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達人に訊く(75)環境時代に対応するため、まずは天然ガスで走るCNGバスを導入しました。

2022年1月13日更新

今月の達人
協同/協同バス・鈴木貴大 [第1回]

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2021年2月10日。埼玉県の久喜市内を循環するコミュニティバスの路線を、1台の電気バス(中国BYD社製)が走りはじめた。このバスの導入を久喜市に提案し、また運行業務に当たっているのは、株式会社協同(=ロータス協同、以下協同)と同じグループの中核会社である株式会社協同バス(以下、協同バス)である。

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今回の「達人に訊く」コーナーでは、動きが顕著になりつつある“働くクルマ”の電動化を踏まえ、その代表格であるバスの電動化にスポットを当て、ロータスクラブのメンバーで協同/協同バスの社長である鈴木貴大さんに、電気バスの運用を開始した経緯、BYD社製を選んだ理由、電気バスの実力・魅力などを語っていただいた。

第1回目は電気バス導入に先駆けて行った、CNGバスの導入についてお届けする。

市民のためのバス事業

——バス事業のスタートは「50年前」と聞いています。

鈴木 私の父が、1978年にスクールバスの仕事をはじめました。バス会社というと、大手の路線バスや華やかな観光バスをイメージしますが、うちは地味なスクールバスの運行が最初。私が社長をしている今でこそ観光バスも運行していますが、ずっとスクールバスや、会社・工場・倉庫などで働く方の送迎バス、そして街を循環するコミュニティバスの運行を事業の主体にしてきました。

——長きにわたって、多くの人たちの毎日の学びや仕事、生活を支えるバス事業を行ってきたわけですね。久喜市内を循環するコミュニティバスとして電気バスを運行するという画期的な取り組みも、そうしたベースの上に実現したということでしょうか?

鈴木 そういうことになります。

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「黒煙を出さないバス」から
「CO²を出さないバス」へ

——では、改めて電気バスの運行を実現するに至るまでの詳しい経緯を教えてください。

鈴木 少し長い話になりますが、前段から説明したいと思います。そもそもエコなバスへの取り組みは、天然ガスで走るCNGバスの採用から始まりました。当時……90年代後半のことですが、大きな企業の工場では国際的な環境管理システムの規格であるISO14000を取る動きが活発になっていました。そんな中で、ある工場の担当の方から突然「今のディーゼルエンジンの送迎バスを、黒煙が出ないものに替えてほしい」という要望を受けました。一瞬、「えっ、そんな無茶な」と思いましたが、それも時代の要請であると真摯に受け止めて、新しく開発されていたCNGバスへの転換を図ることにしたんです。運用開始は2000年の11月。送迎バスとしては日本初の事例だったので、新聞・テレビなど多くの取材を受けました。

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送迎用バスとしては日本初の運行例となったCNGバス



——前例のないCNGバスの導入。相当な冒険だったのではないですか?

鈴木 なにしろ燃料補給のためのCNGスタンドまで造ったんですから、周りからは「何を考えているんだ?どうかしている」と散々な言われようでしたね(苦笑)。実際、バスを走らせた当初は調子が悪かったんです。環境性能は、黒煙が出ないし、NOx(窒素酸化物)やCO²(二酸化炭素)の排出も少ないので良かったんですけど、走行性能に大いに問題があったんです。本来ならメーカーに返品すべきところですが、開発されたばかりだから、メーカーにもしっかり直せる人がいなかった。頭を抱えましたね。

——それは大変な状況ですね。

鈴木 結局、自分たちの整備工場で不調の原因を解明して、修理・改造するしかないということになりました。私自身、大学でエンジン開発を学んでいてある程度の知識があったから、メカニックと一緒に連日連夜、手を入れる作業を続けました。それでようやく不調のないバスに仕上がり、運用へと持ち込めた……。人を乗せて無事に走り出すのを見たときは心底ホッとしましたね。その後も、外国メーカーのバスを含め何台ものCNGバスを整備・改良し続け、最終的にはメーカーのディーゼルバスをコンバージョンして、性能のいいCNGバスを自社開発・製造して、販売するようにまでなりました。

