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あいおいニッセイ同和損保のテレマティクス自動車保険(前編)「われわれは安全運転で割引がされる日本初の自動車保険を提供しています」

2020年10月13日更新



「事故のあとの保険から事故を起こさない保険へ」

これは、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社(以下、あいおいニッセイ同和損保)の『タフ・つながるクルマの保険』(2018年4月発売)と『タフ・見守るクルマの保険プラス』(2020年1月発売)の魅力をアピールするキャッチコピーだ。



なかなかに刺激的なコピーなわけだが、従来の自動車保険とは違った、以下のようなスペシャルな三つのサービスを保険契約者に提供することによって、こうした表現が可能になっている。

①〈ドライブレポート/運転レポート〉&〈マンスリーレポート/月間レポート〉
普段のカーライフにおいて、スマートフォンのアプリを通して1回ごとの運転挙動(スピード・ブレーキ・アクセル)をスコアで評価する〈ドライブレポート/運転レポート〉が送られてくる。また、1ヵ月ごとに安全運転スコアおよび総評と安全運転アドバイスの〈マンスリーレポート/月間レポート〉が送られてくる。



②〈安全運転スコアに応じた保険料の割引〉
安全運転を続けた場合、通常の等級アップによる割引に加え、上記①の安全運転スコアに応じた保険料(運転分保険料)の割引が受けられる(さらに、『タフ・つながるクルマの保険』は走行距離連動型でもあるため、走る距離が短ければその分保険料が安くなる)。





③〈緊急時リアルタイムサポート〉&〈あんしん見守りサポート〉
事故に遭遇した場合、その衝撃をセンサーなどが検知すると、自動的に保険会社のコールセンターへ通知し、専任オペレーターから安否確認コールを含めた〈緊急時リアルタイムサポート〉の連絡がドライバーのスマートフォンなどに入る。また、情報共有メール(事故発生の事実など)が家族などに送信される。



この三つのサービスの、特に①と②が「事故を起こさない保険へ」のアプローチを担っている。定期的な運転スコアと安全運転アドバイスの提示は、ドライバーの安全運転への意識と技量を高めていく。そして、安全運転スコアに応じた保険料の割引は、継続的な安全運転遂行へのモチベーションとなっていく。契約者は、このサービスによってまさに事故を起こさない運転を実施するようになるのである。

③の〈緊急時リアルタイムサポート〉&〈安心見守りサポート〉は「事故のあとの保険」のサービスではあるが、ドライバーが連絡せずとも保険会社がすぐに連絡をくれて適切な初期対応をサポートしてくれる点が従来の保険サービスとは大きく違っている。ある意味、事故による危険や心労を最少限に留める効果が望めるものとなっている。

それにしても、どうしてこんなに画期的なサービスが実現できているのか。

実は『テレマティクス』という技術にヒミツがある。

テレマティクスとは、「テレコミュニケーション(遠距離電気通信)」と「インフォマティクス(情報処理・情報科学)」を組み合わせた造語で、先端的なネットワーク技術のことだ。

これを使えば、GPSや衝撃感知センサーを内臓した専用のカーナビゲーションシステムや車載器から、位置情報やドライバー(契約者)の運転挙動(スピード・アクセル・ブレーキ)などが読み取れるとともに、それらデータを移動体通信システム(および情報通信ネットワーク運営会社)を通して瞬時に保険会社へと送ることができる。そして、その内容をすぐに解析し、ドライバー(契約者)へのフィードバックが可能となる。

あいおいニッセイ同和損保は、この技術を駆使することで先ほどの三つにサービスを実現させ、「事故を起こさない保険へ」という新境地を切り拓いた。しかも、来る2021年から、二つの保険はさらなる進化を遂げるという……。

今回、このテレマティクス自動車保険の概要と魅力を探るべく、ロータスタウン編集部は、あいおいニッセイ同和損保への取材を行った。

それに基づいて、この前編ではテレマティクス自動車保険の実現の経緯を、続く中編では『タフ・つながるクルマの保険』の概要ならびに進化版の概略を、最後の後編では『タフ・見守るクルマの保険プラス』の概要ならびに進化版の概略を紹介していくことにする。

英国のテレマティクス保険を
日本市場向けに改良進化させた

まず、なぜ、あいおいニッセイ同和損保がテレマティクス自動車保険の開発と発売に至ったかだが、これについては同社の新納啓介取締役常務執行役員に経緯を伺った。

あいおいニッセイ同和損害保険株式会社 新納啓介 取締役 常務執行役員



——御社がテレマティクス自動車保険を開発・販売することになった経緯を教えてください。

新納 われわれは、自動車保険のパイオニアを自負しています。常に最先端の自動車保険の開発と販売にチャレンジし、お客さまに大きな満足を提供してくことを使命としてきました。その成果が、テレマティクス自動車保険なのです。一番最初に出したのは、2004年の『PAYD(ペイド)』という実走行距離連動型のテレマティクス自動車保険です。

