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ALL JAPAN EV-GP SERIES 2024 第1戦レポート(前編)―モデルSプラッドを駆るKIMI選手が、異次元の最速タイムでポールを獲得!

2024年3月26日更新

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陽光は春めくも風がまだ冷たい3月10日(日)、JEVRA(日本電気自動車レース協会)主催のALL JAPAN EV-GP SERIES 2024の第1戦「全日本 もてぎ EV55㎞レース大会」がモビリティリゾートもてぎで開催された。

今戦の注目は、Gulf Racing JapanとTeam TAISANがそれぞれ1台ずつ投入してきたテスラ モデルSプラッドの走り。トライモーター1000馬力の爆速車両が、デュアルモーター500馬力のテスラ モデル3パフォーマンス勢の常勝の壁を打ち崩すかどうかに関心が集まっていた。

両車とも最上位のEV-1クラス(市販車・モーター最大出力250kW以上)での参戦。どちらかがどちらかを退ければ、それはほぼ優勝を意味する。

モデル3の走りが
ゆっくりに見えた!

午前9時50分から15分間にわたって行われた予選では、まさに衝撃の結果が出た。

モデルSプラッドは2台ともホームストレートを250㎞/h前後のスピードで駆け抜けた。これまでのALL JAPAN EV-GP SERIESでは目にしたことのない異次元の速さ。同じコース上をゆく、これまで最速を誇ったモデル3がまるでゆっくり走っているかのように見えた。

なかでもKIMI選手(#23 Gulf Racing Japan)のモデルSプラッドは速く、モビリティリゾートもてぎで行われたJEVRAのEVレースでは最速となる2分01秒433というタイムでポールポジションを獲得した。

KIMI選手は、ポール獲得の要因を「クルマの爆速性能ゆえ」とした上で、次のように語っている。

「昨シーズンの雨の最終戦ではノーマル車両のまま初参戦してモデル3に敗れたので、今回はタイヤとアームをレース仕様にしてきた。ただ、ブレーキとサスペンション(エアサス)がノーマルのまま。スピードを出しすぎるとまだ止まらないし曲がらない。だから予選はアクセルの踏みを80%に抑えて走った。そしたら、それが逆にいい結果につながった。決勝でも、大好きな全開走行をなるべく控えて勝ちを狙いにいきたい(笑)」

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予選2番手は、やはりモデルSプラッドを駆った密山祥吾選手(#100 TeamTAISAN)。2分07秒145とKIMI選手から6秒近く遅れての2番手。足周りはすべてレース仕様にしているが、いかんせん密山選手はこの予選がモデルSプラッドの初ドライブだった。

「人生初のとんでもない加速に驚いた。2006年に乗ったフォーミュラ・ニッポンのレーシングマシンよりも速く、ブレーキングが怖いとさえ感じた(苦笑)。それに、1回目のタイムアタックの後、バッテリーの過熱でパワーダウンしてしまい、2回目のアタックができなかった。タイムが伸びなかったのは、そうした事情が積み重なったから。決勝では、クルマへの慣れとバッテリーマネジメントを重視しながら勝利につながる走りをしたい」

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直線番長の代替わり

2台のモデルSプラッド以下の3番手から5番手までは、すべてTeam TAISANのモデル3パフォーマンスが占めた。

2分11秒419で3番手につけたのは、5月末のニュルブルクリンク24時間・SP4Tクラスにスバル/STIのドライバーとして参戦する現役プロの久保凛太郎選手(#1 Team TAISAN)。「ストップ&ゴーではプラッドには絶対にかなわないので、コーナーで詰めて勝利のチャンスをつかみたい」と決勝への意気込みを語っている。

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2分13秒745で4番手となったのは、かつてのルマン24のクラス優勝者であり、昨シーズンの年間総合チャンピオンでもある余郷敦選手(#2 TeamTAISAN)。「決勝レースでは速すぎるプラッドのことをあまり考えないで淡々と自分の走りに徹したい。その中で上位入賞を狙いたい」とベテランらしい渋いコメントを発している。

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2分19秒031で5番手につけたのは、10年前に40代でレース活動をはじめたという異色のドライバー荒川美恵子選手(#0 TeamTAISAN)。「48歳のときの初レースは、10代の頃に夜の街の遊びで感じたドキドキがあって楽しかった。今回の初EVレースの目標はとりあえず完走で、その延長線上で表彰台も狙いたいけど、トータルではやっぱりドキドキしてみたい(笑)」と独自の抱負を朗らかに語っている。

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全員が意気軒昂な印象。ただ、それぞれの発言から、モデル3の絶対的強さが揺らいでいる事実もよく察せられた。

JEVRAの富沢久哉事務局長も、決勝前にこう語っている。

「ストレートが短くコーナリングが勝負を決める筑波サーキットや袖ヶ浦フォレストレースウェイでは、車重が2トンと重いモデルSプラッドは不利。まだまだモデル3が勝つ可能性は十分にある。だが、長めのストレートが多いこのモビリティリゾートもてぎや富士スピードウェイでのレースになると、新たな直線番長であるモデルSプラッドの勝つ確率がグンと高まる。ぶっちぎり優勝だって大いにあり得る。今シーズン、モデル3だけが優勝するということは、もうなくなるだろう」

果たして決勝での対決の行方やいかに!?

● ● ●


決勝前、KIMI選手のピットをのぞいたら、昨シーズンまでモデル3パフォーマンスを駆って数々の名勝負を繰り広げたアマチュア最速ドライバーTAKAさん選手(スエヒロ自動車商会)の姿があった。聞けば、今シーズンは全戦不参戦とのこと。今回は、モデルSプラッドに最適な自分の21インチタイヤをKIMI選手に提供するためだけにサーキットに来場したという。

TAKAさん選手が出ないEVレースは、重要な1ピースが抜けたような感じで非常に寂しい。ということで、あえて復帰の予定を尋ねた。すると「今のところは未定。ただ、近い将来に発売されるという軽量コンパクトなポルシェ・ケイマンのEVを手に入れたら、すぐにでも復帰するつもり」と断言に近い答えが返ってきた。

ポルシェ・ケイマンのEVは2020年代半ばに登場するとのうわさがある。たぶんそう遠い日のことではない。名手TAKAさん選手の再参戦を楽しみに待ちたい。

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ALL JAPAN EV-GP SERIES 2024 第1戦レポート

(前編)モデルSプラッドを駆るKIMI選手が、異次元の最速タイムでポールを獲得!

(後編)KIMI選手がポールトゥウインで初優勝。ついにモデル3一強時代に終止符を打つ!

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