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みらいのくるまの「ただいまのところ」情報
2022年5月12日更新
筑波サーキット(コース2000)27周55㎞で競う、2022全日本EVグランプリシリーズ(All JAPAN EV-GP SERIES)第1戦。
決勝は、想像以上の大激戦となった。ロータスタウンが、2年前に取材をはじめてから最もエキサイティングといっても過言ではなかった。
事実、地頭所光選手も「僕が参戦したJEVRAのEVレース史上、最高に面白いレースだった」と決勝後の表彰式で感想を語っている。
何しろ、レースの最初から最後まで、数台のテスラモデル3の上位集団がテールトゥノーズ状態で走り続けた。接戦の中、1位と2位が何度も抜きつ抜かれつを繰り返した。そして、トップのモデル3がフィニッシュのチェッカーを受けたとき、2位とのタイムギャップは0.00秒という前代未聞の数値となった。走っている選手たちも、観ている側も大興奮のレース展開だったのである。
以下、メインスタンドに陣取った記者のメモを元に、上位集団のレースの模様を写真とともに再現する。ここからどれだけ激しいレースだったかを感じ取っていただきたい。
緊張感いっぱいの
テールトゥノーズ
[スタート前]
地頭所光選手の赤いモデル3が1番グリッド。以下、小野津博之選手、TAKAさん選手、アニー選手、翁長実希選手のモデル3と続く。ゼッケンナンバーでいえば1-10-33-35-2の順。
[1周目]
第1コーナーを上位4台が塊になって駆け抜けていく。作戦どおりなのか、翁長選手は少し遅れての5位。
[2周目]
25歳の地頭所選手を60歳の小野津選手が激しくプッシュ。TAKAさん選手も遅れることなく後を追う。
[3~4周目]
4周目でTAKAさん選手が小野津選手をパスし2位に浮上。1-33-10-35-2の順に。
[5周目]
第1コーナーからTAKAさん選手がトップの地頭所選手を激しくプッシュしはじめ、その後すぐ追い抜きに成功。地頭所選手の先行逃げ切りパターンが、ここで崩れる。33-1-10-35-2の順に。
[6~10周目]
1位TAKAさん選手、2位地頭所選手、3位小野津選手、4位アニー選手による美しくも緊張感いっぱいのテールトゥノーズ状態が数周にわたり続く。各選手が高度な高速運転技術を披露。
再々度のトップ奪取劇。
重なった状態でゴール!
[11~13周目]
11周目。2位のポジションで我慢を続けていた地頭所選手がトップのTAKAさん選手を追い詰め、ダンロップコーナーあたりで再びトップの座を奪い返す。13周目に3位小野津選手と4位アニー選手の順位が入れ替わる。1-33-35-10-2の順に。
[14~15周目]
トップ地頭所選手と2位TAKAさん選手の2台が緊迫したテールトゥノーズの高速走行。次第に3位と4位の車両を引き離す。その間、再び小野津選手が3位に浮上。
[16周目]
レース後半にさらに激しさを増すトップ争い。TAKAさん選手がまたまたトップに立つ。33-1-10-35-2の順に。
[17~19周目]
順位は33-1-10-35-2のまま推移。5位の翁長選手、4位のアニー選手に迫り出す。
[20~24周目]
2位の地頭所選手が何度も追い抜きを仕掛けるが1位のTAKAさん選手が巧妙にブロックし、トップを譲らない。これだけ高速バトルが続くとバッテリーの熱が上がっての加速抑制と電欠が心配されるが、両者ともそれをうまくコントロールしている模様。
[25周目]
残り2周となった25周目の最終コーナー手前で、地頭所選手がTAKAさん選手を大外から抜き、再々度のトップに踊り出る。優勝争いは完全に1位の地頭所選手と2位のTAKAさん選手の2台に絞られる。
3位で奮闘している60歳の小野津選手は表彰台ゲットが見えてきた。4位のアニー選手はバッテリーに問題があるのか前半の勢いが衰えており、5位の翁長選手に抜かれそうな雰囲気。1-33-10-35-2の順。
[26周目]
TAKAさん選手が何度も追い抜きにトライするも、地頭所選手がトップを死守。1-33-10-35-2の順のまま、ついにファイナルラップへ。
[27周目]
ゴール直前まで、1位地頭所選手と2位TAKAさん選手による超近接バトルが続くが、最後はそのまま地頭所選手が優勝チェッカー! このとき、車体をアウト側に並べてゴールしたTAKAさん選手とのタイムギャップは0.00秒。前代未聞の激戦を象徴する計測となった。
続く3位は小野津選手ではなくアニー選手。アニー選手のクルマに並ぶ形で翁長選手が4位フィニッシュ。26周目まで3位を走っていた小野津選手はファイナルラップ途中で電欠となりレースを終了していた。このレースの激しさを象徴するシーンのひとつだった。
盛り上がり必至の今シーズン。
大馬力のプラッドも参戦か?
