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2023年11月8日更新
準備を怠りなく行えば、勝率は自ずと高まる――。
6月18日(日)に袖ケ浦フォレストレースウェイで開催されたALL JAPAN EV-GP SERIES 2023の第3戦「全日本袖ケ浦EV55㎞レース大会」は、この普遍的な真理を如実に示すレースとなった。
1分11秒922の
最速タイムが出た!
午前10時25分からの予選。
ポールポジションを獲得するのは、最速のテスラ・モデル3を自在に操る2人、目下総合2連勝中のTAKAさん選手(#35 スエヒロ自動車商会)と前戦でポールポジションを獲得した余郷敦選手(#2 Team TAISAN)のいずれかになるだろうと、誰もが予想していた。
だが、はじまってみたら、まったく違う結果が出た。
これまでのレースで2人の後塵を拝していた、同じモデル3を駆るアニー@ニキ選手(#39 スエヒロ自動車商会)が1分11秒922のタイムを叩き出し、1分12秒台のTAKAさん選手、1分13秒台の余郷選手を抑えてのポール獲得となったのだ。
しかも、この1分11秒922は、一昨年まで4連覇を果たした地頭所光選手(Team TAISAN)が保持していた袖ケ浦フォレストレースウェイにおけるモデル3での最速記録1分12秒742を上回るタイム。アニー@ニキ選手は、これまで誰も目にしたことのない速さを見せつけながら決勝グリッドの一番前を決めたのである。
スエヒロ自動車商会の
強さの秘密
アニー@ニキ選手はこのレースでの優勝経験もある実力者。ただ、今シーズンはTAKAさん選手と余郷選手の陰に隠れて、予選でも決勝でも3番手が定位置となりつつあった。
それが今回、いきなり最速記録を出してのポール獲得である。いったい、何があったか?
予選後、アニー@ニキ選手を直撃。同選手は柔和な笑顔をたたえつつ、突然の速さの秘密を教えてくれた。
「実は弟(TAKAさん選手)も私も、レースの数日前に前後のサスペンションのダンパーを新しくした。採用したのは、堅くもあり柔らかくもあるRyuダンパー(笑)。まだ調整途中だが、この新しい足はたまたま私に合っていたようで、それが最速タイムでのポール獲得につながったんだと思う。ちなみに今回、同じ足まわりの弟よりも速く走れたのは、たぶんセッティングの違い。弟のほうはまだ煮詰め切れていない部分も多くあったみたいだ」
これを聞いて、今シーズンのアニー@ニキ選手とTAKAさん選手が所属するスエヒロ自動車商会のレースへの熱心な取り組み姿勢と、それに伴う好成績に思いが及んだ。
開幕前、何度もテスト走行を繰り返し、第1戦の筑波はTAKAさん選手がポールトゥウィンで制している。第2戦の雨の富士では、決勝で事前に用意していた新品タイヤに履き替えてTAKAさん選手がぶっちぎり優勝を遂げている。そして今回、2連勝中にもかかわらず、あえて足まわりをいじるリスクあるチャレンジを行い、アニー@ニキ選手の最速ポールを呼び込んでいる。
準備万端整えて、勝つべくして勝つ。それが今の「強いスエヒロ」ということなのだろう。
もちろん、ライバルのTeam TAISANも毎回勝つための準備はしっかりやっているだろう。しかし、今シーズンのスエヒロ自動車商会の取り組みはより意欲的で、より集中したもののように感じる。そうした彼我の差は少なからず結果に影響を与えるに違いない。
午後に行われる決勝で、スターティンググリッドの最前列をスエヒロ自動車商会の2台が占める。われわれは、ごく自然に「初のスエヒロ自動車商会のワンツーフィニッシュ、すなわち初の兄弟ワンツーフィニッシュ」への期待を膨らませた。
ALL JAPAN EV-GP SERIES 2023 第3戦レポート
(1)“第三の男”アニー@ニキ選手が最速記録でポールポジションを獲得!
(2)初の兄弟ワンツーフィニッシュ。アニー@ニキ選手の優勝でスエヒロ3連勝!
(3)次回第4戦、元チャンピオン地頭所光選手が電撃復帰か!?
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