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『人とくるまのテクノロジー展2019 横浜』レポート③ 三菱自動車のパティシエコンセプトが生み出す次なるクルマとは?

2019年6月26日更新



『人とくるまのテクノロジー展2019 横浜』の開催期間中の5月23日、展示会場の近くにある会議センターにおいて、三菱自動車の益子修会長兼CEO(当時)による講演会が行われた。

講演のメインテーマは『さらに豊かなクルマ社会の実現にむけて』というもので、それが「01 自動車を取り巻く環境」「02 三菱自動車の歴史」「03 ブランドに基づくクルマづくり」「04 技術開発におけるアライアンスの利点」「05 新たな技術開発」という各論を順次展開しながら語られた。

以下に印象的な発言をピックアップしながら、講演の概要を紹介する。

大変革期に対応できる
三菱自動車のポテンシャル

「01 自動車を取り巻く環境」のテーマで益子会長はまず、世界中が待ったなしの環境問題に直面していること、5GやAIがもたらす変革にさらされつつあること、日本をはじめとする先進国の多くが高齢化問題を抱えていることなどを語った。

その上で、自動車産業もCASE(Connectivity=接続性、Autonomous=自動運転、Shared=共有、Electric=電動化)の方向に動き出しており、従来どおりのやり方では生き残れない大変革の時代に突入しているとの認識が明らかにされた。

こうしたことを受けつつ、次の「02 三菱自動車の歴史」では、三菱自動車が1917年に日本で最初のクルマである三菱A型をつくったことを皮切りに約100年の間に絶えず新技術の開発と新ジャンルへの挑戦を続けてきていることが強調された。

例えば、1982年発売のパジェロは今日のSUV市場の先駆となった。2009年発売の世界初の量産EVのアイ・ミーブ、2013年発売のアウトランダーPHEV(現在、世界でもっとも売れているPHEV車)は電動車市場をリードする存在となった。これら挑戦の歴史と実績こそが、大変革への対応力のポテンシャルの大きさを示すものになっていると益子会長は胸を張った。

初代パジェロ(メタルトップ)



初代アイ・ミーブ



初代アウトランダーPHEV



三つの価値に基づいた
独創的なクルマづくりを

続く「03 ブランドに基づくクルマづくり」では、まず、三菱自動車が次の100年を進む道標とするブランドメッセージ「Drive Your Ambition」が、三菱自動車の挑戦の歴史とそれに基づく進化を体現するものであることが語られた。

その上で、益子会長は「(Drive Your Ambitionという)ブランドに基づくクルマづくりにおける機能的価値は、SUVとEVとSystemの三つのニューバリューになる」と明言した。

SUVニューバリューは、どこへでもドライブできる走破性の高さで、乗る人の冒険心を掻き立てるSUVの本質的価値。EVニューバリューは、未体験の乗り心地と運転の楽しさを実現して、環境にも寄与する自動車としての新しい価値。Systemニューバリューは、車載AIとコネクテッド技術がクルマと繋がることで、今までになかった驚きを生みだす画期的な価値。
三菱自動車は、これらの三つの新しい価値に基づいて独創的で存在感のあるクルマづくりをめざしていくと宣言した。

なお、益子会長は自らもさまざまなクルマに乗って新しい時代のクルマの在り方や進化状況を確認しているらしく、講演中、こんなエピソードが語られた。

「先日、新しいテスラ車に乗った。レベル2の自動運転技術が搭載された新たな電動車は、5年前に初めて乗ったときより遙かによかった。テスラ社の経営についてはいろいろ言われているが、侮ってはいけないと思った。私どもも、こうした新しい競争相手に負けないように電動車をはじめとする新しいクルマの開発を加速させていきたい」

アライアンスのなかで
“三菱らしさ”を発揮する

「04 技術開発におけるアライアンスの利点」のテーマにおいては、ルノー、日産、三菱自動車のアライアンスの中での、三菱自動車の技術開発の方向性や利点などが語られた。

