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第29回 日本EVフェスティバル レポート③―「EVへの充電は昼に行う」というパラダイムシフトが起きる!

2023年12月14日更新

Japan EV Festival 2023 REPORT 3-1

本当は、EVへの充電は、夜ではなく昼に行うほうがいい――。

「EVシンポジウム」の後半は、この話題で持ちきりとなった。

昼充電の習慣が
CO2削減に貢献する

基調講演の後、「EVモビリティ関連企業のゼロカーボン戦略」と題したプレゼンテーションでは、モビリティ関連企業・団体の代表4名が登壇し、それぞれが取り組んでいる事業や活動を紹介した。

Japan EV Festival 2023 REPORT 3-2「蓄電池と再エネで実現する、クリーンで便利な超急速EV充電ネットワーク」
㈱パワーエックス EVチャージステーション事業部 森居紘平氏

Japan EV Festival 2023 REPORT 3-3「EVの充電時間の有効活用について~充電時間をより楽しく、美味しくする『EVごはん』」
㈱141マーケティング EVごはん事業部 石井啓介氏

Japan EV Festival 2023 REPORT 3-4「再生可能エネルギーによる電気を用いて、EVの充電を促す『EV昼充電推進プロジェクト』」
EV昼充電推進協議会 酒井直樹氏

Japan EV Festival 2023 REPORT 3-5「カーボンニュートラルをEVで実現するソリューションと新型V2Hの商品コンセプト」
ニチコン㈱NECST営業本部EV統括 宮本亨氏

いずれも、EVには再生可能エネルギーによる電気の充電が不可欠との認識のもとで独自の取り組みを語り、聞き応えある内容であった。

なかでも、EV昼充電推進協議会の酒井直樹氏によるプレゼンテーションは、これまでの充電の常識を覆す提案がなされるなど、たいへん興味深いものだった

酒井氏は東京電力の元社員。2000年にアジア開発銀行に移籍し、インドでのメガソーラー事業に関わった。そして、2017年には電力仲介取引を手がける電力シェアリングを起業。現在、「EVごはん」とのコラボでEV昼充電推進協議会を立ち上げるなど、EVへの昼充電の必要性を広く訴えている。

以下はその酒井氏のプレゼンテーションの抜粋・要約である。

◎ EV昼充電推進協議会は、EVへの充電時間帯を昼間にシフトさせることを目指している。

◎ なぜ昼充電がいいかというと、昼間は太陽光をはじめとする再エネによる電気量が多いからだ。

◎ 1km走行する際にクルマが排出するCO2の量は、ガソリン車160g、夜充電のEVが100g、昼充電のEVが50gになると試算されている。もちろん、すべて再エネにすればゼロになる。

Japan EV Festival 2023 REPORT 3-図

※数値は㈱電力シェアリング調べ 画像提供:㈱電力シェアリング



◎ また、化石燃料発電が多い夜間に電気をつくるとCO2排出量は1kWhあたり500gほどなのに対して、再エネ発電が多い昼(12時)の場合、CO2排出量は400gほどである。一方、1kWhあたりの単価は夜間が40円くらいで、昼(12時)は25円くらい。本来は、昼に充電するとコストも安くなるはず。
※上記は、場所や時間、季節などにより異なる。

◎ ところが、現実には再エネ発電の多い昼間の電気料金は安くなっていない。これは、法規制と電力システムのゆがみによるもの。各方面からの働きかけで、こうしたゆがみを正していくことが必要だ。

◎ 国もカーボンニュートラルの視点から昼充電シフトの重要性を認識し出している。私が代表を務める電力シェアリングは、この7月から環境省の委託でEVオーナーの昼充電への行動変容を促す実証実験をはじめている。

少し前までは、原子力発電の余剰電力がある夜充電がよいとされていた。しかし、再エネ発電が多くなるこれからは昼充電こそが環境にも財布にもよい、という時代に向かっているということだ。

EVが普及し、多くのEVオーナーが再エネの活用を真剣に考えることによって、このパラダイムシフトは具現化するに違いない。

欧州の電動化は
日本のはるか先に

シンポジウムの最後のプログラムとして、『EV未来プロジェクト』メンバー(日本EVクラブ有志)による公開ディスカッションが行われた。

Japan EV Festival 2023 REPORT 3-6

当初は「明日のクルマは誰がつくる」をテーマに話し合われる予定だったのだが……。基調講演とプレゼンテーションで取り上げられたEVの昼充電が話題となり、ひとしきり盛り上がった。

また、ディスカッションの後半には、メンバーの1人である㈱東京アールアンドデーの福田雅敏氏から、この10月に行ったフランス、ベルギー、オランダの都市部におけるEV事情視察の報告が行われた。

以下は、福田氏の発言で印象深かった発言(要約)と、当日スクリーンに映されたスライドショーの一部である。

◎ このところヨーロッパで急速にEV普及が進んでいるという話があるが、実際に見てみると、その進展具合は想像以上だった。

◎ バスやタクシー、自家用車の多くがEVなどの電動車両となっていた。都市部の交通制限に対応するものとして、自家用小型EVも多く見かけた。

Japan EV Festival 2023 REPORT 3 欧州EV事情1

画像提供:東京アールアンドデー



apan EV Festival 2023 REPORT 3 欧州EV事情2

画像提供:東京アールアンドデー



Japan EV Festival 2023 REPORT 3 欧州EV事情3

画像提供:東京アールアンドデー



◎ 充電インフラの充実度もすごかった。多くの道路上の駐車スペースに充電ポールが立っていた。地下駐車場にも充電設備がズラリと並んでいた。

Japan EV Festival 2023 REPORT 3 欧州EV事情4

画像提供:東京アールアンドデー



Japan EV Festival 2023 REPORT 3 欧州EV事情5

画像提供:東京アールアンドデー



◎ 以前に同様の視察を行ったときは、フランスのパリの街中ではディーゼル車の排気ガスの臭いが満ちていた。ところが今回は、ほとんどディーゼル臭がしなかった。こうした急速な変貌に非常に驚かされた。

福田氏の報告は、すでにヨーロッパではクルマの電動化が急速かつ大規模なレベルで進んでいるという認識を再確認させてくれるものであった。環境保全そしてエネルギーの有効活用にはEVがベストとの認識が地域全体のコンセンサスになっている以上、もう後戻りはないだろう。それどころか、今後のさらなる進展は確実といえる。

果たして日本はこれに追いつけるのか。今なら間に合う気もするが、エネルギー問題も含め、相当な変革への努力が必要だろう――。

今回の日本EVフェスティバルは、来場者にそうしたことを真剣に考えさせる、実に意義深い内容であった。

Japan EV Festival 2023 REPORT 3-7

第29回 日本EVフェスティバル レポート

①VWが本気でつくったEV「ID.4」。日本の狭い道でもスイスイ走れた!

②再エネ発電が増えたら、V2Xで昼間の余剰電力を有効活用しよう!

③「EVへの充電は昼に行う」というパラダイムシフトが起きる!

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