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クルマのトラブル「もしも」マニュアル

Vol.63 マイカーリースには「メンテナンスプラン」と「リースカー向け自動車保険」がオススメです!(前編)

2021年6月24日更新

もしも_マイカーリース_1

【今回のやっちゃったストーリー】

毎日クルマ通勤をしているFさん(35歳・会社員)は、運転があまり得意ではなく、日ごろからクルマを雑に扱いがちである。
電信柱にボディを擦るといった小さな事故は日常茶飯事。しかも「保険を使って修理すると保険料が高くなる」という理由で、よほどの事故でない限り修理することはなく、クルマは常にベコベコな状態だった。さらに「ちゃんと走っている間は費用をかけてまでメンテナンスをする必要はない」と考えており、定期点検やタイヤ交換などもサボりがちだった。
そんなFさんは、ある日突然、マイカーリースを使って新車に乗り換えた。マイカーリース派の会社の同僚から「新車をローンで買うよりも金銭的負担が断然少ない。家計がすごく助かっている」と聞いたのがきっかけだった。
実際、マイカーリースはかなりリーズナブルだった。Fさんが軽自動車の新車を7年契約で借りることにしたところ、頭金の必要はなく、月々の支払い額も7年間にかかる登録費用、自動車税、重量税、車検代、自賠責保険料などすべて込み込みでわずか1万円程度で済むことになった。
「こんなに手軽にクルマに乗れるなんて知らなかった。いい選択をしたな」
Fさんは、そう満足していた。ただし、今回の契約で、お店の担当者から勧められたオプションの「メンテナンスプラン」(リース期間中の定期点検、タイヤ、バッテリー交換などのメンテナンスが月額数千円で受けられるサービス)を付けることはしなかった。また、自動車保険を「リースカー向け自動車保険」に切り替えることも断った。それらのコストを月々の支払いに加えると、せっかくの割安感が台無しになる気がしたからだ。そこで、メンテナンスも自動車保険も自分で別途支払う方法を選んだというわけだ。
一般的にはあり得る契約形態だった。しかし、Fさんのような人にとっては、大いに誤った選択だった。
なぜなら、マイカーに乗っていたときと同様、Fさんのクルマはわずか2年ほどでベコベコになっていたから。加えて定期的な点検・整備や消耗部品の交換などを行わないまま毎日クルマを使っていたから……。このままだと、7年後の契約終了時点にはクルマがひどい状態になっている可能性が大きい。
Fさんにリース車の魅力を教えた会社の同僚も、さすがに見かねてこう言った。
「なあ、Fよ。いくらマイカーのように乗れるといっても、リース車ってリース会社の持ち物なんだよ。契約終了時には原状回復をして返すのが原則で、できなかったら余計にお金を払う必要が出てくるんだよ。そこらへん、わかってる?」
Fさんはそれを聞いて、こう答えた。
「ああ、下取り価格に相当する残存価格がどうこうって話だろ? それならちゃんと理解してるよ。契約終了が近づいたらまとめて修理と整備をするから大丈夫さ」
これは非常に甘い認識であり、Fさんが思うように事は運ばない。ボディの小さなキズは、長く放ったままにしておくと錆が出るなどして損傷が大きくなる。また、整備やオイル交換などを怠っていると、エンジンや足まわりの劣化はどんどんひどくなる。いくら後でまとめて修理・整備をしても、おそらく原状回復は望めない……。
お得感を求めてマイカーリースを選択したFさんだが、契約終了時に余計なお金を支払うだろうことは、もはや既定路線なのであった。

リーズナブルさが評価され
リース利用者が増加中

法人・個人のカーリース利用は、近年は増加傾向が続いています。個人を対象にしたマイカーリースは、以前は「定着しない」などと言われていましたが、現在はむしろ積極的に選ばれる傾向さえあります。

理由は、いったいどこにあるのでしょうか?

個人の場合は、かつて強かった「クルマはマイカーに限る」という意識が時代の推移とともに薄れてきたことが影響していると考えられます。その意識の変化を強力に後押ししているのは、ローンや現金で購入するよりもリーズナブルにクルマに乗れるという事実でしょう。

例えばローンと比べた場合、リースは数十万円に上る頭金を払う必要がありません。月割料金は、本来の車両本体価格から契約終了時の残価(リース終了時の車両の予定価格)を差し引いた分を基に設定されます(※ローンにも残価設定タイプはあります)。そして、その料金には定期的に発生する諸費用(リース会社によって内容が異なるが、登録費用、自動車税、重量税、車検代、自賠責保険料、オイル交換料など)が込み込みとなっています。

具体的なリース料金は借りるクルマの車種や契約期間・内容などによって異なりますが、軽自動車の新車を7年契約で借りた場合、毎月の支払い額は1万円前後となることが多いようです。

残価設定リースの仕組み

今回の事例のFさんも、マイカーリースのこうしたリーズナブルさを評価して契約を行ったわけです。家計の負担を減らす目的からすると、正しい選択だったといえるでしょう。

ただし、運転もクルマのケアも雑なFさんが、マイカーリースを扱うお店の人に勧められたオプションの「メンテナンスプラン」を付けることと、自動車保険を「リースカー向け自動車保険」に切り替えることをしなかったのは、正しい判断だったのでしょうか?どうも、あまりよい結果は期待できないようですが……。

続く中編ではマイカーリースにオプションの「メンテナンスプラン」を付ける意味を、後編では「リースカー向け自動車保険」のメリットを解説します。

マイカーリースには「メンテナンスプラン」と「リースカー向け自動車保険」がオススメです!(前編)

マイカーリースには「メンテナンスプラン」と「リースカー向け自動車保険」がオススメです!(中編)

マイカーリースには「メンテナンスプラン」と「リースカー向け自動車保険」がオススメです!(後編)

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