ロータスクラブが運営するクルマとあなたを繋ぐ街「ロータスタウン」

みらいのくるまの「ただいまのところ」情報

2022 ALL JAPAN EV-GP SERIES Rd.6&7 レポート① 今季から参戦の松波選手がモデル3で初のシリーズチャンピオンを決めた!

2022年11月10日更新

evgp6&7_1-1

米国生まれのテスラ・モデル3は、ここ数年、All JAPAN EV-GP Series(全日本EVグランプリシリーズ)において絶対的な王者であり続けている。

10月2日に筑波サーキットで開催された第6戦と、ツインリンクもてぎで行われた10月16日の第7戦(最終戦)でも、やはり異次元の速さを見せつけた。

エントリーするクラスが最上位(モータ出力が最大)であるから、当然といえば当然だが、日本製のEVを周回遅れにしながら上位を占め、その中の1台が楽々と優勝を決めていたのである。

とにかく強い。「この勢いは今後もずっと続く」と思わないではいられないほどの強さだった。

evgp6&7_1-2

だが、古の祇園精舎の鐘の声ではないが、モデル3の風切り音は「盛者必衰の理をあらはす」のではないか……。サーキットでドライバーや関係者への取材を重ねるうちに、その強さは絶対的ではなくなりつつあると感じるようになった。

テスラ・モデル3に、いったい何が起こっているのか?

そんな思いを抱きつつ、第6戦と最終戦をレポートする。

原因不明の不調

第6戦は、昨季までの主役が不在の状態で行われた。

モデル3でシリーズ5連覇を狙っていたチャンピオン地頭所光選手は、第4戦以降ずっと欠場していた。今季、同選手はFIA-F4や86/BRZレースといったエンジン車レースにも参戦しており、スケジュール調整がうまくいかなかったらしい。5連覇の夢は、第6戦の欠場によって泡と消えていた。

地頭所選手の好敵手であるTAKAさん選手(昨季ランキング2位)も第3戦以降の欠場が続いていた。前回のレポートで詳報したが、モデル3の満充電量が突然ダウンし、レースができなくなっていた。周辺情報によると、当初、単純なバッテリーの不具合と見られていたが、ここにきてシステムの不調も疑われているとか……。いずれにせよ、欠場やむなしの状態にあった。

第6戦のレースのトップ争いは、この日モデル3を駆っていたゼッケン2の松波太郎選手(TEAM TAISAN)とゼッケン1の余郷敦選手(TEAM TAISAN 東大)の2選手に絞られた。予選では、松波選手が1分05秒243でポールポジションを獲得。余郷選手が1秒弱遅れて二番手に付けていた。

今季から参戦の松波選手は当初、慣れ親しんだエンジン車レースの癖が抜けず、2位、3位に甘んじることが多かった。だが、徐々にEVレースのコツをつかみ、前戦で初優勝。今戦で優勝すればシリーズチャンピオンが決まることになっていた。

evgp6&7_1-3

evgp6&7_1-4

一方、第4戦から参戦の余郷敦選手は、かつてル・マン24でクラス優勝を遂げた名ドライバー。初参戦で初優勝を飾るなど、ここまでさすがのドライビングを見せている。予選では二番手だったものの、決勝ではトップを狙う鬼神の走りが期待された。

evgp6&7_1-5

evgp6&7_1-6

だが、決勝では、残念ながら白熱のバトルは見られなかった。

余郷選手はトップから離されない走りをするのみで、激しいプッシュをほとんどしなかった。そのため松波選手は楽々とポールトゥウイン。あっさり初のシリーズチャンピオンを決めた。

evgp6&7_1-7

2位でフィニッシュした余郷選手に、なぜおとなしい走りに終始したのかを聞いてみた。返ってきたのは、驚きの発言だった。

「予選のときから思ったとおりにスピードが出せなかった。コーナーの立ち上がりで制御が効いてしまって、蹴っていけない状態になっていたんです。どうしてそうなるのか、まったく原因がわからない……」

TAKAさん選手のマシンに続き、またもや原因不明の不調。ここではじめてモデル3の絶対的な強さに陰りを感じるに至ったのであった。

大丈夫なのか? 王者モデル3。

リーフ vs MIRAI

第6戦のレースで面白かったのは、レーサー鹿島選手(東洋電算株式会社)が駆るゼッケン88のリーフe+と、鵜飼龍太選手(アキラレーシング)が駆るゼッケン104のMIRAIによる3位争いだった。

