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クルマのトラブル「もしも」マニュアル

Vol.74(後編)交通事故の過失割合が9対0に。そういう決着もアリなの!?

2022年12月8日更新

過失割合9:0_2-1

自動車事故の過失割合は、警察が実況見分などに基づいて決めるというわけではなく、基本的に当事者同士の話し合い(示談交渉)で決めることになります。もちろん、通常は、当事者双方の保険会社の示談交渉サービスが、示談交渉を代理して行うことが多いのですが、最終的には当事者双方が合意する形で過失割合が決まります。そして、示談交渉の結果として過失割合9対0での合意というケースも存在するのです。

計10割でない過失割合を
「片側賠償」と呼ぶ

事故の過失割合は、加害者側と被害者側の分を合わせて10割になるのが普通です。すなわち、9対1、8対2、7対3のようになるのが通常の過失割合です。

ですが、前編のストーリーのように、合計が10割にならない過失割合で合意することもあります。前編のストーリーでは9対0でしたが、8対0や7対0といった過失割合もあり得ます。

保険の世界では、こうした計10割にならない割合の下で行う賠償を「片側賠償」といい、略して「片賠(かたばい・へんばい)」と呼んでいます。

片側賠償は、過失割合について当事者同士の折り合いがつかない場合に、当事者のいずれか(あるいは代理の保険会社)が提案するケースが多いようです。

例えば、過失割合が9対1の事故の場合、被害者側にも1割の過失があるわけですが、被害者が「自分には過失がない」として譲らないということがあります。その場合、示談交渉は長引きますし、訴訟になってさらに長期化することもあります。

このとき、加害者が解決の長期化を嫌い、打開策を模索した結果、9対0という過失割合での合意を提案することがあります。加害者が譲歩するわけですが、そこに合意への道が開かれることもあります。

ちなみに、9対0で被害者の過失割合の数字が「0」になったからと言って、被害者が負うべき1割の過失がなくなったわけではありません。考え方としては、「加害者が被害者に対する1割分の請求を放棄した」ということなのです。

なので、あくまでも被害者が自分に過失がないことにこだわる場合には片側賠償は成立しないこともあります。

「片側賠償」の
メリットとデメリット

片側賠償になった場合、被害者のメリットとなる事柄を挙げてみましょう。

被害者は加害者のクルマの修理費その他(当該交通事故の損害)について賠償する必要がありません。自分の懐が痛むことはないですし、自動車保険の保険金を使うこともありません。この点は非常にスッキリします。

過失割合9対1の場合、「1」にあたる分の損害賠償金を支払いは、被害者の契約する保険会社が支払う保険金が当てられます。その結果、自動車保険の等級が下がり、翌年からの保険料が上がってしまいます。けれども、9対0であれば保険会社は保険金を支払うことがないので、自動車保険の等級が下がることはありません。

被害者が10対0(自分の無過失)を主張する場合、弁護士法に違反する可能性があるため、保険会社は被害者に対する示談交渉サービスを行うことができません。つまり、被害者は自分で示談交渉をするか、弁護士に依頼して示談交渉をすることになります。これが9対0の場合は、数字は「0」であっても被害者に過失は存在するので、保険会社に示談交渉サービスを行ってもらうことができます。

これらの他に、示談交渉が長引くことなく相手との合意にたどり着けることもメリットと言えるでしょう。

片側賠償になった場合の、被害者のデメリットは、その数字からも明らかです。自分のクルマの修理費その他(当該交通事故の損害)について、過失割合10対0に比べると、9対0では1割分の損害賠償金が減額されてしまいます。

1割分の減額を前述のメリットと比べて、どのように判断するか、それが片側賠償が成立するか否かのカギと言えるでしょう。

「万が一」に備えて
弁護士特約

事故発生という「万が一」の事態になったときには、「警察への通報」と「保険会社への連絡」が不可欠です。そして、あくまでも「現場での示談」は行ってはいけません。……これは、このコーナーで何度も述べてきたことです。

そうした上で、事故の後処理の一つとして示談をしっかり行う必要があります。多くの場合、自分の契約している自動車保険の保険会社が、自分の代理として示談を進めてくれます。

しかし、示談が長期化したり、訴訟に進むしかないという状況になることがあります。また、今回述べた片側賠償についても、交渉が簡単に進むとは考えない方がよいでしょう。交通事故の示談は、かなり専門性の高い非日常の世界といえます。

そこで、役立つのが自動車保険の弁護士特約です。交通事故の対応で、その解決を弁護士に依頼するのは大事故の場合ばかりではありません。こじれた示談、難しい交渉などは、交通事故の示談・訴訟に知識と実績を持つ弁護士に依頼してよいのです。弁護士特約は、万が一のとき、あなたをサポートする大きな力となるはずです。

交通事故の過失割合が9対0に。そういう決着もアリなの!?(前編)

交通事故の過失割合が9対0に。そういう決着もアリなの!?(後編)

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