——15年も前から保険商品を出されていたのですね。

新納 これは「Pay As Your Drive」の略語を商標にしたもので、コネクテッドカーから送られる走行距離データに基づいて保険料が割引される保険です。日本初のテレマティクス保険の登場ということで、業界内にはインパクトを与えたと思います。

——Pay As Your Drive。ドライバーがどれだけ運転したかに応じて保険料が決まる……新しい発想の保険ですね。

新納 そうです。ただ、この保険、距離データは取れてもドライバーの運転挙動のデータは取れなかった。そのため、真の意味での安全運転に寄与できる保険、すなわち「事故を起こさない保険へ」とまでは言えなかった。運転挙動に連動して割引がされる保険となったのは、2018年に発売した『タフ・つながるクルマの保険』からです。

——運転挙動連動型の実現のきっかけは?

新納 2015年に、英国のテレマティクス自動車保険の最王手であるITB社を、当社が買収したことが大きな契機となりました。この買収によって、彼らが持っていた運転挙動連動のテレマティクス技術やビッグデータを一挙に手に入れることができたのです。これをもとにわれわれは、日本市場に合うように内容を磨いていき、2018年に商品化しました。

——テレマティクス自動車保険は、もともとは欧米の企業が先行して開発・販売していたわけですね。

新納 そうです。特に英国では、運転経験の浅い若者が保険に入ろうとすると、日本以上に高い保険料を払わなければいけないという状況がありました。そのため、若者の間で無保険車が横行し、彼らが起こした事故の被害者が十分な補償を受けられないという事案が頻発し、社会問題となりました。これをどうにかしようと生まれたのがテレマティクス自動車保険だったのです。若者の中にも安全運転をして事故を起こさない人は当然いるわけで、そうした人をテレマティクスの技術でスクリーニングして保険料の割引をすることによって、保険加入を促進しようという狙いです。

——そんな背景があったのですか。

新納 当時のテレマティクス技術はまだまだのところはありましたけれど、ITB社をはじめとしたテレマティクス自動車保険にはかなりの反響があり、若者の加入者を獲得していきましたし、若者以外の層をも引き付けることに成功しました。われわれがITB社を買収した時点で、彼らは契約者から得た数十億km分の走行データ、数万件の事故データを持っていました。それがあったからこそ、『タフ・つながるクルマの保険』と『タフ・見守るクルマの保険プラス』は開発できたと言えます。

——英国と日本では少し事情が違うでしょうけれど、『タフ・つながるクルマの保険』と『タフ・見守るクルマの保険プラス』も、事故を減らす効果があると考えてよいでしょうか。

新納 ええ、さまざまなデータに安全運転効果があるということが如実に表れてきています。例えば、保険契約者の事故頻度の比較では、一般の自動車保険の契約者よりもテレマティクス自動車保険の契約者の方が約2割の低減となっていますし、われわれが提供している「運転診断レポート」を閲覧しているお客さまは、閲覧していないお客さまに比べて15%以上事故頻度が低減しています。これは明らかに、われわれが提供している運転スコアや安全運転アドバイスといった情報サービスと、安全運転で保険料が安くなる割引サービスの賜であると思います。



時代と顧客のニーズを受けて
2021年からさらなる進化版が

——現時点(2020年9月)で、御社のテレマティクス保険の加入者はどれくらいいらっしゃるんでしょうか?

新納 発売してそれほど時間が経っていないにも係わらず、トータルの加入者は約50万人にのぼっています。これは、安全運転効果があることと割引のメリットを高く評価していただいている結果だと思っています。

——ところで御社は先日、テレマティクス自動車保険の進化版である新しい『タフ・つながるクルマの保険』と『タフ・見守るクルマの保険プラスS』を、2021年の1月から発売するとの発表をされました。これらは、どういった特長のものになるのでしょうか?

新納 一口で言えば、「より時代とお客さまのニーズに沿った保険」ということになります。新しい『タフ・つながるクルマの保険』は、CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング&サービス、電動化)の時代に相応しくLEVEL3以上の自動運転を割引の対象に加えます。もう一つの『タフ・見守るクルマの保険プラスS』は、これまで専用のドライブレコーダーを設置しないと各種サービスが受けられなかったところを、手軽で廉価に装着できる専用デバイスの装着で、誰でも気軽にテレマティクス自動車保険に加入できるようにしました。

——さらに画期的な内容の保険ということですね。

新納 最初に申し上げたとおり、われわれは常に最先端の自動車保険の開発と販売にチャレンジし、お客さまに大きな満足を提供してくことを目指しています。これら進化版の開発と販売もその姿勢の発露の一つ。どうかご期待ください。



※記事中の画像(取材撮影写真以外)および図表は、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社から提供されたもの、あるいは提供資料をもとに編集部で作成したものです。

(前編)「われわれは安全運転で割引がされる日本初の自動車保険を提供しています」

(中編)「2021年から『タフ・つながるクルマの保険』は自動運転を割引対象に加えます」

(後編)「月額100円の特約保険料でテレマティクス自動車保険に加入できるようになります」

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