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クルマのトラブル「もしも」マニュアル

Vol.9 アンダーパス走行中に愛車が水没。脱出方法は? 車両保険の適用は?〈前編〉

2016年9月30日更新

もしも_水没_1

【今回のやっちゃったストーリー】

猛烈な台風が直撃して、ものすごい風雨。そんななかIさん(37歳男性・会社員)は、とくに不安を感じることなく、いつもどおり愛車のSUVで帰宅の途に就いた。
鉄道高架下の道に水が数十㎝ほど溜まっているのが見えたときは、さすがに少し躊躇したが、Iさんはアクセルを強く踏んで前進しつづけることを選んだ。キャンプにいったときに愛車で浅い川を渡った経験があるので大丈夫と判断したのだ。
ところが、ザブーンと勢いよく入ったら数mのところでクルマはあえなくストップ。まったくエンジンがかからなくなってしまった。そして室内にはどんどん水が浸入――。
「やばっ!」
ドアは水圧でかなり重かったものの、なんとか開き、無事に外に脱出できた。
ずぶ濡れのIさんは半ばパニックのまま、「自分の判断ミスでこんなことになってしまった。車両保険は適用されるのかなあ」とけっこう冷静にお金の心配をしていたのだった。

浅く見える水溜まりでも
すぐに走行が不能となる

夏から秋にかけて、ゲリラ豪雨や台風の大雨によって思わぬ災害になることがあります。そんなとき、交通インフラに関しては、高架下などのアンダーパスの低部がプール状態となり、そこでクルマが水没してしまう事故がたびたび起こります。

たとえIさんの愛車のSUVのような車高が高いクルマであっても、それは例外ではありません。下に貼ったのはJAFの実験映像ですが、これを観ればわかるように、わずか水深60㎝のプールでもクルマはあっけなく走行不能となってしまうのです。



こうならないためには、「浅く見えても、アンダーパスのプールには絶対に突っ込まない」ことを原則に運転することが大切です。

水没してしまったら
とにかく迅速に脱出を

では、もし、判断を誤ってプールに突っ込み、そこでクルマが停まってしまったらどうしたらいいのか?
答は一つ。クルマを動かそうとあれこれ努力するのはやめて、とにかく急いで脱出を図るべきです。

Iさんの場合は、迅速に行動したおかげで、なんとかドアが開いて脱出することができました。これで、もし車内で余計な時間を過ごしていたとしたら、その間に水かさが増して水圧でドアが開かなくなり、車内も水で溢れていたはずで、命の危機に直面していたことでしょう。

実際、そうしたことは十分に起こり得ます。2008年、2mまで冠水した高速道路高架下のアンダーパスで軽自動車を運転する女性が溺死してしまった痛ましい事故は記憶に新しいところです。

なお、すぐに脱出を試みても、もともとの水かさが高い場合は、最初から水圧でドアが開かないこともあります。そうしたギリギリの状況に陥った場合は、以下の脱出策に頼るほかありません。

①「ドアが開かないとわかったら、サイドウインドウを下げて窓から脱出する」
近ごろのクルマはある程度水に浸かってもパワーウインドウが動くようになっているといいます。ただし水の深さ、そしてクルマの年式や車種によっては動かないこともままあり得ます。

②「パワーウインドウが動かないとわかったら、緊急脱出用ハンマーでサイドウインドウを割って脱出する」
あくまで市販の緊急脱出用ハンマーを車内に常備していることを前提とした脱出策です。ちなみに、フロントウインドウにはシールドが施されているため、ハンマーで打ち付けてもヒビが入るだけで割ることはできません。割るのならサイドウインドウです。

もしも_ハンマー

③「①と②を試しつつ携帯電話で110番して助けを呼ぶ」

自力で脱出できないときは、外からの助けに頼るしかありません。それはもう時間勝負なので、①と②をやりながら携帯電話で110番するのがいいでしょう。

①も②も③も最終的な手段ですが、正直、どれも心許ないところを残したまま。完璧に安心できる脱出策とまではいい切れません。その点については、どうかくれぐれもご留意ください。

そう、だから結局は、判断を誤らないことがなにより大事。「浅く見えても、アンダーパスのプールには絶対に突っ込まない」が一番の安全策となるわけです。

つづく後編では、Iさんが知りたがっていた水没したクルマの車両保険の適用についてお話します。

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