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みらいのくるまの「ただいまのところ」情報
2023年11月8日更新
ズラリと集結した
モデル3とモデルY
TEAM TAISAN vs.スエヒロ自動車商会の激烈な戦いが繰り広げられたALL JAPAN EV-GP SERIES 2023 第4戦「全日本袖ケ浦EV60㎞レース大会」。
そのすべてのプログラムが終了した後、午後5時からテスラ車オーナーたちがサーキット走行を楽しむ「カルガモ走行会」が初開催された。
走行の直前、コース入口付近には参加オーナーたちの愛車であるモデル3とモデルYの合計20台がズラリと並んでいた。
発起人はスエヒロの監督
この会の発起人は、スエヒロ自動車商会の監督〔X(旧Twitter)のハンドルネーム「Model3Life! (@Model3Life)」さん、以下「監督」と表記〕。
監督は、近ごろX(旧Twitter)でつながっているテスラ車オーナーたちの多くが、レースごとにサーキットに足を運んでスエヒロ自動車商会を熱心に応援してくれるようになったのを見ていてありがたくなり、「テスラ好き・レース好きの彼らに、サーキット走行を体験させてあげたい」と考えるようになった。
そこでこの7月、ALL JAPAN EV-GP SERIESを主催しているJEVRA(全日本電気自動車レース協会)の富沢久哉事務局長に開催について相談してみたところ、後日「直近であれば、8月11日の袖ケ浦フォレストレースウェイでのレース後に時間が取れる。参加人数は20名程度。料金は1人3周で3,000円」との回答がもらえた。
これを受けて監督は、すぐにX(旧Twitter)を通して「カルガモ走行会」と名付けたサーキット走行体験会の参加募集をかけた。すると、すぐに約20名のテスラ車オーナーたちが参加希望の手をあげてきた。あっという間に定員は埋まった。
「やっぱりみんなサーキットを走りたかったんだ。やったことのない試みだけど、とにかくやってみよう」
初の「カルガモ走行会」は、こうして実施の運びとなったのであった。
なお、コース上でカルガモたちを先導する母ガモ役をTEAM TAISANの地頭所光選手に依頼している。TEAM TAISANとスエヒロ自動車商会はライバル同士ではあるが、レースが終われば実はみんな仲よし。そんな関係性の中で、常々EVレース界の発展に寄与したいと考えている地頭所選手は、一も二もなくこれを引き受けたわけである。
当日、地頭所選手のモデル3は不調で、マックス120km/hしか出ないことが判明したのだったが、走行会の最高速度は80㎞/hに制限されていたので、なんの問題もなかった。
EVレースで4連覇した伝説のチャンピオンが先導役をするというのは、カルガモたちにとってはかなり嬉しい演出。クルマが不調でも、きっと素晴らしい走行ラインを示してくれるはず。それだけで十分だった。
美しい隊列だけど
ちょっと遅いカモ!?
コース上でのカルガモ走行は、1周目が60km/h、2周目が70km/h、最後の3周目が80km/hと、徐々にスピードを上げる形式で実施された。
テスラ車には速度制限モードが付いているので、20台はきっちり速度を守って走っていた。車間距離は一定に保たれ、隊列もほとんど乱れることはなかった。
ピットの上にある観客席から眺めると、隊列はとても美しかった。
ただ、爆速レースを見慣れた目には、「ちょっとゆっくり過ぎかな」と映る部分もあった。
果たしてこれで、参加者たちは本当に楽しめたのだろうか?
女性参加者いわく
「結構スリリングで面白かった」
約10分間の走行が終わった後、参加者の1人である女性ドライバーに感想を聞いてみた。
名前はX(旧Twitter)のハンドルネームで「紅れん(くれん)」さん。神奈川県在住の20代会社員。
この日、紅れんさんは車高を低くしたモデル3のスタンダードレンジプラスを駆って会場にきていた。敷地内をピンヒールで歩く姿があでやかだったが、実は普段の休日はスニーカーを履いてモデル3で峠をビシバシ攻めるアクティブ派ドライバーでもある。
――今回が初のサーキット走行だったんですか?
紅れん はい。初めてでした。
――走ってみてどうでしたか? スピードが控えめだったので、「興奮度はいま一つだったのでは?」と思ったんですけど。
紅れん いや、結構スリリングで面白かったですよ。2周目の70km/hで走っているときでも、きついコーナーではGがかかり、うわって思いましたから。ここをレースでは選手たちがもっと速いスピードで走っていると考えると、ちょっとびっくりです。
――ほどほどのスピードでもスリリングだったは、先導した地頭所選手のライン取りがレース仕様のアウト・イン・アウトだったからなんでしょうかね?
紅れん そうだと思います。結構プロっぽいコーナリングだったので、トレースが大変でした。ただ、最後の3周目にはちょっと慣れちゃって、もっとスピード出してもいいんじゃないって思ったのも事実ですけど(笑)。
――今回の体験で、いつかEVレースに出たいというような思いは芽生えましたか?
紅れん 少し芽生えました。ただ、大事な愛車で激しいレースをやるのはちょっと嫌かも。もし、誰かいいスポンサーさんが速いテスラ車を用意してくれて、それで戦えっていうんだったら前向きに参戦を考えたいです(笑)。
紅れんさんの声はあくまで一例。だが、走行後の参加者たちの会話に耳を傾けたところ、ほぼ同様の意見が大勢を占めていた。
どうやら、参加者たちは十二分に楽しんだようだ。
カルガモの1人が
最終戦にスポット参戦
ところで、この「カルガモ走行会」の参加者の中には、ALL JAPAN EV-GP SERIES 2023の筑波サーキットでの最終戦にスポット参戦を決めている人もいた。
名前はX(旧Twitter)のハンドルネームで「モンドスミオ」さん。東京都在住の30代会社員。
モータースポーツが趣味で、最近も愛車のモデル3のスタンダードレンジプラスで筑波サーキットを何度か走っている。だが、レースだけは未経験だった。
今回、最終戦の筑波に参戦を決めたのは、JEVRAのEVレースが、ある程度の技量があれば素人でも参戦できるとわかったから。素人ドライバーの星である、憧れのTAKAさん選手から受けた助言・助力も実現を後押しした。
このモンドスミオ氏に、2カ月後の初レースの意気込みを聞いた。すると「僕のモデル3はシングルモーター。TAKAさん選手たちのデュアルモーターのモデル3ほどは速くない。なので、まずは上位陣の邪魔にならない走りを心がけたい。その中で自分のクルマのポテンシャルと自分の腕がどこまで通用するかを試したい」との控えめな答えが返ってきた。
しかし、これでは順位を競うレースの目標とはなり得ない。さらに聞いたところ、今回のレースで6位になった武蔵精密工業のコンバートEVのシビック、レーサー鹿島選手が駆る東洋電産のリーフ、鵜飼龍太選手が駆るトーヨーシステムのMIRAIといったモデル3勢に次ぐ猛者たちと互角に渡り合うことをひそかに狙っているとこっそり教えてくれた。
はてさて、初チャレンジの結果やいかに。次々回の最終戦レポートでは、上位陣の結果に加えて、モンドスミオ氏の奮闘ぶりも報告する予定である。
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