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CNGバスの自社開発・製造に取り組む(第1号車の開発から 以下同様)



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自社開発・製造によるCNGバス第1号車



——腕のいい整備工場だからこその展開。素晴らしいですね。

鈴木 ありがとうございます。CNGバスに関して自信がついたので、2002年頃からは、埼玉県の各所で運行していたコミュニティバス路線にCNGバスを走らせる提案をするようになりました。CNGバスはディーゼルエンジンのバスと比べて多少コストが嵩みますが、企業だけでなく自治体も世界的な環境問題への取り組みの必要性に気づきはじめていたし、国の補助金も出たことから、チャンスと考えたんです。そうしたら、まさに思惑どおりの流れとなり、私たちの提案はどこでも比較的すんなりと受け入れられました。上尾、桶川、久喜、行田の各自治体で私たちのCNGバスが運行するようになったのは、その結果なんですね。

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久喜市で従来から運行しているコミュニティバス(CNGバス)



——現在でも各自治体でCNGバスの運行を行っていらっしゃいますが、そうした背景があったのですね。

鈴木 自分たちでバスを開発・製造できたことが大きかったのですが、加えて「環境問題への取り組みの必要性」という時代の風が採用を強く後押してくれたと思っています。そして、その風は、地球温暖化という難題を前にさらに強く吹くようになっており、それが今日の電気バスの導入に繋がっているわけです。

——今はCNGバスよりも環境性能のいい電気バスが求められる時代ということですね。

鈴木 実はディーゼルエンジンも年々環境性能が良くなっていて、最近はCNGバスのアドバンテージが少なくなってきていました。また、国がCNGバス推進の後押しを控えてしまったということもあります。そうであれば、私たちとしては、走行中はCO²を一切出さず、地球温暖化防止に役立つ電気バスをスクールバス、送迎バス、コミュニティバスに導入していくのがベストであるとの結論出しました。一気に全部は入れ替えられないにしても、着実に1台ずつ入れていき、時代に対応していこうと思っています。

——では、最初の1台として中国のBYD社製の電気バスを選んだ理由は?

鈴木 早くから実用化の実績があったことも理由のひとつですが、BYD社の企業姿勢とバスの品質に惚れ込んだのが大きいですね。実を言うと、以前、私は中国製品にあまり良いイメージを持っていませんでした。それは、クルマに関しても同様でした。ところが、実際に中国の深圳市にあるBYDの本社を訪れて、いろいろと見て回り、その考えがガラリと変わりました。自分のそれまでの不明を恥じ、「電気バスは中国のBYD社製に限る」と思うまでになり、導入を決めたんです。―― つづく

[第1回]環境時代に対応するため、まずは天然ガスで走るCNGバスを導入しました。

[第2回]BYD社製電気バスを導入したのは、品質の高さに“大感動”したからです。

[第3回]電気で走る脱炭素のコミュニティバスは地域の方々から大きな支持を得ています。

[第4回]運転手と整備士にもやさしい電気バス。会社を明るい未来に導く頼れる相棒です。

お店紹介
協同グループ:埼玉県において自動車運送事業および自動車販売・整備事業を行う企業グループ。グループは、バス事業株式会社協同バス、整備事業の株式会社協同、貨物運送事業の大同貨物自動車株式会社から構成される。1978(昭和53)年4月15日の設立。「みなさまを笑顔にする」ことをサービスの基本として、埼玉県地域の交通インフラの一翼を担う。CNGバスに始まり、中国製電気バスの日本国内への受け入れなど、エコロジカルな交通社会の実現を積極的に図ってきた。株式会社協同は、一般向け乗用車の販売・整備を行うほか、CNGバス・電気バスなど大型車両の改造・整備も行っている。

達人に訊く_協同バス_店舗達人に訊く_協同バス_工場

《株式会社協同》
住所:埼玉県行田市佐間1-27-49
電話:048-554-2254(代)
HP(協同グループ):http://www.kyodo-g.co.jp

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