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次世代エコカー勉強会〈10時限目〉EVの電池の大容量化に対応するCHAdeMOの急速充電器(後編)

2021年3月18日更新



日本発の規格であるCHAdeMO方式の急速充電器は、世界に先行した試みであったが、まだ世界標準になっているとは言えない。EV・PHEVの重要なインフラである急速充電器の世界地図を見ていこう。

CHAdeMOの好敵手は「コンボ」

世界中で設置を進めている急速充電器は、CHAdeMO方式のものだけではなく、いろいろとある。そのなかでも、欧米を中心として展開されているCombined Charging System(通称コンボ)という方式の急速充電器の存在感は大きい。

このコンボ規格が発表されたのは2012年のことで、実際の開発と設置はその後から始まっている。CHAdeMOよりずいぶんと遅いスタートだった。

ところが、それに準拠することを表明した自動車メーカーがすごかった。GM、フォード、クライスラー、BMW、ダイムラー、フォルクスワーゲン、アウディ、ポルシェといった欧米の錚々たる大手自動車メーカー8社が名を連ねた。その結果、欧米のマーケットではコンボ方式が浸透している。

しかも、このコンボ方式、性能もなかなか優れており、普通充電と急速充電の両方を1つの充電コネクターでできるようになっていた。そして、もっとも大きい出力の急速充電器は200KWという設定で、CHAdeMOが今回設定した150KW(未設置もしくは設置開始準備中)を既に凌いでいた。

《急速充電器の規格》

 急速充電器の規格

※CHAdeMO協議会の2014年の資料より



さらに、行政側の動きも大きな脅威となっていた。2013年頃にEUが、出自が身近なコンボ方式を地域の公的な急速充電器として指名しようとしていたのである。

世界を制覇するという観点からいうと、CHAdeMO側の形勢は非常に不利な状況といえた。一部では、「CHAdeMOは、いまのところ設置実績は上だが、いずれ日本を中心としたガラパゴス規格となる怖れがある」と囁かれもした。

デュアル方式の登場で大団円?

では現在、その競争状況はどうなっているのか?

前編で紹介したとおり、CHAdeMOの急速充電器は世界各地で設置実績を順調に伸ばしている。そして、一方のコンボの設置も同様に伸長を続けている。

どういうことなのか?

実は急転直下の状況変化があった。EUは一時期、「公共の急速充電器はコンボ方式に限定する」という内容の法案を採択する方向であったが、2014年に修正が加えられ、コンボ方式とCHAdeMO方式の併存を正式に認めた。それによって、欧州においてはCHAdeMOとコンボの両方が使えるデュアル方式の急速充電器(マルチ充電器)の開発と設置が進むようになった。競争は、そこで自然と霧散する形となったのである。

EUが態度を変えたのは、既に欧州での設置実績をもっていることを背景としたCHAdeMO側のロビー活動が功を奏したといわれている。その詳しい内容は知る由もないが、おそらく、「主役は、あくまでクルマであり、ユーザーである」という当たり前のことが再認知された結果であろうと考える。そして、急速充電器のコネクターの違いを争そうよりも、EV・PHEVの普及を促進することに主眼が置き替えられたということではないだろうか。

ということで、今後は、日本においてもデュアル方式の急速充電器が多く登場することを待ちたいところだ。CHAdeMO方式が150KWの大出力となっていくなかで、それが進んでいけば、われわれユーザーは、今以上に自分好みのEVが選びやすくなる。もし、それができないようであれば、ガラパゴスならぬ鎖国となり、日本のEV文化の先行きが危ぶまれる。そんなことは誰も望んでいないだろう。これからの急速充電器のフェアな開発および設置の推移を見守っていきたい。(文:みらいのくるま取材班)

画像提供:CHAdeMO協議会

EVの電池の大容量化に対応するCHAdeMOの急速充電器(前編)

EVの電池の大容量化に対応するCHAdeMOの急速充電器(後編)

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