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クルマのトラブル「もしも」マニュアル
2018年7月5日更新
【今回のやっちゃったストーリー】
“時代の流行には必ず乗っかる”派のYさん(会社員・29歳独身・都市部在住)は、先日、それまでのマイカーライフをやめ、カーシェアリングによるカーライフをスタートさせた。
「だって、クルマを走らせるのはたまの週末か長期休暇のときだけで、合計すると365日中の40日程度にしかならない。それなのに、月々ローンを払ったうえに、月極の駐車場代がかかり、さらに税金とか保険料とかがかかってくる。別に貧乏なわけじゃないんだけどさ、なんかもう、そういうの合理的じゃないし、流行らないじゃない。だからカーシェアリングの利用に切り替えることにしたんだよ」
ある休日、流行りのボルダリングが楽しめる新しいスポットにでかける途中、Yさんは、ハンドルを握りながら同乗していた友人に問わず語りした。友人は、朝早い出発だったので、うつらうつらしながら、それを聞いていた。
そして午前中、Yさんはボルダリングのビギナー用の壁にチャレンジした。制覇はできなかったが、それなりにハードに攻めたという実感はあり、大いに満足ができた。東京オリンピックが開催されるころは、たぶん上級クライマーとして競技の応援&論評ができるようになっていることだろう……。
が、Yさん、その時点で握力がゼロに近くなるほどに体力を消耗していた。そこで、あまり一所懸命にボルダリングをやっていなかった友人にこういった。
「悪いんだけど、帰りの運転、代わってくんないかな。大丈夫、カーシェアリングのクルマって、すべて保険がかかっているからさ」
友人は、免許はもっているものの、マイカーライフもカーシェアリングライフも送っておらず、たまにレンタカーを利用するだけ。運転にはまったく自信がなかったが、握力ゼロの人間に運転させるわけにはいかず、「うーん、仕方ないな。わかったよ、運転するよ」と渋々ながら承知した。
と、悲劇はすぐに起きた。ボルダリングスポットの駐車場から出ようと、前方不注意のままアクセルを踏み込んだ。と、そこに車道を走って来たクルマが!相手のクルマが減速中だったため、幸いケガ人はでなかったが、相手のクルマの左側のフロントとサイドが大きく損傷し、こちらのクルマのフロントも激しく損傷してしまった。
「あちゃー!」
悲劇はしかし、これだけではなかった。警察を呼んだあと、Yさんはカーシェアリングの会社に事故の報告をすべく電話を入れたところ、こう告げられたのである。
「事故を起こしたYさんのご友人は当社のカーシェアリングの会員ではないので、『非会員が運転してはいけない』という規約に違反しています。ですから、このケースでは、まことに残念ではありますが、通常どおりの保険の適用はありません」
「がびーん!」
2017年に100万人超となった
カーシェアリング利用者数
日本におけるカーシェアリングは2002年に車両台数21台・会員数50人からスタートしましたが、利用者数(会員数)は年々増加の一途をたどっていて、その数は20017年時点で車両台数2万4,458台・会員数108万5,922人にまでなっています。
Yさんは、カーシェアリングを流行のひとつとして捉えていました。しかし、そんな一過性のものではなく、カーシェアリングは、もはや常識的なクルマ利用形態のひとつとして社会に定着しつつあるのです。
利用者増の一番の理由は
「所有より共有のほうが安いから」
この急激な利用者数の伸長は、多くの人たち(とくに都心部の若年層)が「カーシェアリングは、クルマを自分で所有するよりも経済的」というメリットを感じ、それを享受すべく行動しだした結果だといわれています。
具体的に、どう経済的かというと……。
◆クルマを所有する場合は、購入資金のほかに、税金、駐車場代、整備費、車検代、保険料とさまざまな支払いが必要。
◆しかし、カーシェアリング利用の場合の支払いはごくわずか。
※大手カーシェアリング会社のタイムズカープラスの例でいうと、一度、入会初期費用(カード発行料)の1,550円を支払えば、あとは月額基本料金(個人プラン)の1,030円と、15分単位の利用料金(ベーシック)の206円×利用時間分のみの支払いとなります。
◆しかも、支払金額のなかにはガソリン代や保険料までも含まれている。etc.
このリーズナブルに惹かれて、多くの人たち(とくに都心部の若年層)は軽々と「愛車」という概念を捨て去り、共有車の利用にシフトしているというわけなのです。
手厚い補償内容の保険が
利用料に含まれるが・・・
ここで、カーシェアリングの利用料金に含まれる保険の補償内容を見ておきましょう。
会社によって微妙にちがうのですが、タイムズカープラスの例でいうと、こんな感じになっています。
なかなかに手厚い内容です。レンタカーとちがって、免責額0円というのも嬉しい設定です。
利用料金が安いうえに、補償までしっかりしていれば、利用したくなる気持ち、よくわかります。
ただ、まったく問題がないわけでもありません。
クルマを所有しているユーザーは、任意保険に加入する際は補償内容や適用条件について、しっかり検討するものです。ところが、カーシェアリングのユーザーは、保険が自動的に付保されるため、あまり補償内容や適用条件を気にしない傾向があり、それがトラブルに繋がることがあります。今回のYさんのケースは、まさに、その典型といえるのです。(後編につづく)
カーシェアリング車で非会員が事故。補償はどうなる?(前編)
カーシェアリング車で非会員が事故。補償はどうなる?(後編)
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