レース後、ピット付近でヘルメットを脱いだ地頭所選手は汗だくのままの顔を、大きくほころばせていた。いつもは優勝しても比較的クール。こんなふうに喜びを爆発させるチャンピオンを見るのは初めてだった。勝てるかどうかの不安を抱えていただけに、歓喜の度合いが大きかったのだろう。
記者に語ったコメントにも高揚感があふれていた。
「いやあ、めっちゃ面白いレースだった。TAKAさん、やっぱり速かった。走りにまったくスキがなかった。二度目に抜き返されたときは、本当にヤバいと思った。お互いが熱くなって最後はバッテリーの消耗戦。僕がラスト2周で再々度抜き返して勝てたのは、バッテリーに余力があったから。あと、もうひとつはレース中に勝てる秘訣を思いついたから。その秘訣は何かって? それは秘密。今回みたいに接戦が続くだろう残りのレースを勝ち抜くまでは絶対に明かせない(笑)」
今シーズンも地頭所選手の車両を筆頭としたテスラモデル3勢の強さが際立つが、各車両のセッティングが進化し、ドライバーの実力も高度化&近接化しているため、今後も今回のような激戦は必至といえる。観る者としては嬉しい限り。残り6戦が楽しみだ。
◎2022全日本EVグランプリシリーズ レーススケジュール
第1戦 4月23日(土) 全日本 筑波 EV 55Kmレース大会
第2戦 5月14日(土) 全日本 富士 EV 55Kmレース大会
第3戦 6月26日(日) 全日本 袖ヶ浦 EV 55kmレース大会
第4戦 7月17日(日) 全日本 SUGO EV 55Kmレース大会
第5戦 8月 6日(土) 全日本 袖ヶ浦 EV 60Kmレース大会
第6戦 10月 2日(日) 全日本 筑 波 EV 60Kmレース大会
第7戦 10月16日(日) 全日本 もてぎ EV 55Kmレース大会
※日程および開催場所は変更する場合があります。
なお、レースを主催するJEVRAの事務局長の富沢久哉氏が、観戦の楽しみを増すような驚きの情報をこっそり教えてくれている。最後におまけとしてそれをお伝えしておきたい。
「もしかしたら、今シーズン途中に、テスラモデルSの1,100馬力バージョンのプラッドが参戦するかもしれない。かなり重いクルマなので足回りをかなり強化しないといけないが、それに成功してサーキットをちゃんと走れるようになれば、モデル3の牙城を崩す可能性は大きい。そういった新たな熱い展開にも、ぜひ期待してほしい」
Let's、EVレース観戦なのである!
2022全日本EVグランプリシリーズ第1戦レポート
①予選トップの絶対王者が弱気を見せた理由とは……
②EVレース史に残る大激戦。1位と2位のタイム差は0.00秒!
③「いつかモデル3よりも速く」。武蔵精密工業チームの電動化時代の挑戦!
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