益子会長の発言を短く要約すると、こんな内容となる。

「アライアンスでは、各社の独立性、自主性が担保されていて、すべてのメンバーがウィンウィンの関係を築くことが基本精神となっている。このような環境の中で、三菱自動車はアライアンスから得られる力を有効活用していくと同時に、強みのある分野でアライアンスに貢献していくことになる」

「例えば、三菱自動車単独では難しいSystemの部分(自動運転やコネクテッドカー技術など)やシェアリングビジネスなどについてはアライアンスの力を得ながら実現していく。また、当社としてはSUV、EV、PHEVといった分野の強みを活かしてアライアンスに貢献していく」

「ちなみに、先日発売した新型eKワゴンは日産との共同開発車で、当社の約60年にわたる軽自動車づくりのノウハウと日産の先進技術とを融合してつくりあげたもので、アライアンスの一つの理想的な在り方を示した成功例といえる」

新型eKワゴン



新型eKクロス



次なる新たな電動車は
クロスオーバーSUVになる?

最後の「05 新たな技術開発」では、これまで語ってきたブランドの方向性とアライアンスの中において、三菱自動車が具体的にどのような姿勢で新たな技術開発を進めているかについて語られた。

益子会長によれば、現在、三菱自動車は極めて美味しいケーキをつくるパティシエのように車両開発を行っているという。そして、それは「パティシエコンセプト」と表現されているらしい。

すなわち、優れたパティシエは「作品創作力=独創性を駆使して作品を創っている」「よい素材の仕入れ=さまざまな手段で厳選素材を仕入れている」「旬のスピード=旬を採り入れた作品をお客さまの一番食べたいタイミングで提供している」わけだが、三菱自動車もこれに倣って「作品創作力=クルマとしての魅力づくり」「よい素材の仕入れ=魅力ある技術の入手」「旬のスピード=世にだすスピード」を重視してクルマづくりに取り組んでいるらしいのだ……。

では、いったい、そのパティシエコンセプトをもってして、具体的にどのようなクルマが開発中されているのだろうか?

明確には語られなかったが、講演の最後に、益子会長がこんな意味深な言葉を発している。

「(パティシエコンセプトによって開発が進む)DriveYourAmbitionを体現するクルマは、SUVとEVという弊社の強みを打ち出した新世代のクロスオーバーSUVとなる。それは当社の目指す方向性を示すクルマとなる」

われわれ取材班は、これを聞いて、瞬時に2017年の東京モーターショーで世界初公開された電動クロスオーバーSUVのコンセプトカーe-VOLUTION CONCEPTのことを思い浮かべた。もしかしたら、近々に、あの極めて魅力的な電動SUVが現実のものとして登場するということなのだろうか?



はっきりしたことはわからない。まったく違った車種になる可能性も十分にある。だが、講演を聴く限り、三菱自動車から極めて美味しいケーキが目の前に供される日がそう遠くないことだけは確信できた。それがどれほど魅力的なクルマか、楽しみにして待とうではないか!

今回の「人とくるまのテクノロジー展2019 横浜」と同様の展示会が、来る7月17日~19日に「人とくるまのテクノロジー展2019 名古屋」として愛知県名古屋市のポートメッセ名古屋で開催される。エンジニア向けの展示内容となっているが、一般の人が訪れても楽しめる(しかも入場無料!)。ぜひ、会場に足を運び、100年に一度の変革期のカオスとそのなかから誕生するであろう新しい魅力的なクルマの胎動を体感してみてほしい。

(文:みらいのくるま取材班)

① 三菱車とスズキ車に縁が深いバッテリーSCiBの長寿命性のワケを知る!

② EVのパイオニア三菱自動車は2019年中に始まるDENDO DRIVE HOUSEを披露!

③ 三菱自動車のパティシエコンセプトが生み出す次なるクルマとは?

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