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みらいのくるまの「ただいまのところ」情報
2023年7月6日更新
ALL JAPAN EV-GP SERIES 2023の第3戦「全日本袖ケ浦EV55㎞レース大会」の決勝は、若干蒸し暑い薄曇りの天候のなかではじまった。
逆転を狙う余郷選手が
スタートに失敗
午後3時15分、グリッド前方のシグナルがオールクリアになった。
その瞬間、ポールのアニー@ニキ選手と2番手TAKAさん選手のグリーン&ブラックのモデル3が発進し、グリッドでのポジションを保ったまますさまじいスピードで第1コーナーへと飛び込んでいく。順調なスタートだ。
続く3番手であるTAISANの余郷敦選手を乗せたグレー(※)のモデル3はというと……なんと、まだグリッド上にとどまっていた。微動だにせず、次々と後続車に抜かれていた。
※テスラカラー=ミッドナイトシルバーメタリック
いったい、どうしたのか?
後で聞いた話によれば、グリッドに着いた際、車両のノーズがラインを5㎝ほどはみ出たためにスタッフが手押しで後方に戻したところ、システムになんらかの不都合が発生したらしく、一時的に発進できない状態に陥ったとのことだった。これがこのときだけの現象か、テスラ車ゆえの現象かはわからないが、誠に不運なトラブルだった。
結局、余郷選手のモデル3はトップから約20秒遅れてようやくスタートすることに。
余郷選手はレース前「(王者TEAM TAISANのプライドにかけて)スエヒロのワンツーフィニッシュを是が非でも阻止する」と意気込んでいたが、その熱い想いは一瞬にして霧散しそうな状況を迎えていた。
3周目からの
熾烈な2位争い
だが、これでレースは終わらなかった。
確かに1周目と2周目は、トップのアニー@ニキ選手と2番手のTAKAさん選手が余裕のランデブー走行をし、初のスエヒロ自動車商会のワンツーフィニッシュ、すなわち初の兄弟ワンツーフィニッシュの実現は確実と思わせるムードが色濃く漂っていた。
ところが3周目あたりから、この穏やかなムードは突如として変わる。トップ2台の後方に余郷選手の車影が見え隠れしだした。
余郷選手は、果敢なアクセルワークと華麗なコーナリングで前を行くクルマをすべてぶっちぎり、あっという間に3位のポジションに戻ってきていた。
2周目、3周目には決勝でただ一人となる1分13秒台のラップタイムを記録し、5周目を終えて2位とののタイム差は3秒。トップを射程圏内にまで捉えていた。先を行く2台にとって、スタート時のアドバンテージはほぼないに等しくなったのである。
ここからレースは俄然激しさを増した。特に終盤まで続いた余郷選手とTAKAさん選手による激しい2位争いは非常に見応えのあるものとなった。
偉業達成に向け
2位死守を選択!?
TAKAさん選手にとってみれば、本来ならこのレースに勝って3連勝し、年間総合チャンピオンの座をより確実なものにしておきたかったはずだ。実際、レース前、TAKAさん選手は兄のアニー@ニキ選手に向かって「遅かったら抜くよ」と堂々宣言をしていた。
だが、そうはせずに2位を死守する道を選んだ。
なぜか?
おそらく、新しくした足まわりのセッティングが兄のそれよりもいまひとつ決まっていないことが大きかった。
そんな状況の中、無理にトップを狙いにいってもリスクが生じるだけである。であれば、自分が2位を守りきり、アニー@ニキ選手とのワンツーフィニッシュを確実にするのがベターだろう。
そのほうがチームにとって価値があるし、それで終えれば余郷選手とのポイント差を広げることもできる―─。そう考えての2位死守の道だったと思われる。
いつもホットなTAKAさん選手も、今回ばかりはクールに徹したわけだ。
とはいえ、2位死守はそう簡単ではなかった。
コーナリングに秀でた余郷選手は、各コーナー出口で何度もオーバーテイクを仕掛けてきた。TAKAさん選手は、その都度ギリギリのドライビングでそれを阻止し続けた。そのバトルは、たびたびコース外のグラベルの土煙が舞い上がるほど激しく、TAKAさん選手は文字どおりに“死守”を強いられた。
とくに最終盤では、2台がほとんど差がなく最終コーナーを立ち上がり、ホームストレートを疾走しつつ駆け引きをし、第1コーナーでTAKAさん選手が余郷選手をブロックするという展開が続いた。
しかし、この時点で、序盤から無理をした余郷選手のモデル3のバッテリーはかなり厳しい状態にあり、TAKAさん選手のモデル3を凌駕する力は残されていなかったようである。
必死のブロックのかいはあった。余郷選手は最後の最後までTAKAさん選手をオーバーテイクできなかった。
結果、ラスト23周目のゴールのチェッカーは、まずアニー@ニキ選手が受け、続いてTAKAさん選手が受けることとなった。
チームにとっては記念すべき偉業の達成。初のスエヒロ自動車商会ワンツーフィニッシュ、すなわち初の兄弟ワンツーフィニッシュが完成した。
ピットに広がった
爆発的な歓喜
レース後、スエヒロ自動車商会のピットは拍手と歓声にあふれ、これまでにないほど沸いていた。
ポールトゥウィンで今シーズン初優勝を飾ったアニー@ニキ選手は、「今夜は美味しくビールが飲める」と真っ赤になって破顔していた。
レースを目論みどおり運ぶことに成功したTAKAさん選手は、「よし!」と優勝のときよりも激しくガッツポーズをし、喜びをあらわにしていた。
特に今回は、真摯に準備を重ねてきた末の勝利であり、偉業である感が強い。歓喜の爆発もさもありなんだろう。
改めて、初のスエヒロ自動車商会ワンツーフィニッシュ、そして初の兄弟ワンツーフィニッシュ、おめでとう!
ALL JAPAN EV-GP SERIES 2023 第3戦レポート
(前編)“第三の男”アニー@ニキ選手が最速記録でポールポジションを獲得!
(後編)初の兄弟ワンツーフィニッシュ。アニー@ニキ選手の優勝でスエヒロ3連勝!
(付編)次回第4戦、元チャンピオン地頭所光選手が電撃復帰か!?
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