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次世代エコカー勉強会〈16時限目〉MaaS―スマホひとつでさまざまな交通手段・各種サービスが利用できるようになる(後編)

2021年8月11日更新

次世代エコカー勉強会

フィンランドの首都ヘルシンキで具体化したMaaSに刺激され、世界各地でMaaS導入が加速している。「モビリティ社会が成熟しているがゆえに新しい試みがなかなか芽を出さない」と言われる日本でも、MaaSへの期待は高まっている。ここでは、国土交通省が推進する日本版MaaSについて概観していきたい。

日本版MaaSは
移動目的とも連携

国土交通省は日本版MaaSの導入に力を入れている。

日本版MaaSとは、いったいどのようなものなのか。

同省が開設しているホームページ「日本版MaaSの推進」には、以下のような解説および概念図がある。

MaaS(日本版MaaS:編集部注)とは、地域住民や旅行者一人一人のトリップ単位での移動ニーズに対応して、複数の公共交通やそれ以外の移動サービスを最適に組み合わせて検索・予約・決済等を一括で行うサービスであり、観光や医療等の目的地における交通以外のサービス等との連携により、移動の利便性向上や地域の課題解決にも資する重要な手段となるものです。

日本版MaaS概念図

利用者の目的地までの交通手段だけでなく、移動目的=「観光」「物流」「医療・福祉」「小売り」とも連携する点が、前編で紹介したヘルシンキでのMaaSとは異なっている。非常に複層的なMaaSなのである。

これを可能とするために、国土交通省はまず、目的ごと地域ごとに使いやすいMaaSを複数導入し、それぞれを独立して稼働させることを考えている。そして、最終的には各プラットフォームを連携させ、ひとつのアプリですべてが利用できるようにすることを構想している。

国交省が考える日本版MaaS

コロナ禍でもMaaS事業を推進

こうした構想の下、国土交通省は令和元年度(2019年度)からMaas事業に取り組む事業者・団体の公募を行っており、選定された事業者・団体が行う実証実験を支援している。これは、令和3年度(2021年度)においても継続されている。

実はMaaSは不特定多数の人々が乗り合う公共交通機関の利用が主体となるため、2020年から続くコロナ禍においては速やかな進展は難しいと考えられるのだが、国土交通省はwithコロナ、afterコロナを視野に入れたMaaS関連事業の支援も表明するなど、推進姿勢をまったく緩めていない。

◎国土交通省が支援するコロナ禍にも対応するMaaS関連事業
●混雑を分散させる取り組み → 混雑情報提供システムの導入
●接触を避ける取り組み → キャッシュレス決済の導入(タッチ決済、QRコード、顔認証など)
●パーソナルな移動環境の充実のための取り組み → オンデマンド交通やシェアサイクル、電動キックボードなどの導入

これを見る限り、国土交通省の日本版MaaS導入への本気度はかなりのものだといえる。

複層的かつ壮大なMaaSとなるため、ヘルシンキのように一朝一夕の導入は難しいものの、そう遠くない将来、日本がMaaSの国になることは間違いないだろう。

人々がスマートフォンを片手にスイスイと移動し、その中でさまざまなサービスを享受するシーンが、この国の常態となっていくのである。

MaaS―スマホひとつでさまざまな交通手段・各種サービスが利用できるようになる(前編)

MaaS―スマホひとつでさまざまな交通手段・各種サービスが利用できるようになる(後編)

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