ロータスクラブが運営するクルマとあなたを繋ぐ街「ロータスタウン」

みらいのくるまの「ただいまのところ」情報

『第11回オートモーティブワールド』ルポ(前編)「中国のEVは数はすごいけれども質はまだまだなんですよ」

2019年2月12日更新

前編トップ_web

東京ビッグサイトで2019年1月16日から18日に開催された『第11回オートモーティブワールド』。この会場で、次世代自動車の分野で躍進が著しいといわれる中国の現状および日中の差異などを探るべく、多くのブースを訪れ、中国の自動車関係者をはじめとした人たちにインタビューを行った!

出展・来場者数は微減も
展示内容は充実の一途

『オートモーティブワールド』は、年に1度開かれる未来のクルマの技術展示展だ。

11回目を数える今回は、『国際カーエレクトロニクス展』『EV・HEV駆動システム技術展』『クルマの軽量化 技術展』『コネクティッド・カー EXPO』『自動車部品 加工EXPO』『自動運転EXPO』といった六つの展示コーナーが設けられ、それぞれの分野における大小さまざまな企業が自社の先端技術を披露していた。

主催者の発表によると、出展社数は1,002社で、来場者は37,657人。昨年の出展社数1,063社、来場者数39,922人と比べるといずれも微減となっていて、過熱気味だった昨今の次世代自動車ブームが多少落ち着いたかに思えた。だが、実際に会場を歩いてみると、展示内容はこれまでよりは数段リアリティあるものとなっていた上に、観る人たちの本気度も高く、次世代自動車づくりの世界が確実に進化・発展していることがわかった。

ワイヤレス充電_web

モーター_web

エヌビディア_web

ライダー_web

ホライゾン_web_censored

中国のEVの台数の多さは
今後のリスクともなり得る

われわれ取材班は、今回、この『オートモーティブワールド』の会場で、EVや自動運転、コネクテッドカーの分野で躍進が著しいといわれている中国の現状および日中との差などを探ることを考えた。27ヵ国からの出展の中で目立って多い中国企業のブースはもちろん、中国と取引のある企業のブースの担当者などから、きっとかなりリアルな話が聞けるだろうと踏んだからだ。

デルタ_web_censored

最初のチャンスは、台湾のデルタ電子のブースで話を聞いていたときに訪れた。

デルタ電子はEV用の急速充電器や家庭用充電器を製造しているメーカーで、日本そして中国の自動車メーカーに製品を卸している。ここの担当者なら、中国のEV事情はもちろん、日本と中国のEV普及の差がよくわかるだろうと思い、その旨の質問を投げかけてみた。ところが、その担当者はあくまで日本マーケットの担当で、中国のマーケットについてはよくわからないとの答えだった。
「わかるのは、中国での家庭用充電器の販売数はとてつもなく多くなっているということぐらいです。ちなみに、日本での販売台数は、多いときで月に100台以上、普通のときで月数十台程度……。オリンピックイヤー前後にさまざまなEVが発売されるというウワサがあるので、日本のマーケットへの期待はそれからになりますね」

そんな短いやりとりを終えて次のブースに移ろうとしたとき、そばにいた一人の中国人男性が達者な日本語で話しかけてきた。

「あの、中国のEVの数はすごく多いですけれど、質は日本のほうがずっと上ですよ」

聞けば、この男性、とある中国企業のブース担当者とのこと。インタビューを受けるには、中国の本社に許可を得なければならないとのことであったが、匿名という条件付きで話を続けてくれた。

「日本の自動車メーカーは、優れた部品を搭載した完成度の高いEVを世に出しています。わかりやすいところではバッテリー。日本のEVが積んでいるリチウムイオン電池は、負極材とかに非常に優れた素材を採用していて、たくさん電気を蓄えられ、たくさん出力ができ、かつ寿命も長くなるようにしています」

「中国のメーカーがつくるEVの多くは、そうした高品質なバッテリーを積んでいません。航続距離が300~400㎞あるといっても、それは理論的な数字に過ぎず、実際に走った場合、とくに冬のシーズンとかの走行時には大幅に性能が落ちてしまいます。日本製のバッテリーでも同じことが起きますが、中国製のバッテリーは、その下げ幅がかなり大きかったりするのです」

