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クルマのトラブル「もしも」マニュアル

Vol.69(前編)新車特約の終了後に愛車が全損!……でも「車両全損時復旧費用補償特約」付帯なら時価を上回る補償が出る!

2022年12月6日更新

もしも_新特約_1

【今回の「なるほど!!」ストーリー】

Lさん(30歳・会社員)は、約5年前にスポーツカーを買った。
価格はそれなりに高かったが、小さいころから憧れていた1台なのでどうしても欲しく、7年ローンを組んで購入した。

以来、大事に大事に乗ってきた。速いクルマだけど、あまりスピードを出さず、常に安全運転を心掛けた。毎週の洗車は手洗いを基本とし、ボディには小さな傷も付かないよう気をつけた。購入後1年間は、納車時にシートにかかっていたビニールを外さないまま運転していたほどだ。

そのため、愛車は今もタイヤを除いて新品同様。Lさんは、5年近くもこの状態を保った自分を誇らしく思っていた。ちなみに、その間、隣席に乗せる恋人はできなかったが、「愛車を汚さないためには、かえってよかった」と捉えていて、特に気にすることもなかった。

ただ、最近、愛車に関する深い悩みが発生していた。それは、もうすぐ自動車保険の新車特約(車両新価特約)が付けられなくなることだった。これまでは、この特約のお陰で、もしもの事故で愛車が全損したとしても、再び新車を購入できる分の補償が出る状態にあった。ところが、初度登録から61ヵ月(5年と1ヵ月)経つと契約ができなくなってしまうのだ。ローンの支払いがあと2年残っている中でそういう状態となるのは、精神衛生上よろしくなく、万が一の事態を想像すると、いてもたってもいられない気分になった。

そんなLさんは、2022年2月のある日、安心点検のために、愛車を購入し保険も契約しているディーラーに立ち寄った。作業が終わるのを待っている途中、Lさんは担当営業に自分の悩みを打ち明けた。

「あと3ヵ月ほどでクルマを買って5年が経過し、新車特約が付けられなくなる。その後、もしもの事故で全損にでもなったとしたら、自損事故の場合は車両保険で補償され、相手がある事故の場合は相手の対物保険で補償されるんだろうけど、それは時価に基づいた補償だから、同じクルマの新車は買えないことになる。まあ、中古車は買えるかもしれないけど、それは嫌なんだよね」

深く頷きながら耳を傾けていた担当営業は、笑みを浮かべてこう言ってきた。

「Lさま、今契約している自動車保険を、東京海上日動の保険に切り替えてはいかがでしょうか? 実はこの1月、東京海上日動が『車両全損時復旧費用補償特約』という特約保険の販売を開始しました。新車特約が付けられなくなったクルマでも、これを付ければ、万が一の全損時に時価額以上の補償を受けることができます。まさにLさまに打ってつけの特約と言えるのではないでしょうか?」

暗く沈んでいたLさんの表情が、一瞬にしてぱあっと明るくなった。そして、自動車保険の更新にあたって、契約を東京海上日動に切り替え、「車両全損時復旧費用補償特約」を付帯する手続きをしたのは言うまでもない。Lさんにとって、めでたし、めでたしの春となったのであった。

● ● ●


東京海上日動火災保険株式会社(以下、東京海上日動)は、2022年1月から「車両全損時復旧費用補償特約」という特約を販売しはじめました。

愛車を新車時から長く大切に乗り続けている人にとっては、かなりの朗報です。

今回はこの特約について解説しますが、必要な前知識として、まずは新車特約=「車両新価特約」の概略について見ておきましょう――。

全損になったら
新車分を補償する新車特約

新車は買った瞬間から価値が下がりはじめます。

そのため、万が一の事故でクルマが修理不可能な全損もしくは修理費用が新車価格の50%以上かかる状態になった場合、自分の車両保険の補償や事故相手の対物保険による補償は、時価に準じた額になります。もし再び新車を買うのであれば、自分の懐から足りない分をプラスする必要が出てきます。
※自損事故に対する車両保険の補償は一般型のみ。エコノミータイプでは補償がされません。

しかし、加入している車両保険に新車特約(車両新価特約)を付けておけば、こうした状況も変わってきます。

新車特約は、万が一の全損もしくは修理費用が新車価格の50%以上かかる状態になったときに、新車価格相当額を丸ごと補償してくれる特約なのです。これによって、自分の懐を痛めることなく、再び新車を買えるというわけです。
※ただし、内外装・外板部品のみの損傷の場合や盗難の場合には補償されません。
※新車特約の補償を受ける場合は、自分の車両保険や相手の損害賠償責任保険からの補償は受けられません。

新車特約の補償イメージ

保険を使うことで等級が3等級下がり、翌年からの保険料がアップする痛手はあるものの、新車を買ったばかりの人には、非常に嬉しい補償内容。東京海上日動によれば、新車購入時に同社の自動車保険を契約する人のうち「約7割がこの特約に加入する」とのことですが、それももっともなことと言えるでしょう。

ただし、この嬉しい特約にも期限があります。この期限は保険会社によって異なりますが、東京海上日動の場合は初度登録(検査)年月の翌月から起算して61ヵ月以内というのが基本です。
※61ヵ月を超える場合は、その時点での車両保険金額が「協定新価保険金額の50%以上となるとき」に限るとされていますが、これに当てはまるケースは極めてレアといえます。

でも、ご安心を。新車特約が期限を迎えた後も時価額を上回る額の補償がされ、あまり自分の懐を痛めずに再び新車を購入できるようにしてくれる特約が2022年1月に発売となりました。

前出のストーリーに登場した、東京海上日動火災の「車両全損時復旧費用補償特約」がそれです。Lさんならずとも、新車時から愛車を大切に乗り続けている人にとっては、「待望の特約」と言える内容になっています。

新車特約の終了後に愛車が全損!……でも「車両全損時復旧費用補償特約」付帯なら時価を上回る補償が出る!(前編)

新車特約の終了後に愛車が全損!……でも「車両全損時復旧費用補償特約」付帯なら時価を上回る補償が出る!(後編)

 

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