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みらいのくるまの「ただいまのところ」情報
2020年1月17日更新
一見開きワンテーマの図鑑的EV本
この本は、2017年12月に出版され、わずか半年後の2018年7月に第2刷がでている。ベストセラーとまではいかなくても、EVに関心がある人や、EVについて学ぶ必要に迫られている人たちを中心に地道に売れているわけである。
人気の理由は、構成の妙と表現のわかりやすさだろう。
「電気自動車とはどんなもの?」といった超初歩的なものから、「全固体電池で2020年代の主役を目指すトヨタ」といった専門性の高いものまで、EVにまつわる65ものテーマを扱っているのだが、すべて短く平易な文章とシンプルでわかりやすい図を組み合わせながら見開き完結の形で解説している。
それゆえ、ストレスなく読み進められ、EVへの理解がサクサクと進む。通して読まずとも、知りたいテーマが書かれているところを眺めさえすれば、それだけで必要な知識が得られる図鑑的な使い方だってできる。
そう、なるべくカンタンにEVの基本情報、最新事情を知りたい人たちにとっては、望むべく形の一冊となっているのだ。このあたりが、人気の所以であろう。
なお、著者の村沢義久氏は、東京大学工学部を卒業し、スタンフォード大学経営大学院でMBAを取得。ビジネス界ではゴールド マンサックス証券バイスプレジデント(M&A担当)などを務めた超エリートだ。70歳を超える現在も、次世代の理想的なモータリゼーションの実現に寄与すべく、太陽光発電とEVの推進に尽力している。
難しくなりがちなEVの話を平易にかみ砕いて書けるのは、こうした厚いバックボーンあってのこと。世に出回るあまたの難しいEV本を読む前に、まず、このしっかりとした知識と筆力をもった著者の一冊でベースをつくっておきたいところだ。
コンバートEV産業が期待大!?
ところで、こうしたEVに関する基礎知識を固めるに相応しい一冊にも、実は、ほかの本とはまったく違ったユニークな記述があったりする。
それは、これからのEV時代においては、コンバートEVビジネスにも注目すべきと書いているところだ。ほかのEV本では、コンバートEVは既に終わったコンテンツ=「オワコン」として取り扱われがちだが、著者の村沢氏は、将来有望なビジネスになり得ると明言しているのである。
筆者がコンバートEVを推進する理由の一つは、CO₂削減のスピードアップを図ること。日本には約7800万台のエンジン車が走っている。対する新車の販売台数は500万台(※編集部注:年間500万台)だから、その全てがEVになっても入れ替わるのに15年以上かかる計算になる。そのため、既存のエンジン車をEVに変えてしまおう、という考えだ。
EV時代に仕事が減少するガソリンスタンド、修理工場、部品メーカーなどがあり、実際、それらの業界でコンバートEVを手がける例が出始めている。
1年に100台コンバートする。そのような拠点が1万カ所できれば、年間100万台のコンバートEV産業を興すことができる。
現在は、モーターやバッテリーが高価すぎて難しいが、企業間連携による大量仕入れなどによりコスト削減ができれば、不可能な話ではない。(『図解EV革命』より)
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