昨季から続いているEV-2クラス(モーター出力151~251kWのEV)とEV-Fクラス(燃料電池車両)という異なるクラスのクルマ同士による名物バトル。いつもはリーフe+が最後の最後で逃げ切るパターンが多かったのだが、今回は遂にMIRAIが雪辱を果たした。

evgp6&7_1-8

evgp6&7_1-9

このバトルはモデル3に周回遅れにされた中で繰り広げられたもの。だが、両者の果敢かつ巧みなドライビングが光っていた上、そこに日産とトヨタの電動車同士の戦いという面白さも加わり、観客を十分に興奮させてくれた。

いろいろな意味で「結構いい線いっているぞ、周回遅れのニッポンの電動車たち」なのである。

evgp6&7_1-10

2022 ALL JAPAN EV-GP SERIES Rd.6&7 レポート

①今季から参戦の松波選手がモデル3で初のシリーズチャンピオンを決めた!

②高品質なニッポンの電動車たちによる4位争いが大いに盛り上がった!

③来季は「打倒テスラ車」を目指す国産の爆速EVが参戦してくる!?

  • ロータスカードWeb入会
  • ロータスカードWeb入会
  • 店舗検索
  • 店舗検索
  • 楽ノリレンタカー
  • 楽ノリレンタカー

あわせて読みたい

  • 次世代エコカー勉強会〈5時限目〉水ーっと走るよ、燃料電池自動車【前編】

    みらいのくるまの「ただいまのところ」情報

    次世代エコカー勉強会〈5時限目〉水ーっと…

    燃料電池自動車(FCV)は遠い未来のクルマだとばかり思っていたら、トヨタとホンダが発売に踏みきった。本格的な普及はまだまだだろうけれど、これは見過ごせない状況。…

    2016.04.08更新

  • EVキーマンに聞く/EVレース王者 地頭所光選手 ⑦「トップレーサーになって、EVのワールドカップに挑戦したい」

    みらいのくるまの「ただいまのところ」情報

    EVキーマンに聞く/EVレース王者 地頭…

    ロングインタビューの最後は地頭所選手が見据える未来について。大学時代に起業した会社で開発したいレース用ソフトとは?エンジン車レースに参戦してどんな夢を…

    2022.04.28更新

  • BookReview⑬『2019年版 間違いだらけのクルマ選び』(前編)‐「愛」をもって未来のクルマを語ろう!

    みらいのくるまの「ただいまのところ」情報

    BookReview⑬『2019年版 間…

    クールな経済分析だけではクルマの本質はわからない電気自動車(EV)や自動運転車といった未来のクルマの存在感が大きくなるにつれて、多くのメディアが今後のクルマ…

    2019.01.29更新

  • BookReview⑯『E MAGAZINE』‐「もうエンジン車にはもどれない」と語るEVオーナーたちが続々登場!

    みらいのくるまの「ただいまのところ」情報

    BookReview⑯『E MAGAZI…

    日本にはEVライフ情報が足りない「EVに乗り替えたら、どんなカーライフになるんだろう?」エンジン車からEVへのシフトを前向きに考えている人にとっては、これは…

    2019.08.20更新

  • 次世代エコカー勉強会〈18時限目〉ライフ・サイクル・アセスメントとウェル・トゥ・ホイール(前編)

    みらいのくるまの「ただいまのところ」情報

    次世代エコカー勉強会〈18時限目〉ライフ…

    自動車産業は世界的にEV(電気自動車)やFCV(燃料電池自動車)へのシフトが進んでいる。しかし、EV化=クルマの脱炭素化などと単純に言い切れないという論もここに…

    2022.04.21更新

  • 「東京モーターショー2017」ルポ(4) スズキは現実路線のなかでEV開発を進める!

    みらいのくるまの「ただいまのところ」情報

    「東京モーターショー2017」ルポ(4)…

    第45回東京モーターショー2017のルポ第四弾では、ロータスクラブの提携企業であるスズキのEVコンセプトカーについて見ていきたい。いきなりEVのコンパクトS…

    2017.11.09更新

< 前のページへ戻る