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クルマのことならなんでもガイド
2020年4月6日更新
今月の達人
こちや自動車工業・東風谷謙二
こんにちは、福島県白河市にあるロータス店『こちや自動車工業』の東風谷謙二です。軽自動車から大型トラック、エンジン車からHV・EVまで、あらゆるクルマの整備を行えるマルチプルな技術力がウチの自慢です。このコーナーでは、今後さらに普及するHV・EVについてお話ししていきます。初回となる今回は「発進時には、HV(ハイブリッド車)のアクセルをしっかり踏みましょう」というお話です。
クルマの流れに乗らないHVが目立つ
「公道では、制限速度をオーバーしない限りクルマの流れに乗って走ることが大事」と、よくいわれます。
どうしてかというと、そうすることが実質的に交通安全に繋がるからです。
たとえば、交差点で信号が青になったときに、1台だけノロノロ発進をしていると、どうしても後続車をイライラさせます。そうなると、後続車は「もっと速く走れよ」といわんばかりに車間をギリギリまで詰めてきたりします。あるいは、強引に車線を変更して追い越しをかけてきたりします。つまり、クルマの流れに乗らないことで、交通事故発生のリスクを自然と高めてしまっているのです。こうした、周りに悪影響を与える運転は、なるべく避けるべきでしょう。
「そんなこと、いまさらいわなくても、わかっているよ」といわれそうです。でも、じつは最近、クルマの流れに乗らずに走るクルマをときどき目にします。そして、それらのクルマの多くがHV(ハイブリッド車)であることに気付いたとき、私は「これは、ちょっと問題だな」と思うようになりました。
ノロノロ運転はエコではない
なぜ、クルマの流れに乗らずに走るHVが多くなったのでしょうか?
前提としてHVの台数自体が増えていることがあるわけですが、そのなかで、多くのドライバーが「燃費が向上する運転をめざしている」ことが原因をつくっていると考えられます。
別のいい方をすると、HVのドライバーに「燃費をよくするためにはアクセルをあまり踏み込まない方がよい」という思い込みが広がり、(公道上ではまだまだ比率の多い)ガソリン車とは相容れないような独自のペースで走ることについて意に介さない(もしくは、「よし」とする)走行が目立ってきていると考えることができます。
せっかく燃費のいいエコなクルマを買ったのだから、運転もエコにこだわりたいという思いはなんとなく理解できます。でも、どんなときも「アクセルをあまり踏み込まない」という運転が、本当にエコかどうかといえばちょっと違うのです。
HVの点検・修理も行っているクルマ屋からすると、「HVの特性をよく理解した上で、それに合った走行法を身に付け、実践していただきたいな」と思う次第です。
発進時にはアクセルを踏み込む
では、どのような走行法がエコなのか、簡単にお話ししたいと思います。
発進時のポイントは、まずアクセルを踏み込んで、はやく巡航速度まで加速することです。巡航速度に達したなら、そこでアクセルから足を離せばエンジンが止まってモーターだけの駆動となり、その後はクルマの流れに乗った状態で燃費のいいEV走行ができます。
走行中は、前後の車間距離を長めに保って走ります。そうすることで、無駄な加速をせず、回生機会を逸することがないようにするわけです。
信号などに従って停車する場合、前方の歩行者信号が点滅をしているようなら慣性走行(滑空)状態にして、さらに走行モードを切り替え、(ブレーキも適宜使い)前後のクルマに注意しつつできるだけ長い回生ブレーキで充電しつつ停止するようにします。
このような走行をすれば、ノロノロ発進などで周囲のクルマに迷惑がられることはありません。しかも、エンジンを稼動させるタイミングはごく限定され(ガソリン消費は少なく)、バッテリーの電気の消費が抑えられる上に回生ブレーキによって電気を蓄えることができるのです。
これまで、HVで「アクセルをあまり踏み込まない」運転をしていたというドライバーの方は、ぜひ1カ月くらいこの走行法を試してみてください。これまで「いい」と思っていた燃費より、さらに燃費の向上が見込めるはずです。
それが明白になったなら、安全のために、どうかクルマの流れに乗った運転をお願いします!
お店紹介
こちや自動車工業:東風谷吉信氏が1967年に創業した、福島県白河市にあるロータス店。元来、小型車から大型車までの整備・点検をおこなってきたが、現在はエンジン車だけではなくHV、PHV、PHEV、EVなどの整備・点検にも力を入れている。一級整備士でもある東風谷謙二専務は、全日本ロータス同友会が実施するサービスアドバイザー講座のトレーナーを務めるプロフェッショナルである。
住所:福島県白河市萱根西の内53の2
電話:0248(22)1215
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