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クルマのトラブル「もしも」マニュアル
2019年3月26日更新
【今回のやっちゃったストーリー】
将来有望な若手社員Kくん(24歳)。いまどき珍しい話だが、休日もたびたび上司のゴルフに付きあうなどしている。
ある日、いつもより遠いゴルフ場からの帰り道でのこと。高速道路のサービスエリアに入ったところで、Kくんは「お疲れのようですから、運転変わりましょうか」と申し出た。それを聞いた上司は「うい奴じゃのう」とばかり破顔し、自分の愛車のハンドルをKくんにあずけた。Kくんにとって、これは出世街道での高得点ゲットのシーンの一つとなるはずだった。
だが、世の中、そううまく事は運ばない。駐車スペースからでるとき、自分の愛車よりも大きなセダンの取り回しに気をとられたか、左側から徐行してきたクルマにゴツンとノーズをぶつけてしまったのだ。双方とも走行に影響がでるほどの大きな損傷がなかったのは幸いではあったが、明らかにKくんの前方不注意による衝突事故となってしまった。あちゃー。
警察の現場検証が終わるまでは、さすがに上司もむっつりしていて、Kくん恐縮しきりだったわけだが、警官が去ったあとに「まあ、長い人生、こういうこともあるさ。賠償金や修理代については心配するな。大した事故じゃないから、すべてオレの保険で処理するよ」と余裕の言葉を発し、やさしく肩を叩いてくれた。Kくん、深く深く頭を下げるなかで、その上司の懐の深さに安堵と感動を覚え、ちょっぴり涙したのであった。
と、話がここで終われば、深イイ話になるはずだった。しかし、残念ながらそうはならなかった。事故から終日経ったあたりから、上司の態度が変わった。社内でだれかと雑談するとき「この前の事故の処理のお陰でさあ、16等級だった保険が13等級まで下がってしまって、3年間も高い保険料を払わなきゃならないみたいなんだ。いやはや、こんなことになるなら、“身代わり”になるんじゃなかった。ほんと、まいったよ」との愚痴をKくんに聞こえるようにこぼしはじめたのだ。やがて、その上司がKくんに仕事以外のことで気軽に声をかけることはなくなり、休日のゴルフ行の誘いもパッタリと途絶えた。すなわち、Kくんが歩んでいたはずの出世の道は、急激に1メートルの先も見えない濃霧に包まれた状態となったのである――。ああ、なんともやるせない、サラリーマン残酷物語。
じつはKくんのほうが問題アリ!?
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