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2023年11月8日更新
初夏とは思えぬ冷たい雨。
近くにあるはずの富士山は、厚い雨雲に覆われて見えない。
ALL JAPAN EV-GP SERIES 2023(全日本電気自動車グランプリシリーズ2023)の第2戦「全日本 富士 EV55㎞レース大会」が5月14日(日)、静岡県の富士スピードウェイで開催された。
今回の焦点は、スエヒロ自動車商会のTAKAさん選手が第1戦に続き優勝するか、あるいは名門TEAM TAISANの余郷敦選手の捲土重来なるかに尽きた。
難しいコンディション下での高速レースでは、EVレースのキャリアが長いTAKAさん選手が駆るテスラ モデル3と、ガソリン車レースで輝かしい戦績を誇るベテラン余郷選手が駆るテスラ モデル3との一騎打ちとなることが確実視されていたのである。
8周目のアタックで
トップタイム
予選がはじまった午前8時30分。一時的に雨は上がり、路面はセミウェットとなっていた。
そんな中、TAKAさん選手が駆るゼッケン35「スエヒロRushモデル3 BMS 066」号はコースイン早々に1分59秒703の好タイムを叩き出す。たった1人の2分切り。やはり速い。
対する余郷選手のゼッケン1「タイサンBIR BOSCH TESLA」号は、何度もアタックを重ねるがなかなか2分を切れない。
残り時間約3分となってもその状況は変わらず、TAKAさん選手の2戦連続のポールポジション獲得が濃厚となった。
だが、余郷選手は最後の最後で意地と実力を見せる。EVレースの予選としては異例に多い8周目のアタックを試み、1分59秒366というタイムでTAKAさん選手を0秒337上回ったのだ。
見事な逆転ポールポジション獲得だった。
その最終コーナーの立ち上がりを望遠レンズ越しで見ていたカメラマンは、「うなるほどに鋭く美しいコーナリングだった」と証言している。
これにより、決勝でのTAKAさん選手との一騎打ちの構図はますます鮮明となったのだった。
優勝のキーは
タイヤ選び!?
予選後、2人のドライバーに決勝への意気込みを聞いた。
TAKAさん選手「午後の決勝は雨の予報。富士の雨の決勝をモデル3で走るのは初めてなのですごく楽しみ。もともと雨はそんなに得意じゃないけど、その高揚感をもって戦い、連勝を狙いたい」
余郷選手「雨は結構得意。ポールの位置からできるだけ先行して今季の初優勝を狙いたい。懸念は、富士はスリップストリームが効くこと。先行したとしても逃げ切れないことが往々にしてある」
クルマの性能もドライバーの実力もほぼ互角。どちらが優勝するかは、やはり雨の高速コースの攻略しだいということになりそうだ。
予選後に話を聞いた、レース主催者JEVRA(JAPAN ELECTRIC VEHICLE RACE ASSOCIATION、日本電気自動車レース協会)の事務局長・富沢久哉氏も同様の意見だった。われわれに「勝敗を分けるのはコースのウェット状況に合わせたタイヤ選びになるだろう」と語っている。
「路面がセミウェットなら、ある程度使い込んで溝が浅くなったSタイヤで戦うほうがいい。なぜなら接地面が多くなってグリップが効くから。しかし、完全にウェットだとしたら新品の溝の深いSタイヤに履き替えたほうがいい。なぜなら水はけがよくなってあまり滑らなくなるから。そうした天候の推移と路面状況に応じたタイヤチョイスは結構難しい。しかし、だからこそ、それをうまくやったチームのドライバーが優勝する確率が高まる」
天候に大きく左右される一騎打ち。果たして勝つのはどっちだ!?
ALL JAPAN EV-GP SERIES 2023 第2戦 レポート
(1)余郷選手が名門TAISANの意地を見せて逆転のポールポジション!
(2)完全ウェットの決勝。“運に恵まれたドライバー”がぶっちぎりで優勝!
(3)まるでレース映画。大いに盛り上がった国産の電動車同士の4位争い!
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