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みらいのくるまの「ただいまのところ」情報
2021年12月9日更新
2021年11月18日(木)と19日(金)の2日間、東京都渋谷区にあるボッシュ株式会社(以下、ボッシュ)で第1回「ボッシュCDRテクニシャントレーニング」が実施された。これは、ボッシュが12月から新たに「CDRテクニシャン」制度を設けるにあたって、その1期生を送り出すとともに、CDRテクニシャンの存在と内容を明らかにする告知イベント的な役割も担った講座であった。
レポート①では、今回始まった「ボッシュCDRテクニシャントレーニング」の背景を説明し、この制度の重要性を確認していく。
実際にどのようなトレーニングであるかについては、レポート②で、今回の2日間のトレーニングにチャレンジしたフリーライターの橋本愛喜さんに体験談を寄稿してもらった(中身に興味のある方は、レポート②をどうぞ!)。
来年7月以降の新型車からEDRの搭載が義務に
交通事故の原因究明に当たって、事故の当該車両の中にあるEDR(Event Data Recorder=イベント・データ・レコーダー)のデータが有力な証拠の一つであることが、最近にわかに知られるようになっている。
すでに、アメリカなどの国ではEDRを使った交通事故の原因究明が定着しており、国際的にクルマにEDRの搭載を義務付ける法令や制度が推進されている。そして、日本でも2022年7月以降に発売を開始する新型車からEDRの搭載が義務付けられることになった。
これまで状況証拠や実況見分からの推察に負うところがあった交通事故の原因究明に、客観的データによる事故解析が取り入れられることで、より透明性の高い証拠が示され、裁判や保険などにも好ましい影響がでるだろうと期待されている。
増加するデータ読み出しに対応
そこで、大事なことはEDRのデータを読み出して分析する専門家を養成することだ。EDRのデータは、ドライブレコーダーのデータなどと違って誰もが簡単に見ることができるわけではない。EDRの読み出し機器であるCDR(Crash Data Retrieval=クラッシュ・データ・リトリーバル)の第一人者であるボッシュは、それを取り扱う専門家の養成にも力を入れている。すでにアメリカなどでは、ボッシュと協力関係にある外部組織によってトレーニングが実施・運営され、CDRを使いEDRのデータを読み出して分析する専門家が続々と輩出されているのだ。
日本においても、2018年からEDRのデータの分析を行う専門家「CDRアナリスト」育成のトレーニングと資格認定を開始し、現在では警察機関・損害保険各社・調査研究機関・自動車販売会社などに在籍する約270人がCDRアナリストとなっている。
だが、この約270人という規模では、来年7月からEDR搭載義務化が始まり、事故時のEDRデータ活用が大幅に増加すると対応することができないという。そこで、ボッシュはアメリカでもすでに実働しているEDRデータの読み出しに特化した専門家である「CDRテクニシャン」をこの12月1日から新設することにしたというわけなのである。
ボッシュは、CDRテクニシャンについて、「数年で1000人規模への拡大を目指す」としており、さらにその先では日本全国に4000~5000人までに拡大していくことを目論んでいる。
いよいよ日本の交通事故の原因究明の分野も、さらに一歩進んだデータ主義のステップへと進んでいくことになる。華々しい未来的なテクノロジーとはイメージが違うが、この変革はじわっとクルマの世界を変えていくに違いない。(文:みらいのくるま取材班)
第1回「ボッシュCDRテクニシャントレーニング」レポート
① 交通事故の解析に一役!CDRテクニシャン育成が本格化!
② 2日間のトレーニングで「交通事故」への向き合い方が変わった!(寄稿 橋本愛喜)
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