ロータスクラブが運営するクルマとあなたを繋ぐ街「ロータスタウン」

クルマのトラブル「もしも」マニュアル

Vol.42 追突事故では、後ろのクルマが100%悪いってホント?(後編)

2019年6月11日更新



※本文記載の過失割合はあくまでストーリー上の参考例であり、実際の事故の際には、その状況によって過失割合は変動します。

後ろのクルマが100%悪いのは
信号待ちのクルマに追突したとき

ここからは無茶な車線変更によって起こった事故での過失責任、すなわち保険(補償)に関わる話です。

まずお話ししておきたいのは、事実誤認について。前編の冒頭のストーリーで、SUVの男性もMさんも「追突事故では(どんな場合でも)後ろから追突したクルマが100%悪い」という認識をもっていましたが、これは間違いです。

後ろから追突したクルマの過失割合が100%となるのは、交差点で信号待ちのために停車しているクルマや渋滞のために動けないクルマに後続車が追突した場合などです。
つまり、後方から追突したクルマのドライバーに、「前方不注意」や「車間距離保持義務違反」などの過失が認められる一方で、停車していたクルマのドライバーは追突回避のために行うべき義務が見当たらないという場合のみ過失割合は100対0となります。



それ以外の追突事故では、追突した側のみならず追突された側の責任も問われることがあり、過失責任はその事故状況に応じて変動します。

いや、それどころではありません。たとえば今回のように追突された側の無茶な車線変更によって起きた事故の場合は、追突された側の過失責任が大きくなる場合がほとんどです。その無茶な車線変更をどうやって証明するかという問題は残るにしても、これは当然の理でしょう。後ろから追突したからといって、なんでもかんでも100%悪いということになるはずがないのです。

「同一車線上を走行」と
「車線変更直後」では大きく違う

さて、今回の事例では、SUVの男性がウインカーを点けずに急に車線変更した上に急ブレーキをかけたことで、Mさんに追突されたにも関わらず、男性は「ウインカーを点けて車線変更をした」とウソをつき、かつMさんが「ちょっと強めのブレーキへの対応ができなかったのは、前方不注意ならびに不適正な車間距離だったからだ」と主張しました。

仮に、この事故が同一車線を走行していた2台の間で起きた追突事故であったとすれば、ウインカーや急ブレーキのウソを証明できない限り、Mさんの過失責任は100%かそれに近いものになってしまうでしょう。Mさんが、「車間距離保持義務違反」などの過失を犯していたと判断されるからです。
ただし、SUVの男性が言う「ちょっと強めのブレーキ」が実は急ブレーキであったことが判明し、SUVの男性に急ブレーキをかける理由が見当たらなかった場合には、(断定はできませんが)Mさん70%:SUVの男性30%というような過失割合が想定されます。これは、道路交通法が不要な急ブレーキを禁じていることに依ります。



しかし、Mさんの事故では、後日、保険会社の調査員による査定でMさんが30%で、SUVの男性が70%という過失判定が出ています。これは、どうしてなのでしょうか?

MさんとSUVの男性の事故は同一車線上の2台による事故ではなく、SUVの男性が車線変更をして起きた事故でした。

車線変更直後に追突された場合には、車線変更をした側に道路交通法義務違反(車線変更した車線の後続車の速度や方向を急に変更させるような違反行為など)を原因とする過失割合が多く認められることになります。
ただし、後続直進車のドライバー(今回の場合はMさん)も、進路変更車があることを認識できる以上、減速などの措置を講じて追突を回避できた可能性もあるとして一定の過失割合を負います。

その結果、車線変更後の追突事故の過失割合は原則的には、後続直進車のドライバー(Mさん)30%:進路変更車(SUVの男性)70%となるようです。
これが、進路変更の合図(ウインカー点滅)がなかった場合には、後続直進車のドライバー(Mさん)10%:進路変更車(SUVの男性)90%ということも考えられます。



