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クルマのトラブル「もしも」マニュアル

Vol.84(後編)亡くなった肉親が放置していたクルマ。それも立派な“遺産”です!

2023年9月7日更新

 

もしも_負の遺産_2

後編では、クルマの相続手続きのポイントをかいつまんで取り上げておきたいと思います。また、相続放棄についても最後にふれておきます。

クルマの相続では
名義変更を確実に行う

親族が亡くなって、遺族として故人が所有していたクルマを相続する場合には、いったん相続人全員の共有財産とし、その後にそのクルマを相続する相続人の名義に変更します(共有名義とすることも可能)。これは、遺産相続全体の流れの中で行われます。

クルマの所有者が変更になった場合、法律では「15日以内に変更登録手続きをする」ことが定められています。よって、遺産相続の内容が確定した後15日以内に名義変更を行うとあらかじめ想定しておくべきでしょう。

故人がクルマをローンで購入していた場合、所有者がクレジット会社やディーラーになっていることがあります。車検証の所有者欄の名義が第三者である場合、相続はできないので、ローンを完済して所有権を解除した後に相続人への名義変更手続きを行うことになります。

名義変更の手続きは、新たに車を使用する住所を管轄する運輸支局に書類を提出して行います。普通自動車と軽自動車では、名義変更の際に必要な書類やプロセスが違うので事前によく調べる必要があります。

このとき、クルマが車検切れの状態だと名義変更の手続きができません。可能にするには、まず一時抹消登録と名義変更を同時にして相続人の名義にし、その後に新規登録を行います。ただし、一時抹消登録を行ったことで自賠責保険や車検が無い状態となり、公道を走れません。そのため、自賠責保険に再度加入して仮ナンバーを取得する、あるいはクルマを積載車などで運ぶといった方法をとる必要があります。書類作成・準備などももれないように行うためには、ロータス店をはじめとした自動車整備工場などに対応を依頼することをおすすめします。

故人が所有していたクルマを使用する場合はもちろん、売却する場合や廃車にする場合にも名義変更を行った後に行うことになります(故人名義のまま廃車にすることも可能ではあります)。

名義変更を行い、そのクルマを相続人が使用する場合には、自動車保険についても相続人に切り替える必要があるので、これも忘れずに行いましょう。

※所有者が故人となった場合のクルマの名義の変更については以下のJAFのホームページなどを参考にご覧ください。
https://jaf.or.jp/common/kuruma-qa/category-procedure/subcategory-registration/faq013

相続を放棄するなら
手続きを明確に

ところで、前編のストーリーでAさんは行いませんでしたが、遺産相続を放棄した場合の展開について最後にふれておきましょう。

まず、相続を放棄する場合に、ただ「相続を放棄します」と自分が考え、言っているだけではだめです。相続を放棄するためには、家庭裁判所に「相続放棄申述書」を提出し、裁判所に受理される必要があります。
※相続放棄は、故人所有のクルマのみでなく、遺産全体についての相続放棄となります。

貸した駐車場に放置されたクルマについて、駐車場の貸主側が勝手に動かしたり、処分したりすることはできないので、駐車場の貸主側は故人の住民票などをたどって、遺族にクルマの撤去と駐車場の明渡しおよび未払い駐車料金の支払いを求める文書を送ってくることが考えられます。

このとき、自分が相続放棄をしたことを証明する「相続放棄申述受理証明書」(家庭裁判所が相続放棄申述書受理の際に発行)のコピーなどを相手に送り、相続放棄を行ったことをはっきり示す必要があります。

故人が残したクルマと駐車場の問題を解決することは、法律もからんで結構複雑です。ですから、こうした問題について自分だけで対応できないと思ったときは、できるだけ初期に法律の専門家である弁護士などに相談したほうがよいでしょう。

亡くなった肉親が放置していたクルマ。それも立派な“遺産”です!(前編)

亡くなった肉親が放置していたクルマ。それも立派な“遺産”です!(後編)

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