「つまり、中国製のEVは価格は安いけれど、質もほどほどのバッテリーを積んだEVが多いということ。近い将来、日本をはじめとした世界の自動車先進諸国でより高品質なバッテリーが開発されて、EVがもっと普及していくことになれば、いま走っている中国のEVのほとんどがあまり価値のないものになってしまう恐れがあります。政府主導で急いで台数を増やしているということは、すなわち、そうしたリスクを負っているということでもあるのです」

匿名男性は、日本のマーケットに自社の製品を売り込む立場であるため、その語り口には多分にリップサービスのきらいはあったのだが、現時点でEVが急速な進化途中にあることを考えれば、ただただ急いで台数を増やすというのは必ずしもいいことばかりではないという論には深く納得がいった。

はてさて、ほかのブースの人たちは、いったいどんな意見をもっているのだろうか?(中編に続く、文:みらいのくるま取材班)

『第11回オートモーティブワールド』ルポ

(前編)「中国のEVは、数はすごいけれども質はまだまだなんですよ」

(中編)「インテリジェントカー分野は中国が一歩リードしてますかね」

(後編)「日中それぞれのやり方で次世代自動車をつくりましょう」

  • ロータスカードWeb入会
  • ロータスカードWeb入会
  • 店舗検索
  • 店舗検索
  • 楽ノリレンタカー
  • 楽ノリレンタカー

あわせて読みたい

  • 日本EVクラブ 試乗会ルポ (後編)別次元のレスポンスのよさを体感しよう!

    みらいのくるまの「ただいまのところ」情報

    日本EVクラブ 試乗会ルポ (後編)別次…

    前編に続いて、6月25日(日)に東京の日本科学未来館で開催された、日本EVクラブ主催の『最新EV・PHV試乗&セミナー』について、後編では試乗を中心にレポートす…

    2017.08.29更新

  • 2021全日本EVグランプリシリーズ 第1戦 レポート③ – 「タイカンに乗り換えず、モデル3のままで戦ったのは大正解でした」(地頭所光選手)

    みらいのくるまの「ただいまのところ」情報

    2021全日本EVグランプリシリーズ 第…

    予言どおりの展開!?魔の6周目でタイカンは……コースを12周して合計55㎞を戦う決勝は、夕刻の16時15分にスタートした。スタートシグナルが消えた瞬間、グ…

    2021.05.13更新

  • 第28回 日本EVフェスティバル レポート②―eKクロスEVの純正タイヤBluEarthが軽くなっている理由を知る!

    みらいのくるまの「ただいまのところ」情報

    第28回 日本EVフェスティバル レポー…

    eKクロスEVの試乗を終えた後、「メーカー展示」に出展していた横浜ゴムのブースに向かった。そこには、本HPにも登場してもらったレーサーの塙郁夫選手が2014年…

    2022.12.23更新

  • ALL JAPAN EV-GP SERIES 2023 第3戦レポート(2)―初の兄弟ワンツーフィニッシュ。アニー@ニキ選手の優勝でスエヒロ3連勝!

    みらいのくるまの「ただいまのところ」情報

    ALL JAPAN EV-GP SERI…

    ALLJAPANEV-GPSERIES2023の第3戦「全日本袖ケ浦EV55㎞レース大会」の決勝は、若干蒸し暑い薄曇りの天候のなかではじまった。逆転を…

    2023.07.06更新

  • 「東京モーターショー2019」レポート(2) ぶっちぎりでEV化するか、じわじわとEV化するか、それが問題だ!

    みらいのくるまの「ただいまのところ」情報

    「東京モーターショー2019」レポート(…

    日産とトヨタ、日本を代表するこの2社が東京モーターショー2019で展示していたEVコンセプトカーは、いずれもかなりリアルなつくりとなっていた。はたして、それら…

    2019.11.07更新

  • 【EVレースニュース】東京E-Prixの公道コースで、ALL JAPAN EV-GP SERIESの電動車たちが鮮烈デモラン!

    みらいのくるまの「ただいまのところ」情報

    【EVレースニュース】東京E-Prixの…

    フォーミュラEの東京E-Prixが3月30日、東京ビッグサイト周辺の特設コースで開催された。日本における初の本格的な公道レースということで、世間の耳目を大いに集…

    2024.04.11更新

< 前のページへ戻る