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2023年3月14日更新
今月の達人
沼津中央自動車・今野秀明[第2回]
十数年前の「エコキャップ回収運動」への参加が、その後の環境への取り組みを加速させるこにつながった。
沼津中央自動車社長の今野秀明さんへのインタビュー第2回目は、この活動をはじめた理由や実施後に得られた効果などについてうかがった。
社会と環境に役立つ
小さなアクション
――2008年の「エコキャップ回収運動」への参加が、環境への取り組みの始まりだったというお話でしたが、参加までの経緯を教えてください。
今野 あのときは、静岡県のロータスクラブの集まりで当時の支部長が、「世間では2006年頃から社会貢献と環境保全につながる『エコキャップ回収運動』が盛んになっている。われわれもやってみてはどうか」という提案をしたのがきっかけです。
――それで、各社が取り組んだということでしょうか?
今野 いや、足並みが揃ったわけではありませんでした。実はそのとき、「社会貢献するなら、そんなちまちました活動よりも、ダイレクトに現金を寄付したほうがいいんじゃないか」という意見もかなりありましたから。でも、後でこの運動のことを調べてみたら、すごく意義あるものだとわかったので、私は率先して取り組むことにしました。
――エコキャップ回収運動に感じた意義を教えてください。
今野 まずは社会貢献のリアルさですよね。この運動ではキャップをリサイクル資材として売却したお金を、アフリカや東南アジアにポリオワクチンを供与するための費用に充てていました。私はこれにビビッときました。実は病死した私の兄は、幼い頃にポリオが原因で右足が不自由になり、長年苦労していました。その事実を知っていたので、「ポリオの害を減らす」という目的に強い共感を覚えたんです。
――そうでしたか。
今野 もう一つ、キャップを回収することが確実に環境への貢献になるということにも、取り組む意義を感じました。プラスチックのペットボトルのキャップは、ゴミとして焼却するとCO2が発生します。でも、回収してリサイクル資源に回せば、その分のCO2の発生を防げます。例えば、500個のキャップのリサイクルは約4000gのCO2の削減になるんです。つまり、いつも何気なくペットボトルと一緒に捨てていたキャップを、捨てないで回収に回すだけで脱炭素につながるということです。誰でも無理せずできるという点で、これはすごくいい環境運動だなと思いました。
――身の丈の活動であるということでしょうか?
今野 はい。当時はすでに脱炭素の必要性が叫ばれるようになっていました。それで私たちも脱炭素のためにやれることを探していたわけですが、あまりにテーマが大き過ぎてすぐに着手できることがなかなか見つけられませんでした。そこに、このエコキャップの回収運動の登場です。これなら、うちのような小さな会社でも取り組めると思い、すぐに実践しました。
お客さまとともに
447kgのCO2を削減
――実際の回収運動は、どのように展開されたんでしょうか。
今野 まず、社内でエコキャップ回収運動の意義を説いて協力を呼びかけました。最初は理解も浅く消極的だった社員もいましたが、いつからか、みんな進んでやるようになりました。今では、外出先から帰ってきた社員のポケットの中には、必ずキャップが1個・2個入っているようになりました(笑)。
――回収ボックスはショールームに置いてあります。お客さまも参加してくださっているのですか?
今野 はい。社員たちの呼びかけを通じて参加していただいています。みなさん当初から「へえ、整備工場でも環境のことをやってるんだね」と、好意的な反応でした。法人のお客さまの職場で集めて持ってきてくださったり、小中学生がわざわざ店舗に立ち寄って回収ボックスにキャップを入れてくれたり、エコキャップ回収にお輪が広がりました。そんなこんなで、2008年から2022年8月までの合計で約61,103個のキャップをリサイクルに回すことができています。これは計算上約447kgのCO2削減を行ったことになります。
――御社はある意味、回収ボックスを起点にして地域の環境への取り組み基地のようになっているのですね。
今野 基地というほど大それたものではありませんが、私たちのお店と整備工場が環境活動に熱心であるという認識は広まっていると思います。それに、お客さまに環境活動の大切さを訴えることも、積極的にやっています。2010年から自社の活動やクルマの情報を発信する『Free Wave』というニュースレターを定期的に発行しているんですが、こうしたコミュニケーション活動によってお客さまに私たちの考えや活動をお伝えしています。
――世間では、「エコキャップ回収運動」は以前ほど盛んではないようです。それでもこの運動を継続するお考えですか?
今野 ええ、続けます。私は、脱炭素は小さな環境活動の積み重ねの結果だと思っているんです。一人の人間にできることは本当に小さくて、「やってもやらなくても変わらない」とさえ思えます。でも、多くの人が小さなことをやり続けると、それは大きな成果になります。エコキャップ回収運動は、そのことを教えてくれます。この運動はわが社の環境への取り組みの原点であるだけでなく、環境活動の本質を社員に植え付けてくれる大事な教育プログラムなんです。だから、やめることは考えたことがないです。世にペットボトルのキャップがあり、回収運動が存続している限り、取り組み続けるつもりです!
[第1回]創業者の「地域に貢献する整備工場」への想いが、「環境に優しい整備工場」につながっています。
[第2回]誰でも無理せずできる「エコキャップ回収運動」が、私たちの環境への取り組みの原点です。
お店紹介
沼津中央自動車:1946(昭和21)年、今野嘉男氏(現社長の父)が静岡県蒲原町(現静岡市)にイマノエンヂンを創業。1954(昭和29)年に現所在地の沼津市に移転し、沼津中央自動車株式会社として法人設立。地域に貢献する自動車整備工場として発展する。1977(昭和52)年に全日本ロータス同友会(ロータスクラブ)に加盟。自動車販売事業では、2001(平成13)年に「スズキアリーナ沼津大岡」を開店。1997(平成9)年に今野秀明氏が社長に就任した後、2000年代から会社をあげて環境への取り組みを推進。2010(平成22)年に環境省の「エコアクション21」の認定を取得し、2022(令和4)年には日刊自動車新聞の「整備事業者アワード2022 環境対策部門」を受賞、また「SDGs行動宣言」を行った。
住所:静岡県沼津市大岡二ツ谷町1553-1
電話:055-963-1061(代)
HP:https://www.numazu-chuo.com
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