もされた。

「なるべく多くの方にPHEVという魅力的な電動車に乗っていただくためには、エンジン車との共用部分を多くして価格を抑える必要があったわけです。実際、エンジン車よりは高いにしても、ベースモデルの車両本体価格が約385万円と400万円を切ることができました。これは、相当にいい評価をいただける部分だと思っています」

「高い高い」と言われてなかなか購入者が増えない電動車。だからこそ、そういう現実的なブレイクスルーもあるのである。

SUVのSの文字が大きい
エクリプスクロスPHEV

さて、走りのインプレッションだ。

どんな走りだったかについては、約15分間の街中試乗の間に諸星氏と交わした以下の会話の内容から読み取っていただきたい。



——(アクセルを踏んで発進)あ、軽い。以前乗ったアウトランダーPHEVよりも走りが軽快な印象です。

諸星 搭載されているPHEVシステムやS-AWCという足まわりのシステムもアウトランダーPHEVと同じなんですけど、走りの味付けをよりスポーティにしてあるんですよ。

——同じシステムでも設定次第で走りが変えられるんですか。

諸星 そうなんです。SUVってスポーツユーティリティヴィークルの略ですが、エクリプスクロスPHEVはそのうちのS=スポーツの文字が大きいクルマの味付けがされている。対してアウトランダーPHEVは走りもいいんですけど、ボディが大きくて荷物もゆとりをもって詰め込めますからU=ユーティリティの文字が大きいクルマの味付けがされている。車格に沿ったうまい棲み分けがされているということです。

——おっしゃっている意味、何となくわかります。ただ、スポーティとはいえ、エンジン車のエクリプスクロスのスポーティさとはまたちょっと雰囲気が違っています。うまく言えませんが、もう少し大人っぽいスポーティさというか……。

諸星 それはEVやPHEVなどの電動車がもっている共通の走行感ですね。モーターによる走りはスムーズで振動もないからからやんちゃな感じが少なくなるんです。でも、だからといってエクリプスクロスPHEVがつまらないスポーツ走行をするクルマというわけではない。今回は街中を低中速で試乗するだけなのでそれが実感できませんけど、高速道路やワインディングなどを走れば、相当に爽快かつ楽しい走りが満喫できると思いますよ。

なお、先ほど紹介した三菱自自動車の広報担当者もエクリプスクロスPHEVのスポーツ走行の良さに言及しており、こんな開発秘話を教えてくれている。

「実は、このクルマの開発メンバーにはかつてランサーエボリューションの走りの部分を担当した人間も入っているんです。これは、エクリプスクロスPHEVがいかにいい走りにこだわっているかを示す証の一つになっていると言えます」



EVに不安を覚える人には
PHEVの選択がオススメ

試乗を終えた後、諸星氏に「いま、電動車を購入するとしたら、どんなクルマを選べばいいと思いますか」と尋ねてみた。氏は現実を踏まえたうえで明快な回答をしてくれている。現在、電動車の購入を検討している方は、ぜひ参考にしてもらいたい。

——これからはクルマがどんどんと電動化していく時代です。そんな中、今までエンジン車に親しんできたユーザーは、どんな電動車を選べばベストといえるんでしょうか? 環境のことを考えれば、おそらくEVが最適解なんでしょうけど、まだ価格が高いし、電欠の恐れや充電場所を探す面倒もあるように思います。

諸星 価格のことが気にならず、充電器が設置できる自宅を持ち、ときどきしか長距離を走らない人であれば、いますぐにEVを選んでもぜんぜん問題ないと思います。あとはクルマ通勤者で職場で普通充電ができる人も大丈夫でしょう。しかし、そうではない人、例えば充電器を設置するのに全住民の合意がいるマンション暮らしの人とかはちょっと乗りづらいことになるかも知れません……。そういう方、けっこういますよね。

——いると思います。

諸星 なので、現時点での総合判断でいうなら、電動車の中でも価格がそこそこに抑えられていて、かつ走行中にエンジンがバッテリーに充電をして電欠する心配がないPHEVが、今すぐ電動車を選ぼうという人にとってはベストな一台になるような気がしますね。

——では、今回のエクリプスクロスPHEVもその候補の一つに挙がる、と。

諸星 ええ。走りがいいのはもちろんですが、三菱自動車は早くから電動車をやってきているのでテクノロジーの信頼性が高いうえに故障したときのノウハウが充実しているという長所もある。この一台を購入するというのはかなり賢い選択になると思いますよ。



① Honda eも「みんなでCO₂削減!!」へ向けたさまざまなる意匠の一つ。

② エクリプスクロスPHEVは、エンジン車から乗り換える電動車として“賢い選択”といえそう。

③ 三菱自動車はCO₂排出量が最少となるPHEVを中心に電動車比率を高めてゆく。

④ EVオーナーは環境性能に加えて走りに惚れて購入を決めている。

⑤ 世界地図を描き変える勢いでみんなで手を組みCO₂排出ゼロを目指そう。

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