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クルマのトラブル「もしも」マニュアル

Vol.82(後編)もらい事故で後席乗員が大ケガ。ところがシートベルト不装着だったため治療費補償が減額に!

2023年6月19日更新

もしも_後部座席シートベルト_2-1

後編では、もらい事故で後部座席に乗った人がシートベルト不装着の状態でケガをした場合、相手の自動車保険によって行われる損害賠償が減額される可能性が出てくることについて述べます。

過失割合が
5%~20%マイナスに

交通違反とは別次元の話ですが、交通事故が発生したときに後部座席に乗っていた被害者などがシートベルト不装着であった場合には、それが過失割合にマイナスの作用を及ぼすことがあります。

これは、「後部座席でシートベルトを装着していなかったことが違法だから」という根拠ではなく、「後部座席でシートベルトを装着していなかったことが、ケガなどの原因になったり、ケガの程度を重くしたりした……いわゆる“過失”に当たる」という根拠による過失割合の変動です。

どれほどの割合かは状況などによって変わりますが、今のところ一般的には、運転席や助手席でシートベルト不装着のために被害を受けた場合は5~20%、後部座席でシートベルト不装着のために被害を受けた場合は5~10%、被害者の過失割合が加算されることが多いようです。

例えば、前編のストーリーのように、本来ならば100対0であるはずのもらい事故でも95:5あるいは90:10というような過失割合になるというわけです。

過失割合は損害賠償に反映するので、100対0であれば加害者側が被害者の治療費などをすべて支払わなければならないところ、95:5であれば5%分、90:10であれば10%分について過失相殺され、その分だけ損害賠償額が減らされるということになります。

一般道で後部座席の
シートベルト不装着は50%以上

警察庁とJAF(日本自動車連盟)が合同で行った「シートベルト着用状況全国調査(2022年)」によると、一般道路での後部座席に乗る人のシートベルト装着率は42.9%と、極めて低い数字になっています。

シートベルト装着状況

つまり、半数以上のドライバーが「座席ベルト装着義務違反」を犯している状態にあり、もしものときに通常より大きなケガをする可能性があり、かつ損害賠償が減額される憂き目に遭うかもしれないのです。

「一般道では、後部座席のシートベルトは装着しなくてもいい」という誤った認識がいったんは広がってしまったわけですが、これはなるべく早く改めていかなければなりません。

なお、全席で装着が義務付けられているシートベルトも、「ケガや障害などが原因で装着が難しい」「妊娠中で装着すると気分が悪くなる」「乗車定員内だが子どもを多く乗せてシートベルトの数が足りない」……といったときには例外扱いでシートベルトの装着が免除されます。

しかし、それは「仕方なく」という話で、安全面からいえばリスクは高いままであると言えます。

「もらい事故でも、シートベルト不装着だと交通違反になるし、過失割合は不利になる」

このことを自分事として受け止め、一般道でも高速道路でも、全ての座席で積極的にシートベルトを装着してください!

もらい事故で後席乗員が大ケガ。ところがシートベルト不装着だったため治療費補償が減額に!(前編)

もらい事故で後席乗員が大ケガ。ところがシートベルト不装着だったため治療費補償が減額に!(後編)

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