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みらいのくるまの「ただいまのところ」情報
2017年2月13日更新
いま、電気自動車が次世代エコカーの主流になりそうな気配が濃厚だ。ということで、「電気自動車の基礎から勉強しなおさなければ」と思い、『トコトンやさしい電気自動車の本』を手に取った。だが、これ、トコトンむずかしい本だった。なので、書評のメインは後編とし、この前編では、なぜ電気自動車が次世代エコカーの主流になりつつあるのかについて筆を費やしたい。
トヨタが電気自動車に手をだす!
最近、電気自動車の存在感が急激に増してきている。
ほんの少し前までは、「みらいのエコカーの主流は電気自動車になるかもしれないが、燃料電池車の可能性も捨てきれない」といったあいまいな見解が多かったのに、このごろは、はっきりと「いずれ、電気自動車が市場を席巻するのはまちがいない」という意見を述べるヒトたちが増えているのだ。
なぜか? ひとつには、2016年の秋に、これまでハイブリッド車そして燃料電池車にチカラを入れてきたトヨタが、2020年を目途に電気自動車の量産をめざすというニュースが流れたことが大きいといえそうだ。この報に接した多くのクルマ関係者が、「並外れた販売力を誇るトヨタが電気自動車を本格的に売りだせば、世の中はすぐに電気自動車でいっぱいになるにちがいない。だから、電気自動車はこれからの主流になる」という論を展開しているのである。なるほど、一般ドライバーにとっても非常にわかりやすい論といえる。思わず深く頷きたくなる。
だが、急いてはいけない。この論、ある程度当たっているにしても、それだけだと、どうも底が浅い理解になるようなのだ。
いろいろ調べてみると、この「電気自動車が主流になるかもしれない」となったのは、じつはアメリカのカリフォルニア州で2018年から実施されるZEV(Zero Emission Vehicle)規制と、2020年以降の温暖化対策として世界192ヵ国とEUが締結したパリ協定の存在が影響しているらしい。なかでも近々に実施されるZEV規制の影響は大きく、世界中の自動車メーカーは、その規制内容にあわせるべくPHEVもしくは電気自動車の開発・販売を急いでいるのだとか。トヨタの方針転換も、そのひとつということだ。つまり、けっしてトヨタあっての電気自動車の潮流ということではないのである。
2018年のZEV規制では
ハイブリッド車は除外
では、そのZEV(Zero Emission Vehicle)規制とは、いったいなんだという話だが、これについては、Auto Proveというサイトの1月18日付の記事「2018年は目の前!どうするZEV規制 PHEVが続々と誕生する理由」に詳しく紹介されている。その一部を、少し省略と入れ替えを施したうえで引用するので参照されたい。
〈アメリカのカリフォルニア州の大気資源局(CARB:California Air Resources Board)は1990年代からZEV(Zero Emission Vehicle:排ガスを出さないクルマ)の構想を進めてきている。
▼カリフォルニア州は公共交通が乏しく究極のクルマ社会であり、クルマが多いことと地形的な特徴から大気が全米で最悪といわれている。大気汚染は深刻な大問題と考え、アメリカ政府よりはるかに厳しい排気ガス規制を模索する背景となっているのだ。
▼そうした状況の中、1990年9月にカリフォルニア州法により低公害車導入プログラムLEV(Low Emission Vehicle Regulations)を制定し、従来の規制値を強化するだけでなく、低公害車の販売を義務付けた。▼その後は排ガス・ゼロを目標に自動車メーカーへの義務付けを段階的に強化している。
▼2050年頃には、文字通りすべてのクルマが排ガス・ゼロの電気自動車か、あるいは燃料電池車にすることが目標とされている。
▼2018年以前のZEV規制では、ハイブリッド車、天然ガス車、低燃費ガソリン車もZEV対応車と認められていたが、2018年以降はこれらを認めず、EV、FCV、PHEVに限定されることになった。
▼実は、カリフォルニア州が決めたZEV規制は、アリゾナ、コネチカット、メイン、メリーランド、マサチューセッツ、ニュージャージー、ニューメキシコ、オレゴン、ニューヨーク、ロードアイランド、バーモントの各州にも適用され、この問題をクリアしない限りアメリカにおける自動車販売は危機的な状況を迎えることになる。
▼したがって、ZEV規制の対象となる自動車メーカー(GM、フォード、クライスラー、ホンダ、ニッサン、トヨタ、BMW、メルセデス・ベンツ、現代・起亜、マツダ、フォルクスワーゲン、スバル、ランドローバー、ボルボなど)はEV、FCV、PHEVのいずれかを開発しなければならない〉
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