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クルマのトラブル「もしも」マニュアル
2023年12月26日更新
前編に続いて、後編では、社用車を私用で使っているときに事故を起こしてしまった場合 、その事故の損害賠償責任はどうなるのかについて述べていきます。
私用をOKにしたことで
会社に賠償責任が生じた
前編のストーリーでは、Fくんが私用で社有車を使っていたときに起こした事故による標識の損害とクルマの修理について、Fくんが個人で弁償するのではなく、会社が加入している自動車保険で対応することになりました。
仕事中の事故ではないのに、どうしてこうなったのでしょうか?
そのヒントはストーリーの中に認められます。
Fくんの勤める会社では、会社が社用車の私用を許可していました(休日の個人使用の際には、会社に申請するルールもありました)。だから、会社が自動車保険で対応することになったのです。
こうした事故における判断はケース・バイ・ケースですが、「会社が社員に私用で社用車を使うことを認めていた場合には、会社は使用者責任や運行供用者責任を負う」……ということになるのが一般的です。
もし、前編のストーリーで、Fくんの会社が社用車の私用を禁止していて、それにもかかわらず私用で事故を起こして損害が発生していたとしたら、Fくん個人が賠償責任を負うことになったはずです。
ちなみに、ストーリーの最後の部分で、社長がFくんに対して「来年の昇給はなし」という冗談めいた言葉を返していますが、これはちょっと無理筋というもの。そうしたことを、会社は社員に求めることはできません。無理強いすれば、パワハラということになってしまいます。
社用車に関する規定と
管理ルールは不可欠
業務中・私用を問わず、社用車の運転中に事故が発生した場合には、基本的に社員にとっても会社にとっても不利益が発生します。
その意味で、社用車を所有する会社はそのリスクに備えておく必要があります。社用車に関する規定を定め、社用車の私的利用の禁止などを明記し、社内に周知・徹底するべきです。その他、社用車を使用する際の禁止事項なども規定に盛り込むべきでしょう。
また、社用車を使用する社員に運転免許証のコピーの提出を求めたり、使用前の申請書提出・私用時の使用記録の提出などを義務付けたりする管理ルールも設け、しっかり運用する必要があります。
無断使用を防ぐためには、社用車の鍵の管理を厳重に行うことも大事です。
さらに、安全運転を会社として目に見える形で実施すべきでしょう。社用車の使用する社員に、会社が行う安全運転研修への定期的な参加や、運転適性診断の受診などを求めることは決しておおげさな話ではありません。
会社を経営されている方のみならず、お勤めの方も、社用車の使用・運転について「どうしたら事故を起こさずに済むか」ということと併せて、「もし事故を起こしたらどうなるのか」ということをよく考え、法令・ルールの遵守に徹するべきであるといえるでしょう。
社用車を私用で使って物損事故。その損害賠償責任は誰にあるの?(前編)
社用車を私用で使って物損事故。その損害賠償責任は誰にあるの?(後編)
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