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2023年5月11日更新
今月の達人
沼津中央自動車・今野秀明[第5回]
沼津中央自動車では、お客さまに自社の環境への取り組みについて頻繁に報告している。ポスター、ニュースレター、ホームページ、etc.
同社社長の今野秀明さんへのインタビュー第5回目は、環境活動にコミュニケーション活動が必要な理由について――。
『環境経営レポート』を
冊子にして配布・説明する
――御社の環境への取り組みでは、お客さまへのコミュニケーション活動も重視されているようですね。
今野 とても大事なことだと思っています。私は、「想いの発信」と言っているのですが、環境について私たちがどのような気持ちで、何を考え、どんな想いで取り組んでいるのか、それをしっかり発信することがお客さまの共感を生む第一歩だと思っています。例えば「エコキャップ回収運動」では、お客さまに運動の意義をご理解いただきキャップの回収にご協力いただいています。また、エコ整備では、スキャンツールを使ったコンピュータ診断についてしっかりご説明してご理解いただいています。
――やはり「エコキャップ回収運動」への参加の呼びかけがきっかけになったのでしょうか?
今野 振り返ってみると、そうなりますね。それともう一つ、2009年に当社の「環境方針」を定めて、翌2010年に「エコアクション21」の認証を取得したとき、「環境方針」を公開したことが環境についてのコミュニケーション活動の原点になっているように思います。「環境方針」をポスターにして店内に開示してお客さまにもご覧いただくことで、「当社は環境への取り組みを積極的に行っています」ということをお伝えしたわけです。いまでは、そうやって自分たちの考えや姿勢をお伝えすることが大事だとわかっていますが、それは「環境方針」の公開からコミュニケーション活動を積み重ねて会得したことです。
――コミュニケーション活動としてどんなことに力を入れているのでしょうか?
今野 一番の柱は、「エコアクション21」の『環境経営レポート』を冊子にしてお客さまに配布し、説明することです。当社では、毎年「お客さま感謝祭」を開催してきました。この2年間はコロナ禍で開催を断念しましたが、「お客さま感謝祭」は当社にとってとても大事なお客さまとのコミュニケーションの場です。その機会を利用して、『環境経営レポート』の冊子をお客さまにお渡ししながらお話しすることで、ものすごく理解していただけたという実感があります。
環境活動と点検・整備は
つながっている
――お客さまにとって、自動車整備工場の環境活動は、クルマの購入や点検・整備といったことよりも関心が薄いのではないかと思っていましたが、そうではないということでしょうか?
今野 ええ、環境活動への関心は高いですね。だからこそ、お客さまへのコミュニケーション活動が重要なんです。当社では、個人・法人いずれのお客さまにもエコ・ドライブを呼びかけ、実践をサポートしていますが、お客さまがエコ・ドライブについて聞く耳を持ってくださるのは、『環境経営レポート』を通して当社の環境活動を知ってくださっているということが大もとにあると思います。
――お話をうかがっていて、環境活動とクルマの点検・整備がつながっているということがよくわかりました。
今野 当社は法定点検の実施率が70%くらいです。100%にしたいけれどもお客さまにもいろいろお考えがあるので70%くらい。それでも、自動車整備業界としては実施率が高い方だと思います。そうできているのは、環境活動とコミュニケーション活動が効いているからです。当社のエコ整備でクルマをいい状態に保ち、お客さま自身がエコ・ドライブを行って、燃費が良くなる……その流れから、お客さまは自然に「法定点検はやったほうがいいよね」と思ってくださっているんです。
さまざまなツールで
具体的なエコ活動を報告
――定期発行しているお客さま向けのニュースレター『Free Wave』や、ホームページやブログなどで、環境への取り組みを情報発信していらっしゃいますね。
今野 はい、それは意識的にやっています。先にお話しした「想いの発信」は、一度やったらそれでいいというものではないんです。継続的にやっていくというか……むしろ、常にやっていくという方が的を射ているかもしれません。小さな環境活動を毎日積み重ねていくと同時に、小さなコミュニケーション活動も毎日のごとく行っていく必要があります。それが、環境への取り組みの輪を形づくる秘訣だと思います。
――ホームページの更新一つとっても大変だと思いますが、御社のコミュニケーション活動を行い続けるには相当パワーが必要な気がします。
今野 そうかもしれませんが、環境活動と同じく、いまでは社内に浸透してごく自然にコミュニケーション活動を行えるようになっています。それに、常にコミュニケーション活動を行うことでお客さまの環境意識とニーズが高まり、それが逆にわれわれを刺激し、取り組みをより活性化させてくれるという効果もあります。
――そして、エポックメイクな出来事は大きく訴求するわけですね。店頭に昨年受賞した日刊自動車新聞主催の「整備事業者アワード2022 環境対策部門」のポスターが掲示されていました。
今野 あれは、内にも外にもいい効果をもたらしてくれたと思います。業界内の受賞ニュースですが、一般のお客さまにもけっこう響いています。多くのお客さまから、「環境にいい整備工場に愛車の面倒を見てもらえるのは嬉しいことだ」と喜んでいただきました。そういう言葉を聞くたびに、「時代の風とお客さまのニーズは大きく変わったんだな」としみじみ実感します。
[第1回]創業者の「地域に貢献する整備工場」への想いが、「環境に優しい整備工場」につながっています。
[第2回]誰でも無理せずできる「エコキャップ回収運動」が、私たちの環境への取り組みの原点です。
[第3回]スキャンツールを活用した「エコ整備」を実施。お客さまも大満足です。
[第4回]「エコアクション21」によって中小企業でもできる環境経営を実践しています。
[第5回]環境活動に取り組む“想い”をお客さまに伝えるコミュニケーション活動は不可欠です。
[第6回]地元愛を込めた「SDGs行動宣言」。お客さまとともに地域と地球の環境を守ります。
お店紹介
沼津中央自動車:1946(昭和21)年、今野嘉男氏(現社長の父)が静岡県蒲原町(現静岡市)にイマノエンヂンを創業。1954(昭和29)年に現所在地の沼津市に移転し、沼津中央自動車株式会社として法人設立。地域に貢献する自動車整備工場として発展する。1977(昭和52)年に全日本ロータス同友会(ロータスクラブ)に加盟。自動車販売事業では、2001(平成13)年に「スズキアリーナ沼津大岡」を開店。1997(平成9)年に今野秀明氏が社長に就任した後、2000年代から会社をあげて環境への取り組みを推進。2010(平成22)年に環境省の「エコアクション21」の認定を取得し、2022(令和4)年には日刊自動車新聞の「整備事業者アワード2022 環境対策部門」を受賞、また「SDGs行動宣言」を行った。
住所:静岡県沼津市大岡二ツ谷町1553-1
電話:055-963-1061(代)
HP:https://www.numazu-chuo.com
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