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EVキーマンに聞く/CHAdeMO協議会 姉川尚史会長 ④「わがままでもいい、子や孫のことを想って積極的にEVに乗り換えてほしいです」

2020年3月19日更新



CHAdeMO協議会の姉川会長へのインタビューの第4話は、電動車の普及に欠かせない人々の環境意識の持ち方について。「人間は自分の楽や得しか考えないわがままな生き物」だが、そのわがままな気質があることをきっかけとして、環境意識を目覚めさせることにつながると予見する。そのきっかけとは、いったい何なのか!?

子や孫に累が及ぶ環境問題

EVの普及には「充電インフラの充実」と「バッテリーの価格の低下による車両価格の適正化」が追い風になるわけだが、近年、ヨーロッパにおいては「人々の環境意識の高まり」もその風の一つになっている。姉川氏は、日本にも同様の風が吹くことを強く願っている。

——現在、ご自身は日産のリーフを愛車にされています。仕事柄という側面もあると思いますが、日頃EVに乗り替えて良かったと感じていることを教えてください。

姉川 EV関連事業に取り組みはじめた2000年前後から数々のEV試作車を運転させてもらって、そのたびに雲に乗って走るような爽快なドライブフィールを味わい心底感動していたんですが、あれが今、自分のものになっているというのは、やっぱりすごくうれしいです。
昨年は二度の連休を利用して、急速充電の設置の実態を確認したり利用者の方々の生の声を聞いたりする目的を兼ねて、往復で2,850㎞と3,500㎞の旅をし、その中ですばらしい走りを存分に満喫しました。疲れなかったし、ものすごく楽しかったです。

——年に二度も数千㎞のドライブとはなかなかすごいです。

姉川氏がEVで走破した2850kmの旅程



姉川 もう一つEVに乗り替えて良かったと思うのは、ゼロエミッションのクルマで日常的に環境に貢献できていることです。10代のときに持った環境保全への志の一部を遂行しているような、そんな歓びがあるんです。

——なるほど。環境といえば、ヨーロッパでは一般の人たちの地球温暖化への問題意識が高く、それが電動車普及を推し進めている節があります。日本でのEV普及にも、環境意識が作用するとお考えですか?

姉川 そうだと思います。多くの人ががCO₂による地球温暖化とそれによる気候変動および災害頻発の現状に問題意識を持ち、その解決策の一つとしてゼロエミッションのEVやそれに近い効果を持つ電動車に乗ることを自然に選択するという流れになれば良いと思います。

——ただ、どうしても目先のことにとらわれて、環境保全という理想を追求するまでには行き着かない傾向があります。

姉川 まあ、そういう現実はありますよね。日本に限らず人間というのは本来わがままな存在で、自分だけ楽をしたい、得をしたいと思いがち。よほどの規制があったり、よほどひどい目に遭わない限りその意識はなかなか変えられません。一時的に環境問題に目が向いたとしても、すぐに「自分が生きている間は、CO₂排出による悪影響も限定的だろうから、まだまだこれまで慣れ親しんできたエンジン車に乗り続けていても平気」となってしまう……。
でもですね、わがままな人間は、そのわがまま故に環境問題を強く意識することも十分にあり得ると私は見ているんですよ。

——どういうことでしょう?

姉川 わがままであるが故に、人間は「自分の子や孫を大切にしたい」という身内贔屓もすごい。そこに害が及ぶことについてはしっかり防ごうと努力します。つまり、気候変動による災害を他人事とせず、自分の子や孫がひどい目に遭うかもしれないという想いが強くなれば、それをなんとか回避しようと考え、行動を起こすはずです。
ほら、もし火事が起きて、子どもが取り残されているとしたら、親は火の中にでも飛び込もうとするじゃないですか、あのメンタルが環境問題にも作用するのではないかと思うんです。

