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みらいのくるまの「ただいまのところ」情報
2021年8月11日更新
MaaS(マース)は、Mobility as a Service(モビリティ・アズ・ア・サービス)の略である。直訳すると「サービスとしての移動」となり、意訳すると「さまざまな交通手段の一括サービス化」となる。今回の勉強会では、前編でMaaSについて理解し、後編ではMaaSが日本でどんな展開になるのか見ていきたい。
シームレスかつスムーズな
移動が可能
MaaSは新たな「移動」の概念である。
基本的には、我々一般市民がどこかに移動するときに、マイカー以外のさまざまな交通手段(異なった資本の交通サービス)を、別々にではなく、一括してシームレスかつスムーズに利用できる状態になることを指す。
より具体的に解説すると、こうなる。
●電車、バス、タクシー、レンタカー、カーシェアリング、自転車シェアリング、配車サービスといったさまざまな交通手段のデータおよびシステムを情報通信技術で連携させる。
●一般市民=交通手段の利用者が、その連携に対応するMaaS用アプリを自分のスマートフォンにダウンロードすれば、目的地までの最適化されたルート検索ができる上、各交通手段の予約ができるようになる。そして、目的地までに使った各交通手段の料金決済を一括して済ませられるようになる。
●利用者は、各交通手段別に必要だったルート検索・予約・決済を行うためのアクションが減り、シームレスかつスムーズな移動が可能になる。
ヘルシンキで本格導入がスタート
MaaSを初めて本格的に導入した例としては、2016年からはじまったフィンランドの首都ヘルシンキでの試みが挙げられる。
当時、ヘルシンキではマイカーによる慢性的な渋滞、駐車場不足、環境汚染が大きな問題となっていた。そのため、できるだけマイカー利用を減らし、公共交通の利用を増やすことにつながる方策が求められていた。
そこで白羽の矢が立ったのは、2014年に発表されたばかりのMaaS構想(フィンランドのサンポ・ヒータネン氏が提唱)である。
政府と市は、マイカーでなくてもシームレスかつスムーズな移動が可能になるというMaaSの理論と利点を評価し、市内への本格導入を決定した。その際、市民の利用促進を図るために、市内の交通サービスが利用し放題になるお得な月額料金制度も取り入れた。
効果はてきめんだった。かつて市内におけるマイカー利用率は40%に達していたが、数年後には20%にまで減った。そして公共交通利用率は48%から74%にアップし、渋滞、駐車場不足、環境汚染などの問題解決の糸口が見えるまでに改善した。
MaaSの導入は、期待どおりの成果をもたらしたのである。
この成功を受け、現在、MaaS導入の試みが、世界各地で盛んに行われるようになっている。それらはヘルシンキのMaaSとまったく同じというわけではなく、理論・仕組みは共通しつつも、国や地域ごとに異なる交通事情や課題に合わせて独自に修正されたものとなっている。
現在、日本でも国土交通省が推進する日本版MaaS導入の試みが行われている。
MaaS―スマホひとつでさまざまな交通手段・各種サービスが利用できるようになる(前編)
MaaS―スマホひとつでさまざまな交通手段・各種サービスが利用できるようになる(後編)
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