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クルマのトラブル「もしも」マニュアル

Vol.32 離婚のとき、クルマの保険はどうすべき?(後編)

2018年7月13日更新

もしも_離婚_2web

夫婦限定の特約であれば
当然、離婚した人は対象外

前編に続いて、離婚で譲渡されたクルマと自動車保険の名義変更や諸手続きを怠り、さらに事故を起こしてしまったC子さんの後悔ストーリーを検証していきます。
つぎは、任意保険についてです。

C子さんの元夫が契約していた任意保険は、ずっと無事故だったことから等級がかなりあがって、保険料の割引率も高まっていました。結婚前の状態にもよりますが、結婚時に自家用車を購入したと考えても、保険料は50%以上の割り引きになっていたはずです。

そのため元夫は、「C子さんが新たに保険に加入して高い保険料を払うよりも、この保険をそのまま使ったほうが費用負担が少ない」といらぬ親切心を発揮し、「いまのまま付けておくのが一番だろう」と申し出て、自分の名義のままとし、保険料も2年間は支払い続けると約束しました。
この元夫の申し出に、C子さんは内心「当然よ」と思いつつ、保険手続き上の可否は完全に棚に上げ、金銭的な判断で「ありがたい」と、それを了承しました。

任意保険は、基本的にクルマに付く保険ですから、特約などでの縛りが無い限り、だれが運転して事故を起こしたとしても、そのクルマに付いた保険で補償されます。元夫とC子さんは、かけていた任意保険の内容を確認することをせず、「大丈夫」と思い込んでしまったのです。

しかし、実際はさにあらず。元夫がかけていた保険は夫婦限定の特約を付けて安く契約されたものでした。それをそのままにして契約し続けたため、離婚したC子さんが起こした事故について、その保険から補償は一切でませんでした。
保険契約者は元夫であり、すでに離婚しているC子さんは、妻でも親族でもないわけですから、その任意保険とは無関係な存在なのです。
そう、C子さんは任意保険未加入でクルマに乗っていたことになるわけです。

離婚とクルマと自動車保険について(1)web

元夫がいらぬ親切心を働かすのであれば、保険金は高くなろうとも、夫婦限定を解除した形で保険をかけ続けるべきでした。C子さんも、自分が乗るクルマの保険の契約内容がどうなっているかをしっかりと確認しておくべきでした。
二人ともそれをしなかったのはケアレスミス、いや、大いなるポカというよりほかありません。

離婚届けをだす前なら
現等級のままの譲渡が可能

そもそもからして、任意保険を元夫名義のままにしてクルマに乗り続けるというのは、やはり「大いに問題アリ」だといえます。

もし、夫婦限定の特約を解除したとしても、前編で紹介した自賠責のケースと同様、事故の補償手続きの際には、名義人の協力が必要となるからです。
別れても好きな人ならともかく、憎しみを覚えて別れた人と会うというのは、やはり精神衛生上よろしくないでしょう。離婚の時点で、きっぱりと名義変更をしておくべきです。

このとき、通常、C子さんはもっとも割引率の低い6等級で契約しなければなりません。離婚の意思決定や財産分与などを経て離婚手続きを行った後に、任意保険を切り替えるという流れだとそうなります。

もし、C子さん元夫名義の任意保険の等級を引き継ぎたいと考えるのであれば、離婚手続きをする前に、保険の名義変更を行う必要があります。(そうなるには、元夫が「この後、クルマを所有せず、任意保険も加入しない」ということが前提になります)
というのも、保険契約者の変更に当たって等級の引継ぎが可能なのは、配偶者間か同居している親族間に限られるからです。離婚が決まったといっても、離婚届けを出していなければ法律上はまだ夫婦なので、このルールは適用されます。(離婚後に旧姓に戻したい場合、いったん夫の姓で契約し、離婚成立後に旧姓に戻す手続きをすることになります)

離婚とクルマと自動車保険について(2)web

誰しも幸せな結婚生活を続けたいものです。しかし、予期せぬ荒波に打たれ、離婚という選択肢を選ぶことがことがあるかもしれません。
それは、夫婦で助け合う生活から、すべて一人で責任を引き受ける生活への切り替えを意味します。他のことと同様に、クルマについても自分で責任を持って所有し、乗らなければならないわけです。
「あー、たいへんだ」
そんなため息まじりの言葉が口をついたときは、クルマのことであれば、どうぞお近くのロータス店にご相談ください。きっとお力になれると思います。

離婚のとき、クルマの保険はどうすべき?(前編)

離婚のとき、クルマの保険はどうすべき?(後編)

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