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2020年10月29日更新
一般社団法人日本EVクラブは、2020年10月3日に第1回SDGs ERK on ICE『氷上の電気レーシングカートの祭典』(SDGs氷上電気カート競技会)を新横浜駅に近い新横浜スケートセンターで開催した。まったく新しいモータースポーツの始まり。それは、奇しくもホンダが2021年いっぱいでF1から撤退するとの発表をした翌日のことだった。
時代はカーボンニュートラルへ!
時代の節目というものは、ある日いきなりカタチになってやってくる。
2020年10月2日、ホンダが2021年いっぱいで自動車レースの最高峰F1から撤退することを発表した。その理由として、今後は電動車をはじめとするカーボンニュートラルなクルマの世界の実現に力を入れていくことが語られていた。
そして、翌10月3日、日本EVクラブ主催の第1回SDGs ERK on ICE『氷上の電気レーシングカートの祭典』が新横浜スケートセンターで開催された。こちらの大会はまだマイナーだが、まさにカーボンニュートラルなモータースポーツの一つ。会場に入ってわかったことだが、なんとホンダも協賛企業として名を連ねていた。
ホンダのF1撤退のニュースがあった直後に、ホンダも協賛する初のERK(Electric Racing Kart:電気レーシングカート)による氷上大会が開催されるという流れ……。
われわれ取材班は、セナやプロスト、マンセル、中嶋悟らが活躍したホンダ隆盛の頃のF1シーンを懐かしく思い出しつつ、まるで手に取るようにはっきりと時代の節目というものを感じとることとなった。
SDGsなモータースポーツということ
大会の冒頭挨拶で、大会委員長を務める日本EVクラブの舘内端代表理事も、このホンダのF1撤退の発表について触
れていた。
「モータースポーツがなかなか厳しい時代を迎えています。昨日にはホンダが来年いっぱいでF1から撤退するというニュースが流れてきました」
「その背景にあるのは、皆さんご存じの気候変動をもたらす地球温暖化の問題であり、原因としてのCO₂排出の問題です。もうモータースポーツもエンジンで楽しむわけにはいかなかくなってきているんです」
「これからはクルマもモータースポーツもCO₂排出ゼロで楽しむ時代だということ。われわれが開催する、氷の上を電気レーシングカートを走らせるSDGs ERK on ICEは、そういう時代に歓迎されるモータースポーツの一つになるものと考えています」
なるほどという感じなのだが、ここで大会の概要と意義をより深く知るために、SDGs ERK on ICEの頭にあるSDGsとは何かについて見ておくことにしよう。
SDGsとは、Sustainable Development Goalsの略で、2015年9月に国連総会で採択された「持続可能な開発目標(開発≒事業を環境保全と両立させながら進める目標)」のことだ。
具体的には以下の17の目標が掲げており、それらを世界の国々および企業・団体などが2030年までにおのおののやり方で達成することを呼びかけている。
このSDGsは、国連発だからといって、そう堅苦しいものではない。ある社会学者はこんなことを言っている。
「SDGsには、温室効果ガス抑制のための数値目標を設定する国際協定のような厳格さがない。割りとルーズ。だが、かえって取り組みやすく機能しやすい活動になる側面がある。カフェチェーンがプラスチックのストローを廃止して熱帯雨林を破壊しない材料に変えたりしているのもその一つに数えられる(要約)」
そう、SDGsは誰もが身近に感じられる環境&開発活動を促すものとなっているのである。
今回、日本EVクラブもその趣旨に賛同し大会名にSDGsを冠した。そして、17の目標のうちの「7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに」と「13 気候変動に具体的な対策を」をゴール目標として選び、それを達成するために「CO₂排出ゼロのERKを、スケートリンクの氷の上で走らせて競技を行う」という方法を採った。
クルマによる競技としては、まことに前代未聞というか斬新極まりないスタイルなわけだが、これにより環境にやさしい新たなモータースポーツの開発・普及を目指しているのである。
約100名が新競技に興味津々
当日のSDGs ERK on ICEでは、EVサイド・バイ・サイドというマシンの「デモ走行」と、ERKによる「8チーム対抗メディア・トーナメント戦」、そして一般参加者がERKを試乗する「参加者試乗会」の3プログラムが実施された。
会場の客席には観戦者ならびに参加関係者などが100名ほどいて、第1回にしてはそれなりに盛況な印象。午後1時から約3時間、観戦者はスケートリンクの寒さに震えながらその3プログラムが行われる様子を興味深げに見守っていた。
続く後編では、この中のメインイベントである「8チーム対抗 メディア・トーナメント戦」の模様を紹介していくことにする。
ちなみに、最初に行われた「デモ走行」で氷上を走った水色のEVサイド・バイ・サイドは、元はホンダと関係の深いツインリンクもてぎのサーキットで走行体験用に使われていたエンジンマシンをEVにコンバートした一台。このイベントの幕を開けた1台が、F1撤退を表明したばかりのホンダに縁のあるマシンであったという事実には、時代の節目をさらに際立たせるインパクトが感じられた。そのことをあえてここに付記しておきたい。
(前編)ホンダがF1撤退を予告した翌日、日本EVクラブが初の『氷上の電気レーシングカートの祭典』を開催!
(後編)EVの楽しさが体感できる駅近モータースポーツこそが、これからの自動車市場を刺激する!
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