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『EVOCカンファレンス2019 in HAKONE』レポート(前編)多彩なゲストスピーカーが登壇したEVイノベイターたちの集い

2019年12月3日更新



夏の名残の無冠雪の富士山が顔を覗かせていた9月15日、神奈川県箱根町の星槎(せいさ)レイクアリーナ箱根の駐車場には、電動車がズラリと数十台並んでいた。

三菱のi-MiEV、MINICAB-MiEV、アウトランダーPHEV、日産のリーフ、BMWの i3、テスラのモデル3、トヨタのMIRAI、プリウスPHV、プリウス……。
公道上ではたまにしかお目に掛かれない電動車が群れをなして一堂に会する様はまさに圧巻だった。

もちろんこれにはワケがあった。実はこの日この場所で、EVをはじめとする電動車のオーナーならびにファンの集まりであるEV Owners Club(略称EVOC)による『EVOCカンファレンス2019 in HAKONE』が開催されていたのだ。駐車場に並んだ電動車は、その参加車たちが日本各地から乗ってきたクルマだったのである。



EVオーナーたちと
自治体・企業が交流する場

EVOCとはどのような団体なのか、そして『EVOCカンファレンス2019 in HAKONE』とはいかなる会議なのか。EVOC代表を務める桑原文雄さんに話を聞いた。

EVOC代表 桑原文雄さん



「EVOCは2012年に結成された市民団体。いわゆる同好の士の集まりです。日ごろからホームページ(http://ev-owners.jp/index.cgi)を情報窓口として、全国のEVオーナーやファン同士の交流を図るとともに、電動車と再生可能エネルギーの普及のための啓発活動などを行っています。現在のホームページへの登録者数は約1400名になっています」

「カンファレンスはこのEVOCが年に一度開催しているもので、今年で第7回目を数えます。最初は会員が楽しく集まるだけの会だったのですが、『それじゃあ、発展性がないよね』ってことになり、第2回目からは電動車に関係する事業を展開している自治体・企業の人たちをゲストスピーカーに招いて講演(プレゼン)をしてもらい、それに基づいて意見交換を行うスタイルにしました。それが今に至るまで続いているわけです。ちなみに、今年の参加者数は過去最高の75名となりました」

クルマの世界では、同好の士が集まるオーナーズクラブはさまざまにある。EVOCもその一つと言えるわけだが、ブランドや車種を超えEVオーナーたちが集ったというところに面白みがある。これまでのクルマから一歩出て、次世代の主流になるであろうEVを駆る“EVイノベーター”たちの集まりだ。
だから、啓発活動や今回のようなカンファレンスをアクティブに行い、変革の道先案内をしているというわけである。

各界から10名のEVキーマンが登壇

普通、市民団体が主催するカンファレンスには、さほど多くのゲストスピーカーはこない。2~3名がせいぜいといったところだろう。

ところが、このEVOCのカンファレンスには、電動車に関係する事業を展開している行政・企業から10名ものキーマンが無償のゲストスピーカーとして参加していた。そして、各分野での電動車に関する深くて濃くて新しい話を披露したのである。次に、それぞれのプレゼンの概要を記しておく。

【プレゼン午前の部】

登壇者(1)

上から1段目:(左)神奈川県産業労働局産業部エネルギー課 笠井熱史氏、(右)小田原市環境部環境政策課 瀬下昌也氏、上から2段目:(左)アユダンテ株式会社 代表取締役 安川洋氏、(右)フォーアールエナジー株式会社 代表取締役 牧野英治氏



「神奈川県次世代自動車普及に向けた取り組み」(神奈川県産業労働局産業部エネルギー課 笠井熱史氏)
神奈川県は、次世代自動車普及に向けた取り組みを、神奈川スマートエネルギー計画を定め、特に「分散型エネルギー源の導入拡大」の側面から推進している。EVを蓄電池という視点で見ると、県内に27.5万kwhの蓄電池があり、日本一である(台数では約13,500台)。これをさらに推進して行きたい(目標は、来年度中に29,000台)。今年度からEV活用自家消費システム導入費補助を開始。ワークプレイス・チャージングとVtoXの試みもモデル事業を開始予定。

「小田原市の取り組みについて」(小田原市環境部環境政策課 瀬下昌也氏)
小田原市は、地域循環共生圏づくりプラットフォーム事業を推進している。小田原市は、都市部に豊かな自然の恵みを提供し、循環をさらに活発にしていく。平成10年にエコカープロジェクトが発足、平成25年に小田原スマートシティプロジェクトに発展し、エコカー、再生可能エネルギー、省エネルギーの普及促進を中心に行っている。イベントとして小田原スマートシティフェアを開催。これにあたって、EVの展示・試乗でEVOCと連携している。

「テスラオーナーズクラブと世界のEV情勢」(アユダンテ株式会社 代表取締役 安川洋氏)
テスラオーナーズクラブ・ジャパン(TOCJ)は、2014年くらいからメーリングリストになり、昨年8月8日クラブ組織となった(テスラ社の認定オーナーズ・クラブになっている。現在、会員は130名ぐらい)。11月にテスラ・ジャパンの名古屋ショールームでキックオフ・ミーティングを開催(モデル3のプライベート・ビューイング実施)。フリーモント工場へのファクトリー・ツアーを実施したりしている。
(その他のプレゼン内容:テスラ車のラインナップや現状における特長の紹介。テスラ社の生産工場についての報告。世界のEV情勢について、電動車メーカー各社のラインナップなどの説明と、今後求められるであろう超急速充電器[200kwhクラス]の必要性、さらには世界の充電ネットワークの状況報告、世界のEVトラック向け充電設備の現状など。最後に、アユダンテ社が開発・運営するアプリであるEVsmartの紹介)

「自動車用リチウム電池を活用した中古ビジネス構築に向けた取り組み」(フォーアールエナジー株式会社 代表取締役 牧野英治氏)
フォーアールエナジーは、2010年9月に、日産自動車と住友商事の合弁で設立された。電動車で使われたリチウムイオンバッテリーを「再利用、再販売、再製品化、リサイクル(4R: Reuse, Resell, Refabricate, Recycle)」する事業を行っている。2050年までに日本の自動車メーカーが世界で販売するすべての自動車を電動車にすると、年間1000万台の電動車が製造され、2次利用の要請が高まる。2次利用のためには、使用済みのリチウムイオンバッテリー内の各モジュールの性能・状態を測定する技術が重要。状態が近いものを集めて(「最良」「良」…のように)、一つのパッケージにするからである。フォーアールエナジーは、2018年3月に福島県浪江町に事業所(リユースのための技術開発を行うグローバルな開発センター&国内向けリユース工場)を造った。リチウムイオンバッテリーの2次利用事業で、浪江町の復興にも貢献したい。



『EVOCカンファレンス2019 in HAKONE』レポート

(前編)多彩なゲストスピーカーが登壇したEVイノベイターたちの集い

(中編)EVオーナーたちの熱気にゲストスピーカーからこぼれ話も飛び出す!

(後編)ちゃんとした大人たちのノブレスオブリージュこそEV普及のカギである

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