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みらいのくるまの「ただいまのところ」情報
2023年12月2日更新
EVの普及が進む欧米では、すでにEV専用タイヤの販売がはじまっている。
近々、日本でもハイパフォーマンス車を対象とした同様の製品が発売となる模様だ――。
そこで、ロータスクラブと提携するブリヂストンと横浜ゴムが展示していたEV専用タイヤ、そして車載機器・バッテリーの提携企業であるパナソニックが展示していたEV車用部品の概略を紹介する。
〈ブリヂストン〉
耐摩耗性が特長の
EV専用のタイヤ
ブリヂストンの展示コンセプトは、「ブリヂストンが新しい生活や未来に向け、人とモノの移動を支える」。
ブース内には、CASE時代の移動を支えるタイヤ、すなわちENLITENという商品設計基盤技術によって開発されたEV専用タイヤ「TURANZA EV」と、EV対応タイヤ「TRUNZA 6」が展示されていた。
説明員によれば両タイヤの最大の特長は耐摩耗性とのことだった。
「EVは車重が重く、トルクが大きい。それゆえEVのタイヤはエンジン車のそれと比べるとどうしても摩耗が早くなる。これらEV用タイヤは、路面への食いつきなどの性能を保ちつつも耐摩耗性能を大幅に向上(TURANZA EVは従来比50%増)させることに成功している」
今のところTURANZA EVは北米向け(23年5月発売済)で、TRUNZA 6は欧州向け(23年1月に発売済)。主な使用車両はテスラ車となっている。
今後、日本でもっとEV普及が進めば、日本向けの同様のタイヤが登場してくるはずだ。
〈横浜ゴム〉
静粛性が際立つ
EV専用のタイヤ
横浜ゴムの展示テーマは「ヨコハマが創る未来のタイヤ」。
ブース内には、その創造のひとつとしてのEV専用タイヤ「ADVAN Sport EV」が展示されていた。
説明員によれば、このタイヤの特長は静粛性と低電費性とのことだった。
「エンジン音がしないEVの室内ではタイヤを介して伝わる走行ノイズ(空洞共鳴音)が際立つ。われわれはタイヤ内部にサイレントフォームというスポンジを入れることで静粛化を実現させている。また、タイヤ本体に『低転がり抵抗のコンパウンド』を採用することで航続距離の伸長、すなわち低電費化への貢献につなげている」
2023年秋に欧州で発売し、来年2024年の春には日本でも発売となる予定。今のところは、テスラ車などのハイパフォーマンス車向けだけだが、いずれ軽EVなどが増えれば、それ用のタイヤも出てくることになるだろう。
〈パナソニック〉
最新バッテリーと
EV用部品の数々
パナソニックは、モビリティが家・街・人をつなぎ、移動によって誰かを笑顔にする社会の実現に取り組むという意志を込めて「笑顔が循環するくらしへ。」という展示テーマを設定していた。
ブース入り口にはスケルトンの電動車の模型が置かれ、そこで電動車の内部で使われているパナソニックグループのデバイスやソリューション群を紹介していた。
模型の中には、テスラ車にも使われていることで知られる円筒形のバッテリーの姿があった。聞けば、並べた円筒同士のあいだにできる隙間に放熱効果があるらしく、今や多くの電動車が平らな形状のものではなく、この円筒形のバッテリーを採用しはじめているとのことだった。
そのほか、ヘッドライト、ブレーキ、メーター、スマートフォン用ワイヤレスチャージャー、音響システム、充電口周辺の機器などなど、多岐にわたる製品の数々が紹介されていた。
「今、クルマの世界でパナソニックといえば、皆さんすぐにEV用バッテリーを想起される。それはそれで大変にありがたいこと。しかし、実はパナソニックは80年前からさまざまな車載用の機器や部品をつくってきており、現在も電動車用をはじめとする高品質な各種デバイスやソリューションを自動車メーカーに納めている。今回は、その“意外な事実”を知っていただきたく、この展示を行った」(説明員)
今後、EVをはじめとする電動車が身近な存在になったとき、内部に高い確率で信頼性の高いパナソニック製品が使われていることを知っておくのは悪くない。それはきっと笑顔のドライブにつながっていくはずだ。
JAPAN MOBILITY SHOW 2023 レポート
(1)CASE時代を先駆けるホンダとBYD。リアルな電動車を多数展示し来場者を魅了!
(2)三菱自動車とスズキは自社の個性を前面に出した電動コンセプトカーを披露!
(3)ブリヂストン、横浜ゴム、パナソニックはEV対応の自社製品を展示!
(4)配送業の「カーボンニュートラル」を応援。発売間近のオーソドックスな軽バンEVたち!
(5)「まさにユニーク!」。ベンチャー企業の軽バンEVにはプラスαの魅力がいっぱい!
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