今回の事例においては、現場検証の結果から過失割合が導かれたと思いますが、SUVの男性のウソが通ってしまった部分もありました。
そこがMさんの憤懣やるかたないところでしたが、ウソを見破るには、前編冒頭のストーリーにもあるようにMさんがドライブレコーダーを装着している必要がありました。

ちなみに、これはあるサッカー通に聞いた話ですが、最近、サッカーの試合でビデオ判定のVARが導入されるようになってから、審判から見えないところで犯される悪質な反則が影を潜めている感じが強くあるそうです。サッカーが内在する、間違いも含めた人間らしさを追求したい向きには不評のようですが、先端技術が健全なスポーツとしての流れをつくり出していると言えるのではないでしょうか。

ということで、皆さん、愛車にドライブレコーダーを装着するようにしましょう。ドライブレコーダーはあおり事故を抑止するものとして注目を浴びていますが、追突事故などの際でも大活躍してくれるスグレモノ。付けておいて決して損はありません。

追突事故では、後ろのクルマが100%悪いってホント?(前編)

追突事故では、後ろのクルマが100%悪いってホント?(後編)

  • ロータスカードWeb入会
  • ロータスカードWeb入会

あわせて読みたい

  • Vol.47 相手の過失割合が100%なら、自分の車両保険を使っても『車両無過失事故に関する特約』でノーカウント事故扱いに!(後編)

    クルマのトラブル「もしも」マニュアル

    Vol.47 相手の過失割合が100%な…

    さて、ここからは前編の事例の中で保険代理店の人が言っていた『車両無過失事故に関する特約(または車両保険無過失事故特約)』について、具体的にお話ししていきたいと思…

    2020.01.09更新

  • Vol.50 渋滞中にスマホ将棋の「ながら運転」したら、人生が詰んじゃった!(後編)

    クルマのトラブル「もしも」マニュアル

    Vol.50 渋滞中にスマホ将棋の「なが…

    「ながらスマホ」禁止のほかカーナビにも言及ここで、2019年12月1日に施行された「ながら運転」を禁止する改正道路交通法が、具体的にどんな内容になっているの…

    2020.05.26更新

  • Vol.41 ハイブリッド車にジャンピングスタートの協力を頼むのはNG!(前編)

    クルマのトラブル「もしも」マニュアル

    Vol.41 ハイブリッド車にジャンピン…

    【今回のやっちゃったストーリー】Lさん(44歳)は、やり手の個人投資家。投資の稼ぎだけでけっこういい暮らしができている。ある月曜日の早朝、自宅から数㎞離れた…

    2019.05.15更新

  • Vol.5 車道で自転車に接触しちゃった。やっぱりクルマ側の過失が大きいの?

    クルマのトラブル「もしも」マニュアル

    Vol.5 車道で自転車に接触しちゃった…

    今回のやっちゃったストーリーEさん(50歳男性・会社員)は運転歴30年。これまで壁をこする小さな自損事故を起こすことはあったし、駐車違反やちょっとしたスピー…

    2016.06.14更新

  • Vol.8 自動車保険に未加入のドライバーが事故後の賠償から逃げだした。むむむ。

    クルマのトラブル「もしも」マニュアル

    Vol.8 自動車保険に未加入のドライバ…

    今回のやっちゃったストーリー交差点の信号が青に変わった。Hさん(67歳男性・団体職員)はアクセルを踏んでゆるりと直進をはじめた。と、そこへ左側の道路から1台の…

    2016.08.27更新

  • Vol.48 非接触事故が自損事故扱いに。ああ、オールリスクタイプの車両保険に入っておけばよかった……(前編)

    クルマのトラブル「もしも」マニュアル

    Vol.48 非接触事故が自損事故扱いに…

    【今回のやっちゃったストーリー】「海が見たいわ」街中のカフェで、長年憧れ続けてきた年上の女性から失恋相談を受けていたQくん(20歳・会社員)、そう求められて…

    2020.02.20更新

< 前のページへ戻る