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クルマのトラブル「もしも」マニュアル
2022年12月8日更新
今、全国の警察署は、非接触事故における救護義務と警察への報告義務に関する注意喚起を盛んに行っています。その背景には、「非接触でも交通事故である」「救護義務等を怠ればひき逃げである」という認識が浸透していないということに対し、警鐘を鳴らさなければならないという考えがあります。
非接触の事故でも
義務を果たす必要がある
道路交通法第72条に基づき、警察が提唱している交通事故における加害者側の義務行為は次のようになります。
交通事故が発生したとき……
1.運転者は直ちに車両等の運転を停止
2.負傷者を救護
3.道路における危険を防止する等、必要な措置を講じる
4.警察に当該事故の状況を報告する
そして、「非接触でも交通事故である」という認識に立てば、これらの義務行為を行うことは、直接ぶつかっていない非接触事故においても絶対に行わなければならない……ということになります。
では、特に重要になる救護義務と警察への報告義務について、もう少し詳しく見て行きましょう。
負傷者の救護はどうすべきなのか
まずは、負傷者の救護についてです。
負傷者がいる場合、加害者など事故関係者は、次のような行為に代表される救護措置をとらなければなりません。
(1) 必要に応じて、救急車の手配を行う(自分ができなければ、周囲の人に依頼する)
(2) 状況によるが、自分のクルマで病院に運ぶ(頭部の負傷などでは動かさない方が良い場合がある)
(3) 事故現場において止血など可能な応急手当をする
また、後続車の追突などのおそれがある場合は、負傷者を救出して安全な場所に移動することもこれに含まれます。
非接触事故で、相手が「大丈夫」と言ったからといって何もせずに立ち去ってしまうと、その後に相手が病院を受診するなどして負傷等が明らかとなった場合には「救護義務違反」となってしまいます。
負傷の有無は医師でなければ判断できないため、相手の言葉や様子から「負傷がない」と勝手に解釈してはいけないということです。
相手が「大丈夫」と言ったとしても、病院に付き添っていくといった措置を行うべきです。
警察への報告はどうすべきなのか
次に、警察への報告について具体的に見ていきましょう。
加害者など交通事故の当事者は、警察にその事故を報告する義務を負います。具体的には、最寄りの警察署(交番、駐在所を含む)の警察官に次の項目について報告しなければなりません。
(1) 事故発生の日時・場所
(2) 死傷者の数、負傷者の負傷の程度
(3) 損壊した物(損壊の程度についても)
(4) 事故車両の積載物
(5) その事故について行った措置
直接の接触がなくても、相手が転倒などして負傷した場合は非接触事故と見なされるので、警察への報告は不可欠です。
相手の言葉や様子から「負傷がない」と思われても、その後に相手の負傷が明らかとなって警察に診断書が提出されれば非接触事故が成立するので、自分勝手に解釈せず警察への報告を必ず行うべきです。
また、自分の運転が相手の転倒に影響を与えたかどうかはっきりしない場合や、相手の飛び出しや信号無視などが原因で起きた事故で自分は悪くないと考えられる場合でも、報告は必須です。事故原因や過失責任などは、その後の現場検証などから導き出されるものであり、当事者が判断するものではないからです。
重い責任を負うことを
認識すべき
交通事故を起こした加害者は、以下に挙げる3つの責任を負います。
民事責任 : 交通事故によって、被害者に与えた損害を賠償する責任
行政責任 : 社会秩序に反したことに対する責任(それに対するペナルティ)
刑事責任 : 罪を犯したとして刑罰を受ける責任
非接触事故においても、加害者はこれらの責任を負うことになります。
民事責任については、個々のケースに応じ示談や裁判などで具体的な内容が決まります。
行政責任については、点数制度によって処分が下されます。報告義務違反が「あて逃げ」と判断された場合は点数7点(安全運転義務違反2点、危険防止措置義務違反5点)となり、前歴がない場合でも30日間の免許停止処分になります。
救護義務違反(ひき逃げの場合)をしてしまと、それ自体で35点となり、前歴や累積点数がない場合でも、短くて3年の欠格期間が発生します。これに事故の点数などが加えられるため、欠格期間が4年以上になる場合もあります。
そして、加害者が負う刑事責任についてですが、報告義務違反については「3ヵ月以下の懲役または5万円以下の罰金」という刑罰が定められており、救護義務違反(ひき逃げの場合)となると「10年以下の懲役または100万円以下の罰金」という重い刑罰が定められています。
非接触事故の可能性がある事態を起こしてしまった場合、直接ぶつかっていないからといって何もせず、安易にその場を立ち去ってしまうと、こうした処分や刑罰を受ける可能性があります。
そのことを十分に認識し、安全運転に徹しましょう。
非接触でも交通事故。そこで救護を怠ると免停になっちゃうかも!(前編)
非接触でも交通事故。そこで救護を怠ると免停になっちゃうかも!(後編)
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