——お話を伺って、EVなどの電動車への乗り換えをもっと急ぐべきだと思いました。

姉川 そうですよ。だから、「子や孫のために電動車」ということを、ロータスタウンさんのようなメディアで広くしっかりアピールしていただければ、と思います。

——心します。

充電の30分は価値ある30分

全国のロータス店の多くは「次世代自動車取扱認定店」として電動車の整備が行える体制を整えており、店頭には誰でも利用できる普通充電器が最低1台設置されている。今後、急速充電器を設置するロータス店が増える可能性もある。将来を見据えた、自動車整備工場での充電ビジネスの展開について、姉川氏に伺った。

——ロータスクラブはCHAdeMO協議会の会員ですし、ほとんどのロータス店には普通充電器があります。また、今後、急速充電器を設置する可能性もあります。自動車整備工場での充電ビジネスについてアドバイスいただけますか。



姉川 急速充電器を設置したら、まずは利用者を認証するネットワークに入っていただくことと、急速充電器があることをしっかりアピールする必要があります。
それから、整備工場には「用があるときしか立ち寄らない」という人が多いので、用がないのに充電だけで行くのはちょっと敷居が高くて遠慮してしまうところもあるのかも知れないですね。だとすると、そうした変な遠慮を払拭する策があってもいいような気がします。

——それはどんな策でしょう?

姉川 CHAdeMOの語源じゃないですけど、それこそ「充電中に茶でも」といった感じの喫茶サービスがあれば、かなり気軽に立ち寄れるようになります。

——ああ、はい。

姉川 それから、充電中の30分の間にクルマに関係したことで、お客さまがうれしくなるサービスを行えばいいんじゃないでしょうか。
例えば、洗車サービス。洗車した後に、充電をしながら丁寧に拭き上げをしてくれるというサービスが、すでに一部にはあるようです。そういったお客さまがうれしくなるサービスを開発するんです。

——充電している「ついで」に受けられる独自のうれしいサービスを開発するということですね。

姉川 そうです。世の中には「EVはガソリンの給油とは違って、充電するのに30分もかかるのがイヤだ」という人がいますけど、私からすると、その30分はいい休憩になって安全運転につながるし、いいサービスがあればカーライフが豊かになるチャンスになるので悪いことなんて一つもない。むしろ価値ある30分といえます。
だから、ロータス店さんも、その30分間の価値と意義の大きさに着目し、独自のサービスを展開されるといいと思うわけです。それは、きっと多くの皆さんが喜んでくれるだろうし、ロータス店さんにとってもいいビジネスチャンスになるはずです。

——わかりました。

姉川 2020年代はEVをはじめとした電動車が本格的に普及するでしょう。そうしたクルマの整備・点検はもちろん、充電インフラの面でもロータスクラブさん、そして全国のロータス店さんに期待しています。ともに頑張ってまいりましょう。

——はい、今回は興味深いお話、そして貴重なご意見、どうもありがとうございました。



①「20年前は、東京電力でEV販売とバッテリーリユース事業をやるつもりでした」

②「実は、世界の主な急速充電器はCHAdeMO規格がベースになっているんです」

③「取り急ぎ、高速道路SA・PAの充電渋滞の解消に向けて頑張っています」

④「わがままでもいい、子や孫のことを想って積極的にEVに乗り換えてほしいです」

姉川尚史(あねがわ・たかふみ)
1957年熊本県生まれ。1983年、東京大学大学院(原子力工学)修士課程修了後に東京電力に入社し、以降約20年にわたり原発建設や原子炉設計などの仕事に従事。2002年から9年間、電気自動車を担当。2010年にはCHAdeMO協議会を設立して本格的に急速充電器のインフラづくりに取り組み始めたが、2011年3月の福島第一原子力発電所事故の事後対応のために再び原子力部門に戻る。2017年に原子力関係の業務に加え、EV関連事業の業務に復帰。東京電力ホールディングス株式会社経営技術戦略研究所長。株式会社e-Mobility Power会長。2019年からCHAdeMO協議会会長。

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